車酔いのメカニズム
犬が車酔いを起こすメカニズムは人間と同じで、車の揺れや振動が耳の中にある三半規管や前庭を刺激することで自律神経や平衡感覚の乱れが引き起こされます。
犬たちは通常、人間と同じように三半規管や前庭で体の位置を把握し、目で見ている景色を脳に送ります。自分の位置や傾きを知ることで姿勢を崩さないようにしているのです。しかし車にのるとその揺れや目に入ってくる景色など、三半規管で感知した情報とずれが生じて平衡感覚が保てなくなります。その結果、脳が情報を処理しきれずに胃や腸などの消化器をコントロールしている自律神経が乱れてしまうのです。
また、過去に車酔いをしたことがある犬は次に車に乗ったときにすぐに吐いてしまうことがあります。「車=いやなもの」という認識がありストレスを感じて車酔いの症状が出てしまうものだと考えられています。その他にも車内のにおいも車酔いの原因になります。ガソリンやたばこ、そして芳香剤のにおいも犬にとって刺激が強すぎるものなのです。そのため犬を車に乗せる場合は揺れだけではなく、においにも注意が必要です。
犬の車酔いの6つの症状
犬にも個体差があり、すぐに車酔いをする犬もいれば全然酔わない犬もいます。ただ一度車酔いを経験するとその後も車酔いをしやすくなるため、症状が出たらひどくならないうちに車をとめて車内の空気をいれかえたり、犬をなでてあげたりすると良いしょう。
よく見られる車酔いのサインは以下のものです。
- 生あくび
- 口をくちゃくちゃならす
- 鳴きながらそわそわする
- よだれを流す
- 呼吸がはやくなる
- 嘔吐
症状が出ても無理に車に載せ続けていると、犬にとって大きな負担になります。高速道路など途中で車を停めることができない場合はできるだけ早く近くのパーキングエリアなどで休むようにしてください。
車酔いの対策と予防
車の換気をしておく
車酔いの原因のひとつににおいがあります。タバコやガソリン、芳香剤、香水などのにおいは犬にとっては刺激が強く車酔いにつながります。そのため犬が乗る前に車の換気をして、においを少しでも消しておいてください。走行中に窓をあけると危ないので、必ず車に乗る前か、車を停めてから換気するようにしましょう。
症状がでたら車をとめて、空気を入れ替える
車酔いの症状として呼吸がはやくなる、よだれが出るなどがあります。これらの症状が出た場合は一旦車を停めて窓をあけて空気を入れ替えたり、犬を外に連れ出して休憩をしてください。とくに初めて車に乗る場合はこまめに休憩をとってあげましょう。不慣れな場面で体調が悪くなると、それだけで大きなストレスとなります。犬の気持ちになって、休憩をとることを心がけてください。
食後や空腹時は避ける
食後や過度の空腹状態では自律神経が過敏になるため、車酔いになりやすくなっています。朝ごはんを食べてから午後からおでかけぐらいが良いでしょう。逆に空腹状態も良くないので、ご飯をあげる時間とでかける時間を計算しておくと良いですね。
少し狭めのクレートやキャリーバッグに入れる
犬を車に乗せるときは少し狭めのクレートやキャリーバッグに入れると良いでしょう。体の動きが制限されるため負担が軽減されます。抱っこする方もいるかもしれませんが、思っている以上に揺れが大きく、バランスをとろうとして必死になるため疲れもたまります。また急ブレーキをかけたときには体が固定されていないため、外に放り出されたりガラスにぶつかったりして怪我をしてしまう恐れもあり大変危険です。クレートやキャリーバッグにいれて、シートベルトで固定してください。その際にはクレートに布をかけてそとを見えなくすると、視覚と感覚のずれが起きないので車酔いを起こしにくくなります。しかし外が見えないと不安になる犬もいるので、犬の性格や日頃の態度などを見て決めてください。
ストレスを減らす
犬にとってストレスがかからない状態を作ってあげることが大切です。車酔いは視覚と嗅覚のほかにもストレスによって引き起こされることもあります。クレートやキャリーバッグにいれて、隣に誰かが座り声をかけてあげるのが理想です。クレートやキャリーバッグに慣れていないと入れられること自体がストレスになってしまうため、日頃からそういったものに入る練習をしておきましょう。車酔いの軽減はもちろん、災害などで避難したり、怪我をして安静にしておいたりする際にとても役に立ちます。
まとめ
犬も人間と同じように車酔いをします。そして原因も同じです。車酔いの症状としては嘔吐やよだれ、呼吸がはやくなる、などわかりやすいものがあるので、症状が出始めたら車を停めて休憩したほうが良いでしょう。犬の体に負担をかけないように、こまめに休憩をとりながら移動してください。クレートやキャリーバッグに入れて移動すると車酔いの対策になります。
車酔いは車の臭いが原因になることがあります。車の中の臭いには注意したほうがよいでしょう。また、車酔いがひどい場合は動物病院で酔い止めを処方してもらいましょう。車に乗る1時間前位に投与してください。