犬はお散歩に行かなくても大丈夫?
今ではずいぶん減ったそうですが、以前はペットショップで犬を販売するときなどに「小型犬は散歩に行かなくて大丈夫」と言われることがありました。実際、私もふらっとのぞいたペットショップでチワワを見ていたら、店員さんから「この子は体が小さいので運動は家の中だけでいいので楽ですよ♪」とおすすめされたことがあり「本当にそんな風に案内している人がいるんだ…」とショックを受けたことがあります。これは多くの人に犬を飼ってもらう(買ってもらう)ためのセールストークとしか思えないもので、基本的に健康な犬であればどんなに体が小さくても散歩が不要ということはありえないのです。
お散歩に行かないと犬はどうなる?
時間や距離、頻度はそれぞれ異なっても、基本的にはどんな犬でもお散歩は必要不可欠なものです。全く行かない生活をしていたらさまざまな点から問題が発生するでしょう。
運動不足、体力不足
犬のお散歩を全くしないとなると最も心配なのが運動不足です。今では日本でも室内飼いが主流となっており、そうした飼育環境の影響で肥満になりやすい傾向にあると言われています。お散歩に毎日行っていても食べる量が多ければ肥満になってしまいますし、それがお散歩なしであればさらに顕著にあらわれることでしょう。運動不足は肥満だけでなく、筋力や免疫力の低下にもつながり病気にかかりやすくなったり、老化が進んでしまったりするとも考えられています。
ストレスが溜まる
犬のお散歩は運動や排泄のためだけでなく、精神的な充実のためにも必要なものです。お散歩に出れば草木の匂いを感じられたり、土の感触を足の裏で感じ取ったり、鳥や虫を見つけたり、他の人からなでてもらったり、他の犬と遊んだりしてさまざまな刺激があります。そうした刺激は犬に適度な疲労と充足感を与えてくれるので、それらが一切なくなってしまうと犬はストレスを抱えることになるでしょう。ストレスは犬にとっても悪影響が多く、いたずらや無駄吠えなどの問題行動やうつ病などの精神疾患の原因にもなるとされています。
社会性が身につかない
犬のお散歩には体力をつけるだけでなく、あらゆる刺激によって精神的な充足感を与える効果があるとしました。それらの刺激は犬が社会性を身につけるためにも欠かすことができないものです。子犬の時期にある社会化期にはさまざまなタイプの人や他の動物・街にあふれる音・乗り物・建物など色々な刺激に触れさせることが推奨されています。柔軟で好奇心の強い子犬の時期であれば初めて見るものでも恐怖心を感じずに受け入れることができるので、社会性を身につけるのに最適なのです。しかしお散歩に出ないと家の中にあるもの以外のものに出会う機会がなく、いざ外に出たときに強い恐怖心や不安を感じてパニックになったり身を守るために攻撃的になってしまうことがあります。
どうしても犬のお散歩に行けないときは?
犬にお散歩は絶対に必要なものですが、十数年もの間一緒に暮らしていれば時にはお散歩に行けないときもあると思います。飼い主さんの体調や家族の事情などやむを得ずお散歩の時間を削らなければならないときには、代わりとなるコミュニケーション方法を考えてあげて欲しいと思います。犬のお散歩では運動したり精神的な刺激を受けたりすることができますが、お散歩をできないのであれば家の中でできる遊びなどを取り入れて、普段とは違うコミュニケーションを取ってみるのもいいでしょう。普段は慌ただしくてできないようなマッサージなどのスキンシップをとってもいいかもしれません。
ちなみに、ほんの少し外に出るだけでも全く外に出ないのとは異なり十分刺激になると思うので、時間がなくてお散歩に行けないと思っている人も数分外を歩かせたり、ベランダに出たりしてみるといいでしょう。お散歩に長い時間を確保できない場合は、短い時間でも充実したお散歩となるように歩くルートや速度を変えたりして毎回楽しいお散歩となるように意識してみてくださいね。
犬のお散歩に行かないことについて
犬のお散歩はとても大切で、どの犬種も全く行かなくていいということはありえません。しかしながら、犬や飼い主さんの体調が悪いときにはお散歩を控えた方がいいと思いますし、子犬や老犬・病中病後など免疫力や体力が十分でない場合には極端に暑い日や雪の日など天候が悪いときは控えた方がいい場合もあります。「お散歩に行かなくちゃ!」と気負いすぎると、それが飼い主さんにとって負担になってしまったり義務的になってしまったりすると思います。それは犬にとってもいいこととは言えず関係性を崩してしまう原因にもなりかねません。お散歩は犬と飼い主さんの大切なコミュニケーションの時間でもあります。お散歩中は犬の表情を見て、たくさん話しかけたりおもちゃ遊びをしたりして、一緒に楽しい時間を過ごしてくださいね。