犬は人の顔を覚えることが…できる!
今回は、犬は人の顔を覚えることができるかという疑問についてご紹介していきますが、結論から言ってしまうと犬は人の顔を覚えることができます。これは犬を飼っている人ならば「そうだろう」と思う結果かもしれませんね。
毎日過ごしている飼い主の顔を見れば嬉しそうに駆け寄っていますし、初めて会う人であれば吠えたり隠れたりするといった行動をとる犬は珍しくありません。
犬が人の顔を覚えるということは、犬の記憶方法に関係していることになります。しかし、実は少し前までは犬の記憶に関する研究はなかなか進んでおらず、はっきりとしたことはまったく判明していませんでした。
フィンランドのヘルシンキ大学の研究
少し前までは犬の記憶に関する情報はわかっていませんでしたが、フィンランドのある研究チームが行った実験により、犬は「知っている人」と「知らない人」を顔だけで判別していることが判明したのです。
この実験では、対象の犬に知っている人が映し出されるモニターと、知らない人が映し出されるモニターを見せ、どのような反応をするかを観察しました。
すると、知らない人が映るモニターは長時間見ることはありませんでしたが、知っている人が映し出されるモニターは、食い付くように長時間見つめていたという実験結果が出たのです。
この結果から、犬は人の顔を区別しているだけでなく、知っている人の顔を匂いなどを当てにせずとも判別することができるということがわかりました。つまり、人の顔を記憶し、飼い主はもちろん、その他の知っている人のことも記憶していることになります。
何度も会うことで連想記憶が作用する
犬は人の顔を覚えることができるということはわかりましたが、具体的に犬の記憶回路はどのように作用しているのでしょうか。実は、犬には大きく分けて3つの記憶能力が備わっており、初対面の人を見たときに、どのように作用するかが関係しているのではないかと考えられています。
短期・中期記憶はタイムリミットがある
まず短期記憶と呼ばれる犬の記憶方法は、約10分程度しか記憶することができません。そのため、短期記憶で人の顔を覚えようとした場合、1度は覚えることができますが、10分後、忘れてしまうということになります。
次に中期記憶と呼ばれる記憶方法は、短期記憶の10分に比べて長く、1ヶ月記憶することができます。短期記憶よりは長期間記憶を維持することに適しているのです。
しかし、短期記憶も中期記憶も記憶できる期間に限度があります。そのため、その期間内に会うことがなければ犬に忘れられてしまい、もう一度初対面からやり直し、となってしまうのです。
長期記憶は一生記憶される
3つ目は長期記憶です。これは一生涯忘れることなく記憶されることを言います。つまり、常に一緒にいる飼い主のことは、基本的に生涯忘れることはないので、この長期記憶に位置づけられていると考えられます。
犬に顔を長期記憶されることで、一定期間会えない時間があっても、次に再会したときに匂いや声、顔などの様々な情報から記憶を呼び起こし、「あの人だ!」と思い出してもらうことができるのです。
何度も会うことで自然と顔を覚えられる
この短期記憶、中期記憶、長期記憶の3つの記憶方法を挙げましたが、飼い主であっても他の人であっても、最初は短期記憶から始まると考えられます。つまり、始めは皆、10分で忘れられてしまうということです。
しかし、飼い主であれば毎日長い時間いますし、知人であれば遊びに来た際、長時間一緒にいます。そのため、10分以内に何度も顔を合わすため、忘れられることなく記憶され続けるのです。そして、ある程度の時間一緒にいることで、自然と顔を記憶できるようになり、中期記憶に移行すると考えられます。
飼い主であればその後、毎日顔を合わせますから、さらに中期記憶から長期記憶に移行しやすいでしょう。知人であれば、始めは最低1ヶ月に1回という頻度で遊びに来ることで、徐々に長期記憶に移行していくと考えられます。
この説から考えると、散歩中に初めて会い、短時間で別れてしまう人の場合は記憶が落ちやすいと考えられます。しかし、何度も頻繁に会う内に自然と中期記憶、長期記憶に移行することがあります。
まだまだ犬の記憶に関してはすべて解明されていないので、現段階で考えられる説をご紹介するのみです。しかし、今後研究が進み、犬の記憶に関する新たな真実が解明されるかもしれませんね!
まとめ
いかがでしたでしょう。犬の記憶に関しては、未だ解明されていないことが多いですが、犬が人の顔を覚えることができるということは実験により明らかになっています。しつけをする際も、犬の持つ記憶方法を意識して行うことで、しつけや芸を教えやすくなるかもしれませんね。