犬は人の話の内容を理解しているのか?
人の言葉や話の内容を犬が理解できているかということについては、数多くの研究が行われています。多くの飼い主さんが実感していると思いますが、犬は人の話す言葉や内容をある程度理解することができます。それは言葉そのものを理解しているというよりも、人の言葉を“音”として認識し状況などとあわせてくり返し聞くことで学習しその意味を理解していくと考えられています。覚えることのできる単語の数は200前後とされていますが、犬種や個体による差も大きく、あるボーダーコリーは1,000の単語を理解することができたとして話題を集めています。
犬が言葉を理解する方法①声のトーンや表情
人が話す話や言葉の意味を犬がどのように理解するかということについて、最も大きな要素となるのが発せられるトーンやイントネーション、表情、ボディランゲージだとされています。言葉を“音”として認識するため、声の大きさや抑揚、スピードなどが非常に重要なポイントとなり、「うれしいこと」「悲しいこと」「怖いこと」「楽しいこと」などどういった種類の言葉なのかを判断すると考えられています。
ハンガリーにあるエトベシュ・ローランド大学の動物行動学者アッティラ・アンディクス氏によって、犬の脳が言葉をどのように処理するかということに関する研究が行われています。犬の脳が反応しているのは単語そのものなのか声色なのかを調べるために、ほめ言葉を「ほめる口調」と「普通の口調」で、感情を伴わない普通の言葉を「ほめる口調」と「普通の口調」で、と全4パターン聞かせる研究をしました。
その結果、犬の脳の左側が単語に反応し、右側が声色に反応しているということが判明しました。つまり、犬は人間同様に単語そのものと感覚的な部分を左右の脳それぞれで同時に処理しているということになります。
犬が言葉を理解する方法②場所や状況
犬が人の話の内容や言葉の意味を理解するときには、場所や状況から判断することも多いとされています。例えばキッチンで犬の食事を入れるフードボウルを持ちながら「ご飯だよ!」と呼びかければ「ご飯」という言葉の意味を容易に理解できるでしょう。それと同様に玄関でリードを持ちながら「散歩だよ!」と声をかければ「散歩」という言葉の意味をすぐに理解するでしょう。犬は非常に観察力に優れた動物です。そのため、何らかの言葉が発せられたときに声のトーンやその相手のボディランゲージとともに周辺の状況や環境などもあわせて把握し、言葉の意味を総合的に判断しているのです。
<まとめ>犬による人の言葉を理解について
犬は知能が高いだけでなく人とのコミュニケーション能力が高いことから、人の発する言葉の意味を理解しやすいと考えられています。犬の脳は人と同じく、左右それぞれで言語そのものとそれにまつわる感覚的な部分を処理するため、人の声のトーンや周囲の状況をあわせて言葉の意味を理解するのです。そのため、きちんとしたプロセスでトレーニングを行えば一般的な犬でも200程度の単語を覚えることができ、中には1,000もの単語を覚えた犬もいます。犬は私たち人間の話や言葉を一生懸命理解しようとしてくれています。愛犬に話しかけるときには、伝わりやすさを意識してみるとより深いコミュニケーションが取れるようになるかもしれませんね。