もともと番犬だったから
日本犬は、古くから人間と一緒に生活してきました。人間と一緒にいることで食べものを分けてもらえたり、安全な寝床を得ることができたり、得になることが多かったからです。そして、人間にとってもそれは同じです。犬は狩猟の際の重要なパートナーであり、農作物を荒らす野生動物から田畑を守ってくれる優秀なガードマンであり、地域や個人の家を襲おうとする侵入者の存在を知らせてくれる警報機でもありました。このように、獲物と闘ったり、外敵を追い払ったり、危険を知らせたりすることが役目だった日本犬は、今でも未知の相手に対して過敏に反応していると考えられます。
野生を強く残しているから
洋犬の多くは、人間の生活に役立つ使役犬としての性能をより良くするためや、王侯貴族らが飼育する愛玩犬として小さく可愛くするためなどの目的で、古くから人為的な品種改良を繰り返されてきました。そのため、犬種や個体差はあれど、人間が望ましいと思う姿に改良されているケースが多く見られます。
一方、日本犬においては、そういった人間の意図的な品種改良はほとんど行われてきませんでした。そのため、犬本来の性質を引き継いでいて、野生を強く残しています。その結果、警戒心の強い野生の本能から、喧嘩っ早い性格を残していると考えられます。
飼い主にのみ忠実だから
日本犬の性質としてよく語られるのが、「飼い主には忠実だが、他人には懐かない」というものです。最初にもご紹介しましたが、日本犬はその歴史から外敵に対する警戒心が強く、家族以外の人や犬を「敵」とみなすと、攻撃的になりやすいところがあります。それが飼い主にのみ忠実と言われる所以になっていると思われます。とはいえ、飼い主さんとしては、愛犬が自分にだけ見せてくれる懐っこい表情は無条件に可愛いものですよね。
ツンデレだから
「飼い主には忠実」な日本犬ですが、実はいつでも忠実というわけではない子が多いのも事実。日本犬は猫のような犬とも言われるように気分屋な面があり、気分が乗っているときは飼い主さんに甘えてくるものの、そうでないときは飼い主さんの呼びかけにも反応しないような塩対応をしてくることもしばしばです。そう、日本犬はいわゆる「ツンデレ」なんです。この「ツンデレ」の「ツン」の部分が強すぎると、虫の居所によっては喧嘩っ早くなってしまうのかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?日本犬と一括りにしても、その性格はさまざまで、喧嘩っ早くて気が強い「ザ・日本犬」な子もいれば、誰にでもお腹を見せてしまうような「日本犬らしくない」子もいます。日本犬の飼い主さんとしては、「日本犬だから喧嘩っ早いだろう」「日本犬だから噛むだろう」と最初から身構えられてしまうと、少し悲しくなってしまうこともありますよね。
大切なのは、飼い主さんが愛犬の性格や個性をしっかりと把握して、「うちの子は少し喧嘩っ早いところがある」と思ったら、周囲との距離感を見つめ直し、トラブルを招かないように注意することです。日本犬の生まれ持った性質はあれど、全ての日本犬が凶暴で危険だという偏見を招かないようにしたいですね。