大切な愛犬がガンと診断されたら
人間と同様に、ガンは常に犬の死因の上位にあります。もし大切な愛犬がガンだと診断されたらと想像しただけで身を切られるような思いになる方、過去の辛い思い出がよみがえる方がたくさんいると思います。
どんな病気でも、現在の状態を正しく把握して、治療方針を理解し、愛犬と一緒に闘わなくてはなりません。でも、辛い気持ちの中でどこから手を付けたらいいのか、長い治療期間にくじけそうになってしまったときにはどうしたらいいのか、頼りになるサポートがあれば心強いですね。
アメリカのコロラド州で活動するKarmaSueは、大切なコンパニオンアニマルがガンと診断された飼い主さんを、知識、気持ち、財政の面で、教育やサポートを提供している非営利団体です。創設者のブリットン・スラグルさんは愛犬を血管肉腫で失いました。そのときの経験を他の人を助けることに使いたいと、コンパニオンアニマルがガンと診断された人々をサポートする団体を設立しました。団体の名前KarmaSueは、彼女の2匹の愛犬カルマとスーにちなんでつけられています。
ガンの愛犬を持つ家族をサポートする団体
スラグルさんはKarmaSueを立ち上げるに当たって、非営利団体経営のための修士号を取得し、論文を書きました。そのためのリサーチとして、コンパニオンアニマルがガンと診断されたときに飼い主さんたちが何を必要だと感じたかについて多くの人にインタビューしました。そして、教育、カウンセリング、財政支援の3つが最も必要とされることを学びました。
KarmaSueは、ガンと闘うコンパニオンアニマルを持つ家族に、無料または低価格の教育カウンセリングと、治療費の支援を提供しています。(ガンに限らず、アメリカには動物病院での治療費を援助する非営利団体がたくさんあります。)
大切な家族であるコンパニオンアニマルがガンと診断されたときに、取り乱したり怖がったりすることは普通であること、どんなふうに対処していけばいいのかを多くの人に知ってもらい広めたいというのが、スラグルさんの目標です。
コンパニオンアニマルのガンに対処するための方法
「獣医さんから説明を受けても理解できない」「体は疲れ、気持ちは落ち込んでもうヘトヘト」スラグルさんはそんな飼い主さんに、闘病に対処するヒントを授けます。
獣医師に対してオープンで誠実に接する
獣医さんに確認した方が良い事柄は以下のようなものです。獣医さんの説明でわからない箇所や言葉があれば、再度説明を求めます。
- 獣医師が推奨する治療方法のコストはどれくらいか
- 治療について複数の選択肢はあるのか
- 治療をした場合としなかった場合の余命はどのくらいになるのか
- ガンの種類とステージを確認
- ノートを用意して全てメモを取る
- レーザー、鍼灸、マッサージなど痛みを和らげる代替療法はあるのか
- 食事や運動に関する提案はあるのか
そして何より大切なのは、信頼すべきはGoogleで検索した結果ではなく、実際に治療している獣医師であるということです。
飼い主さん自身の心のケアも大切
愛犬がガンと診断された後、多くの飼い主さんは1分1秒でも長く一緒に過ごそうとします。けれど、使える時間の全てを愛犬のそばで過ごすことは過労と燃え尽き症候群につながる可能性があります。時々は誰かに代わってもらって、自分の時間を持ってもいいのです。
- 必要なときには家族、友人、カウンセラーなど、人を頼る
- 毎日の日課はできるだけふだんに近い状態で保つ
- 音楽、読書、マッサージなど「楽しみリスト」を作り、毎日一つを実行する
- 時々好きなだけ落ち込む時間を作る=常にしっかりしていなくてもいい
- 笑ったり微笑んだりする時間があってもいい
- 愛犬のそばにいることを楽しんで
まとめ
アメリカにある、ガンのコンパニオンアニマルを持つ飼い主さんをサポートする非営利団体とそのコンセプトをご紹介しました。
最近の動物福祉を向上させるための研究では、犬を幸せにするためには飼い主さんも幸せを感じていることが重要であるという証明がされているものが増えています。愛犬に残された時間をハッピーなものにするためには、たとえ闘病中でも飼い主さんがハッピーな時間を持ち、心を穏やかに保つことが大切です。
そんな診断はないのが一番なのですが、いつかそんな日が来ることがあれば、ここに書いたことを思い出して過ごそうと思います。
《参考URL》
https://karmasue.org