犬のストレスの種類
ストレスとは、寒さ、外傷、精神的なショックなどによって起きる精神的緊張や体内で起こる防衛反応のことで、また、それらの現象を引き起こす要因や状況のことを指します。そして、ストレスには3つの種類があります。
物理的・生物的・科学的ストレス
犬の場合は、生活環境下において、騒音、振動、温度、湿度、天候、悪臭などの影響で感じるストレスです。
心理的ストレス
不安、恐れ、怒り、嫌悪感、寂しさなどから感じるストレスです。例えば、進学や就職、結婚などで子犬の時からずっと一緒に暮らしてきた家族が減ったり、逆に知らない他人が急に同じ家に住むようになったり、と言った家庭環境の変化が犬に心理的なストレスを与えることがあります。
身体的ストレス
生理的欲求が満たされない、発熱、疾病から来る苦痛などから生じるストレスです。
ストレスを感じている時の犬の行動
犬は、人間のように言葉で「ストレスが溜まっています」と飼い主さんに伝えることが出来ません。ですから、飼い主さんは愛犬の行動によって、愛犬がなにかストレスを抱えているのでは?と気づいてあげなければいけません。では、犬がストレスを感じている時、どんな行動をするのでしょうか?
体の一部を噛んだり、舐めつづける
怪我をしていたり、特に痛みを感じているわけでもないのに、体の一部が赤くただれるまで、しつこく舐めつづけたり、噛んだりすることがあります。
体を震わせる
犬にとってなにか強烈にストレスを感じる出来事があったとき、体を丸めて体を震わせます。例えば、ふいに騒音がしたり、犬にとって苦手な来客があったりした時に怯えて怖がる…と言ったことも、犬にとってはストレスになっています。
吠えやまない
飼い主さんが制止しても、特に威嚇する相手もいないのに、ずっと吠え続ける…と言うときは、犬はなにかしらストレスを感じています。
明らかに落ち着きがない
常にニオイを嗅ぎまわり、そわそわと落ち着きない様子を見せる時も、なにかに警戒しているか、なんらかの欲求を持て余している時です。
トイレを失敗する
きちんとトイレトレーニングが出来ているはずなのに、よく失敗する、あるいはわざと別の場所で排泄している…ということも、なにかストレスを感じている可能性があります。
愛犬が感じているストレスの元を突き止める
愛犬がなにかストレスを抱えている…と感じたら、その原因を考えてみましょう。なにかがキッカケになって、吠えやまなくなったり、体の一部を舐め始めたりと言った行動が見られるのなら、そのキッカケを突き止めます。原因がわかれば、対処する方法を考えることが出来ますし、もし、原因がわからなくても、飼い主さんの意識が愛犬に向いていることが愛犬に伝われば、それだけでもかなり愛犬のストレスは軽減されるはずです。
1.物理的・生物的・科学的ストレスの解消法
まずは、愛犬の生活環境を見直してみましょう。ゴミ回収車の音や、近隣の騒音などに過剰に反応していませんか?または、愛犬が寝る場所が汚れていて、ゆっくり休めない、トイレが汚い…ということはありませんか?
意識を逸らす
その音が鳴っている時に、音から愛犬の意識を逸らします。おやつを使って意識を集中させるお勉強の時間としても良いですし、ゴミの回収車など決まった時間に起こる騒音がストレスの元であれば、その時間にほんの少しだけでも散歩に出かけて行くと、むしろ、ゴミの回収車の来る時間を待つようになり、愛犬が感じるストレスを解消できるのではないでしょうか。
居住空間を快適に整える
愛犬がリラックスして安らげる場所を清潔に保ち、静かで落ち着ける空間になるように居住空間を整えます。また、トイレが汚い、ということがストレスになる犬もいます。一度でも排泄して汚れたら、そこでは排泄しない、という癖の犬もいますし、そういうタイプの犬は、トイレが汚れていたら別の場所で排泄することがあります。
そうなると、飼い主さんにしてみればトイレを失敗したことになりますから、ついつい、犬を叱ってしまうこともあるでしょう。その結果、トイレを失敗して怒られた…ということがストレスになっていることもあります。ですから、愛犬の習性をよく観察し、もし、トイレが汚れていたらその場所では排泄しない、ということがわかれば、愛犬がトイレを失敗しないように、トイレも常に清潔な状態を保ちます。
褒める
そして、例え大人の犬であっても、上手に出来たら、毎回、褒めてあげましょう。そうすると、トイレの失敗も減り、飼い主さんに叱られることもないので、愛犬がストレスを感じることもなくなります。
2.心理的ストレスの解消法
スキンシップを増やす
散歩の時間、一緒に遊ぶ時間をほんの少しでもいいので増やしましょう。言葉での会話は出来ないけれど、愛犬は飼い主さんが自分のことを気にかけて、話しかけてくれていると理解すれば、心を落ち着かせることが出来ます。
3.身体的ストレスの解消法
体に異常がないかを観察する
体のどこかに痛みはないか、あるいは急激に痩せたり、食欲が落ちたり、被毛の艶がなくなったりと言った身体的異常がないかをよく観察してみましょう。また、排泄物の色、量、口臭や体臭がきつくなっていないかなども気にかけて愛犬の様子を観察します。もし、なにか異常があると感じたら、すぐに獣医さんの診察を受けましょう。
まとめ
- 意識を逸らす
- 居住空間を快適に整える
- 褒める
- スキンシップの時間を増やす
- 体に異常はないかを観察する
人間なら、なにかストレスを感じた時、人によってはカラオケに行ったり、お友達とおしゃべりしたり、旅行に行ったりと、自分の好きな方法でストレスを解消することが出来ます。
けれども、犬は私たち人間のように自分が抱えるストレスを自分の好きな方法で発散することは出来ません。だからこそ、ずっと元気で長生きしてもらうためにも、飼い主の私たちは愛犬が行動で示す「ストレスサイン」を見逃さず、最適かつ最良の方法で、愛犬のストレスを解消する手段を講じる義務があると思います。