愛犬が歩けなくなった時、飼い主は何ができる?

愛犬が歩けなくなった時、飼い主は何ができる?

愛犬がある日、突然歩けなくなったら、私たち飼い主は、愛情が深ければ深いほど、驚き、悲観して動揺するでしょう。けれども、愛犬のために何が出来るか、考えて行動出来るのは飼い主しかいません。今回は、愛犬が歩けなくなった時、飼い主として何が出来るかを考えてみようと思います。

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歩けなくなった原因を突き止める

横になった犬の足を触る人の手

まずは、なぜ歩けなくなったかの原因を突き止めます。どんな対処法をとるにしても、まずは歩けなくなった原因を特定しましょう。その原因次第では、リハビリや治療によって再び歩けるようになるかも知れません。

歩けないまま放置するとどうなるか?

獣医さんに診察してもらう犬と心配そうな飼い主

野生で、もし歩けなくなったら餌をとることができずにやがて餓死するでしょう。しかし、人に飼われて、外敵に襲われることもなく安全を確保されていて、なおかつ生きるために十分な食事を与えられている動物でも、歩けないままの状態で放置されると、長く生きることはできません。それには、いくつかの理由があります。

全身の筋肉、関節が衰える

歩くことがなくなれば、体を動かす運動量が激減します。そうすると、全身に筋力が弱まり、立つこともできなくなっていきます。また、体を動かすための筋肉だけでなく、骨と骨をつなぐ腱や関節そのものの働きも悪くなっていきます。

ねたきりになる

特に老犬の場合は、筋力の低下の進行が早く、歩けなくなってしまったり、歩くのを嫌がったりしているからと言って、数日放置するだけで起き上がることさえできなくなってしまうこともあります。

体力が衰え、弱っていく

運動量が減ると、代謝も落ち、内臓の機能も落ちていきます。また、排尿、排便も困難になることから、消化器系、循環器系の内臓に悪影響が出てきます。特に循環器系の腎臓の働きが落ちることによる尿毒症や、血液中に血栓ができやすくなり、血管も詰まりやすく、心筋梗塞、脳溢血などのリスクが高くなります。

認知症を発症する

ねたきりになると必ず発症する、ということではありません。ですが、体が自由にならないことへの強烈なストレスから、夜泣きをするようになり、やがて認知症へと移行することもあります。

リハビリで期待できる効果

布団で横になっている黒い老犬

では、歩けなくなったとしても、リハビリをすることでどんな効果が期待できるのでしょうか?

筋肉がつく

毎日、少しずつでもリハビリを行うことで、筋肉の衰えを食い止めることができます。さらにその状況を進めることができれば、全身の筋肉を動かすことで衰えた筋肉を蘇らせることもできます。

内臓が活性化する

体を動かすことができれば、お腹も減ります。また、全身を動かすことで内臓の周りの筋肉も動き、消化器官、呼吸器官の働きも良くなります。

気分転換になる

何より、車いすやハーネスを使っての飼い主さんのとのお散歩は、愛犬にとって一番の気分転換になります。

愛犬が歩けなくなったとき、飼い主ができること

芝生を歩く老犬のイングリッシュコッカーパニエル

車いすを用意する

動物用の車いすを専門に制作している工房がいくつかあります。電話などで詳しいヒアリングのあと、実際に車いすを利用する犬の症状や体格などを考慮して、一つ一つ手作りで制作してくれます。アフターサービスだけでなく、介護についての相談にも乗ってくれる工房もありますので、車いすが必要になったときは、いくつかの工房に実際に問い合わせて車いすの政策をお願いする工房を選ぶと良いかと思います。

オーダーメードの場合がほとんどですが、レンタルで利用できる製品もあります。値段は、小型犬~中型犬用で2万円~4万程度、大型犬用でも3万円~5万円程度でできます。

歩行補助用ハーネスで補助する

前足は動かすことができて、後ろ足が弱っているのであれば、車いすではなく、歩行補助用のハーネスを使うことができます。上手に使えば、散歩中に自力で排泄させることも可能です。

カートなどに乗せて外に連れて行く

車いすやハーネスが手元に届くまでの間や、前足まで動かなくなってしまったときは、ペット用のカートで外へ連れて行きます。太陽光を浴びることで、自律神経も正常に働き、昼間起きて、夜に眠る、という体内サイクルを作りやすくなります。

絶望せず、諦めない

実際に動物と暮らしていると、人間よりもはるかに高い回復力に驚かされることが多々あります。ですから、一時的に歩けなくなったとしても、絶望したり、諦めたりしてはいけません。根気よくリハビリを続け、かかりつけの獣医さんの処方された薬を正しく使用して治療を続ければ、再び歩けるようになるかも知れません。飼い主さんが諦めずに、絶望的な気持ちにならず、愛犬の体力を信じてリハビリや介護を続けることが大切です。

いつも、明るい態度で接する

犬は、人間の表情から感情を察することができる動物だと、科学的にも証明されています。長年、心を通わせながら暮らしていた犬ならなおさら、飼い主さんの心情を感じ取るでしょう。飼い主さんが自分を見るとき、いつも悲しい顔をしている、つらそうな顔をしている、自分のせいで飼い主さんが悲しんでいる…愛犬がそんなことを感じていたらと考えるだけで心が締め付けられます。

愛犬と過ごす時間が残りわずかなら、そのぬくもりやまなざしと触れ合える時間を心から慈しみましょう。飼い主さんの温かな笑顔こそ、体の自由を失った愛犬の心を幸せなぬくもりで満たせるのです。

最期まで看取る

どんなに辛くても、命には必ず終わりが来ます。私たち飼い主には、愛犬の最期を看取る義務を全うすれば、虹の橋で再び愛しい愛犬に再会できる権利を持つことができます。歩けなくなったときから最期の瞬間まで、飼い主として全力て愛し抜いたかけがえのない大切な時間だったと思えるように、愛犬の最期をしっかりと看取り、天国へと見送ってあげましょう。

まとめ

車いすを装着している犬

老齢になっただけでなく、事故や病気で足を失うこともあって歩けなくなる場合もあると思います。大切なのは、歩けなくなったからと言って愛犬の命を諦めてはいけない、ということです。今回、この記事を執筆するにあたって、車いすを利用している犬の写真を何枚も目にしました。どの犬もとても嬉しそうに表情が輝いていました。歩けなくなること=老いて衰え、死ぬことではありません。人間の知恵と愛情があれば、愛犬が歩けなくなっても、まだまだ幸せな時間を生きられるのです。

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