犬に「待て」を教える必要性
犬のしつけの中で「待て」はとても重要です。犬のしつけというと「おすわり」や「ふせ」などから始める人が多いと思いますが、実はそれ以上に必要性の高いしつけだと考えられています。「待て」はご飯やおやつを前にして待たせるためだけのものではありません。「待て」は犬のさまざまな行動を制止するために使うことができる指示です。
例えば散歩中にリードが外れてしまって車道に飛び出しそうになったところで「待て」と指示を出したり、通り過ぎるバイクや自転車に吠えてしまう犬に「待て」と指示を出したり。そうすることで危険回避をすることができ、犬や周囲の人を守ることにもつながるのです。危険回避のために必要なしつけとしては「おいで(呼び戻し)」も同様ですが、呼び戻すことで逆に危険にさらしてしまうこともあるので状況に応じて「待て」と「おいで」を使い分けられるように両方教えておくことをおすすめします。
しつけをするときに最適な「待て」の長さは?
犬に「待て」を教える場合、どれくらいの時間待たせることができるのでしょうか?動きの静止のためだけあれば数秒待つことができれば問題ありませんので30秒ほど待つことができるようにしつけておけばいいでしょう。
ギネスのように正式な記録として“犬の待ての最長記録”というものがあるわけではありませんが、世界では数時間待つことができる犬もいると言われています。ただし、長時間の「待て」というのは訓練競技会などのように姿勢を崩さず少しも動かずにいることではなく、その場所から移動しないという意味での指示となり、体の向きを変えたり座り直したりしながら待っていることになります。ちなみに、ギネス記録で“待ての最長記録”を出さない理由として、記録狙いのために犬に長時間の「待て」を強いることなどが起こらないように配慮されたためと言われています。
犬の「待て」の時間を伸ばすしつけ方法
どのくらいの長さの時間犬に待たせるかは、犬の個性や行動の特徴、家庭の事情などによってそれぞれ異なると思います。どれくらい待たせるとしてもその時間は少しずつ着実に伸ばしていくことが大切です。5秒待てるようになったからといってその後突然30秒待たせようと思ってもほぼ失敗すると思います。「待て」のしつけで気をつけたいのができるだけ“失敗”をさせないことです。「待て」と言われて飼い主から解除の指示がある前に動いてしまうくせがつくのは好ましくない傾向なので、時間は数秒ずつ伸ばすなど成功確率が高いと思われる長さで教えていきましょう。
ドッグカフェや動物病院の待合室などでも役立つ“その場を移動しないで待つ”という意味での「長時間の待て」を教える場合には伏せの姿勢で教えた方が犬にとって楽だと思います。また、足を横に崩したり、体の向きを立たずに変えることなどはOKとしてあげるといいでしょう。
まとめ
犬の「待て」はとても大切なしつけ。いざというときには犬の命を守ることができたり、お店の中や人混みでは周囲の人に迷惑をかけないようにすることができたりと、さまざまな場面で役立つしつけのひとつです。むやみに長時間「待て」を無理強いする必要はありませんが、少しずつ待てる時間を伸ばしていくことはとてもおすすめです。そうしたしつけは何歳になってもできることなので、遊びの延長やコミュニケーションの一貫としてぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか?