犬は飼い主の表情を見分けることができる?
今回は、犬が飼い主の表情を見分けることができるかどうかを中心に、犬と飼い主の関係性やちまたで噂されている都市伝説について触れていきます。
まず、結論から言ってしまうと、犬は飼い主の表情を見分けることができます。これはオーストリアで行われた実験によって、すでに証明されています。しかも、飼い主はもちろん、知らない人の表情を見分けていることがわかっているのです。
実験はスクリーンに映し出された笑顔と怒りの表情を使用して行われました。笑顔を選ぶとご褒美がもらえるグループと、怒りの表情を選ぶとご褒美をもらえるグループの2つに犬たちを分け、この行動を行わせます。
実際に実験が始まると、犬たちは徐々にどちらを選べば自分はご褒美をもらえるかを理解するようになり、最終的には確実に教えられた方の表情を選ぶことができるようになりました。つまり、犬は同じ人の写真であっても表情に違いがあることを理解しているのです。
感情を理解し、表情に応じた行動を取る
さらに上記の実験では、2つのグループ間である違いがありました。それはパネルの表情を選ぶのにかかった時間です。
笑顔を選ぶグループの犬たちがサッと非常に短い時間で、あるいは時間を掛けずに選ぶのに対し、怒りの表情を選ぶグループの犬たちは、目を背けるなどの一瞬躊躇するような仕草を見せ、その後正確な表情(怒りの表情)を選んでいたのです。そのため、怒りの表情を選ぶグループの犬は、笑顔の表情を選ぶグループに比べて時間がかかるという実験結果が出ました。
この犬の行動を見ると、「笑顔」グループの犬は何の躊躇もなく意気揚々とパネルを選んでいるのに対し、「怒り」グループの犬は躊躇しているので、その顔にマイナスの印象を抱いていることがわかります。もちろん、パネルに表示されている2つの表情は同一人物です。
したがって、犬は飼い主の表情から感情を読み取り、それに対して適切な行動を取ることがわかります。また、パネルに表示されている人物が飼い主ではなかったことから、飼い主だけでなく、知らない人であっても感情を読み取っていることがわかります。
犬は飼い主の表情から感情を読み取る
上記の実験内容と結果から考えると、犬は普段から飼い主のことを観察し、その瞬間の飼い主の状態や感情を察知している可能性が非常に高いです。
よく飼い主が落ち込んでいると近くに寄り添ってくれるという話や、イライラしていると遠くからジッとこちらをうかがっているといった話がありますが、これも飼い主の表情や声のトーンから感情を読み取り、愛犬が適切だと思う行動をとっていることになります。
こうして考えると、犬はとても賢く、人間の行動や仕草、さらに表情までをしっかり観察し、考察していることがわかりますね。
犬が飼い主に似る、は都市伝説?
最後に犬に関するある都市伝説について触れたいと思います。皆さんは犬を始めとしたペットが飼い主に似るという噂話を聞いたことはありますか。「ペットは飼い主に似るからね」と、会話の内容によっては途中で出てくることがありますよね。
これは単に話のネタとして都市伝説的な話として広がっていましたが、実は近年、これは強ち間違いではないという説が濃厚になっています。一体どういうことなのでしょうか。
飼い主を観察し続けることで似ることがある
前述したように、犬は飼い主の感情を読み取るほど、表情をしっかり観察しています。また、飼い主と同じ事をしたいという思いが犬は強いため、飼い主の真似をしようとすることがよくあります。
同じように普段からよく観察している飼い主の表情が、無意識の内に癖として犬にも移ってしまい、顔の造形はまったく違うものの、「どことなく似ている気がする」という状況を作り出しているのです。
表情だけでなく、飼い主の性格や行動が犬に似ることも珍しくありません。普段から一緒に過ごしている人の影響を受けるというのは人間にも起こり得ます。飼い主を人間以上に観察している犬ならば、飼い主の性質に強く影響される可能性は大いにあります。
そう考えると、「なんとなくあの人とあの人の犬は似ている」という雰囲気を醸し出しているペアは、しっかり信頼関係が築けているということの表れの1つなのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬は私たちが想像している以上に飼い主の行動や表情を観察しています。その行動の意味や表情の意味もしっかり考えてくれていると思うと、なんとなく気恥ずかしい気持ちにもなりますが、飼い主としては嬉しいですよね。皆さんも愛犬の前では愛犬が安心できるよう、笑顔で過ごすことを心がけてみてはいかがでしょうか。