残された犬はどうなるの?
飼い主さんの不慮の事故や高齢に伴って、愛犬を残したまま亡くなってしまうケースが増えています。犬の平均寿命は15歳くらいであるとされており、長生きすることができるようになった分、飼い主さんに先立たれ、残されてしまうのです。若い飼い主さんでも、高齢の飼い主さんでも、変わりはありません。もしもの時、愛犬はどうなるのか、考えたことはありますか?誰かが何とかしてくれるだろう、犬好きな人が守ってくれるだろう、保護してくれる人がいるだろう、なんて安易に考えていませんか?もしもの時の、愛犬のためにできる事前対策、改めて考えてみましょう。
もしもの時の、愛犬のためにできる事前対策
1.「負担付遺贈」
負担付遺贈(ふたんつきいぞう)は、遺産の遺贈をするとき、その遺産を受け取る人に対して、一定の法律上の義務を負担させる、というものです。つまり、「遺産をお渡ししますので、愛犬のお世話をしてください。」ということです。これは、飼い主さんの一方的な希望で遺言に残すことができるものなので、指名された相手は、これを拒否することができます。
ですので、愛犬のお世話をお願いしたい相手に対して、事前に合意を取り付けておきたいです。たとえば、私は、愛犬たちのための貯金をしています。治療や手術など、何か高額な費用が必要になったとき、その貯金から支払うことができるようにです。そして、そのお金は、もしもの時の、愛犬たちのお世話をお願いする人に、“こういうお金があるからね”と、話してあります。
2.「生前贈与・死因贈与」
1の負担付遺贈は、指名された相手が拒否することができるものでした。しかし、生前贈与・死因贈与は、贈与する人と受贈する人の双方の合意のもとで結ばれる契約ですので、飼い主さんからの「愛犬のお世話をしてください」というお願いを拒否することはできません。
生前贈与は、飼い主さんが亡くなる以前から効力が発生するものです。死因贈与は、飼い主さんが亡くなった後に効力が発生するものです。死別ではなく、飼い主さんが入院しなければならない、施設に入居しなければならないなどの理由で、愛犬を手放さなければならなくなったとき。そんなときは、生前贈与を選ぶと良いのではないでしょうか。契約を結んだ後は、相手に犬のお世話を拒否する権利はありませんが、生涯、本当に大切にお世話してくれる相手を選ばなければなりません。
3.「ペット信託サービス」の利用
ペット信託は、飼い主さんの生前も死後も、利用することができるサービスです。最近では、高齢になった飼い主さんが検討されるケースが増えているようです。ペット信託サービスでは、愛犬のお世話代として渡した遺産が、適切に使われているかどうか、信託管理人が見守ってくれるサービスもあります。安心して任せることができますよね。
自分自身のために使い、愛犬には粗末な食事、なんてことも、決して無いとは言えません。もしもの時、愛犬のお世話をお願いすることができる、心から信頼できる相手がいないのであれば、このサービスを利用してみても良いのではないでしょうか。2013年に始まった新しい仕組みなので、仕組みについて知ろうとすると「難しいな」「面倒だな」と感じる部分もあるかと思います。これから需要が増えていく仕組みです。仕組みや内容についてだけでも、知っておくと良いと思います。
まとめ
飼い主さんが亡くなり、自宅の中に置き去りにされ、餓死してしまうワンちゃんもいます。庭先に繋がれていたため、近所の方に気づいてもらうことができ、救出されたワンちゃんもいます。運よく、里親さんと出会うことができるワンちゃんもいます。しかし、“生涯お世話をする”と、愛犬に誓ったはずです。そのためにできる、事前対策について、じっくり考えてみましょう。