ノギってなあに?
夏から秋にかけては、犬がノギによる被害を受けることが増えます。ノギというのは、イネ科植物の穂を型作る殻についている針状の突起のことです。俗にネコジャラシと呼ばれるエノコログサや、チカラシバなどの穂の根元あたりにある固いトゲのようなものと言うとわかりやすいでしょうか。
春先はイネ科の雑草の穂も緑色で柔らかいのですが、夏から秋にかけてはこれらの雑草の穂が茶色く枯れて固くなり、種子を運ぶためにヒトや動物の体にくっつきます。外遊びをした後に、洋服にチクチクした小さいカケラがいっぱいくっついた経験のある方も多いのではないでしょうか。あの小さいチクチクが、実は犬にとっては大敵なのです。
犬にとってはどんな危険がある?
イネ科植物のノギはバドミントンのシャトルのような形をしていて、その形状のために犬の毛の間に入り込むと落ちることなくズンズン奥へと進んでいきます。皮膚に刺さると回転しながらネジのように中に入り込むため、発見しにくく化膿して炎症を起こすことも多いのです。
犬で多いのは、指の股の柔らかい部分に刺さって炎症を引き起こす例です。脚の付け根などに刺さることも多く、気付かずにいるうちに内部の炎症が腫瘍のようになり、摘出手術をしてみたら原因がノギだったと分かる例もあります。
耳に入って鼓膜を傷つけたり、目の縁から入り込んで角膜などを傷つけたりしてしまうこともあります。鼻から入り込んだノギが気管や肺にまで侵入すると、命に関わることにもなりかねません。ノギが原因で手術が必要になることは決して珍しいことではなく、たかが雑草のトゲとバカにできない被害です。
ノギの被害を防ぐために気をつけたいこと
イネ科の雑草は道端にも多く生えているので、山や野原に行かなくても接触してしまうことがあります。散歩の後や、自然の中で遊んだ後には全身をチェックしてノギが付いていないか観察して、あれば速やかに取り除きます。
特に指の間や耳の中、内股、お腹、顔周辺などは入念にチェックします。もしも目に入り込んでいるのを見つけたら、決して無理に引き抜くなどせず、すぐに動物病院で診察を受けましょう。引き抜いたときにノギの針が目に大きなダメージを与えてしまったり、先端部分だけが千切れて根元が目の中に残ってしまったりすることもあるからです。
目に入っている場合は痛みが強くて、犬もパニックになってしまいがちです。チェックしようとして噛まれたり、犬が自分の爪で目を傷つけたりという二次的な被害を防ぐためにも、速やかに病院に行くことが重要です。目で見て何も発見できなくても、犬がしきりに頭を振っている、耳を気にして足で搔こうとする、変な咳をする、などの行動があれば、体内に入り込んでいる可能性があるので、すぐに病院で診てもらいましょう。
まとめ
エノコログサやチカラシバなど、どこにでも生えているイネ科の雑草のノギと呼ばれる部分が、犬にとって思いがけず怖い被害を引き起こすことをご紹介しました。
あまりに神経質になって散歩や外遊びを楽しめなくなってしまってはいけませんが、知識を持っておくことで、いざという時の対策に違いが生まれます。
犬にとって何が危険なのか、どんなふうに危ないのか、何かが起こったときにはどうすればいいのかを、大切な愛犬を守るために頭に入れておき、安全で楽しい夏を過ごしたいですね。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
50代以上 女性 匿名
女性 匿名
今後は気を付けようと思います。