鼻ぺちゃ犬とは?
「鼻ぺちゃ犬」とは正確に言うと「短頭種」と言い、マズル(鼻と口の部分)が頭蓋骨の横幅よりも短い犬種のことです。短頭種は人間の手で改良されて生まれた犬種です。
短頭種の犬種
主な短頭種の犬種は
- ブルドッグ
- フレンチブルドッグ
- ボストンテリア
- ボクサー
- パグ
- シーズー
- チャウチャウ
- 狆(ちん)
- ペキニーズ
- キングスチャールズスパニエル
- チベタンスパニエル
などが挙げられます。
豆知識①マズルの長さは3種類あります
頭蓋骨の横幅よりマズルが…
- 短い=短頭種
- 同じくらいか少し短い=中頭種
- 長い=長頭種
と、頭蓋骨の横幅を基準にマズルの長さで3種類に分けられています。
豆知識②中頭種と長頭種の犬種は?
中頭種には
- ラブラドール
- コーギー
- ポメラニアン
- 柴犬
- チワワ
などが挙げられます。
長頭種は
- コリー
- ダックスフンド
- ハスキー
- シェパード
- ボルゾイ
などが挙げられます。
短頭種がなりやすい「短頭種気道症候群」
短頭種はマズルが短いことで呼吸器系の病気になりやすいと言われています。
理由
マズルが短いので鼻呼吸が苦手であることが大きな理由です。また、マズルが短いのにも関わらず口の中の作りは他の犬種と同じサイズに発達することも、短頭種が呼吸器系の病気になりやすい理由の1つです。
短頭種気道症候群とは
短頭種気道症候群とは呼吸器系の病気をひっくるめた呼び名です。
短頭種がなりやすい呼吸器系の病気は
- 「外鼻孔狭窄」…鼻の穴が狭くなり鼻呼吸がしにくくなる病気
- 「軟口蓋過長症」…鼻、口と気管を仕切るカーテンの役割りをする軟口蓋が大き過ぎて呼吸がしにくくなる病気
- 「気管低形成」…気管が上手く形成されない病気
- 「巨舌症」…舌が大きく形成されてしまう病気
などがあります。
病気というより、生まれ持った体の作りが原因になることもあります。これらの病気をひっくるめて「短頭種気道症候群」と呼びます。
上記の症状が最終段階まで悪くなってしまうと、
- 「気管虚脱」…気管がつぶれてしまうこと
- 「喉頭虚脱」…喉頭の軟骨がもろくなり、喉頭全体が狭くなった状態
といった症状が出る恐れがあります。
短頭種は気管に負担がかかりやすい
様々な原因で呼吸しづらい状態が続くと気管に負担が大きくなり、扁桃腺の腫れや咽頭室外反などの二次的な病気に発展することもあります。
症状
短頭種気道症候群の症状は
- ガーガー、ブーブーといったいびきや呼吸音
- 激しい口呼吸
- 運動を嫌がる
- 咳
- 泡状のよだれや嘔吐
などが挙げられます。重篤化してしまうと
- 呼吸困難
- 意識を失う
- チアノーゼ
- 高体温
などの危険性の高い症状が出てしまうこともあります。
短頭種との暮らしの中で気を付けるべきこと
①呼吸器系の病気の早期発見
呼吸器系の病気になりやすいため、愛犬が短頭種の場合には日頃から
- 呼吸音が異常ではないか、
- 咳をしていないか
- 運動していないのにハアハアと荒い口呼吸をしていないか
- 息苦しそうでないか
などに気を配ってあげることが大切です。
②暑さに気を付ける
犬は呼吸により体内の熱を発散して体温調節をする動物なのですが、短頭種はマズルの長い犬種と比べて呼吸に問題が出やすいため呼吸での体温調節が苦手です。
このため、短頭種は狭くて換気の悪い環境が苦手です。エンジンの止まった車の中での長時間の放置やキャリーバッグの中にずっと入れさせるのは大変危険です。航空会社によっては、飛行機の国内線や国際線で搭乗を禁止する短頭種の犬種が決まっていることもあります。
ですので、日頃の生活の中でも室温を常に快適に保ってあげることや、長時間炎天下でのお散歩等を避けてあげる必要があります。
③顔のシワを毎日清潔に
短頭種はマズルが短いために顔にシワがある犬が多いのが特徴です。シワの溝は汚れが溜まったり蒸れやすく、悪臭の原因になることもあります。夏場は特にこまめにガーゼなどで拭いて清潔さを保ちましょう。
④目の上の毛はこまめにカット
目元のシワにより、短頭種は目の上の毛が目に入りやすいです。眼球を傷付けないために、ペキニーズや狆、シーズーなどの長毛の犬種の場合は目の上の毛をこまめにカットしてあげましょう。
⑤眼病に気を付ける
マズルが短い短頭種は、何かにぶつかったり草や枝などの外部的な衝撃をダイレクトに眼球に受けやすいです。眼球が傷付いたり目に異物が入ることで眼病に発展してしまうことも多いため、目の異常がないかを毎日チェックしてあげましょう。また、他の犬と遊ぶ時やケンカになってしまった時などは眼を傷付けないか注意深く観察してあげましょう。
まとめ
クシャっとした表情や小さい鼻がとても可愛い鼻ぺちゃ犬ですが、鼻が短いが故に呼吸器系の病気になりやすく、体温調節が苦手なため暑さに弱いということが注意してあげたいポイントですね。そのほか、日頃から顔のシワの清潔さを保ったり、眼病にも気をつけてあげましょう。