犬の被毛の役割①「体温を調節する」
犬の被毛には“体温を調節する”という役割があります。冬には、厳しい寒さに耐えるため、被毛の量が増えます。もふもふでやわらかく、ボリュームのある被毛ですよね。夏には、暑さを軽減させるため、被毛の量が減ります。夏に向け、春頃に始まる換毛期には、冬の寒さをしのぐために蓄えておいた被毛が大量に抜けますよね。
私たち人間が夏と冬の季節によって衣替えを行うように、犬も被毛の量を変えることで体温を調整し、季節によって衣替えを行っているのです。同じ犬種でも、暮らしている国や地域によって換毛期に違いがあるのは、その国や地域の気温に差があるからでしょう。
犬の被毛の役割②「皮膚を守る」
犬の被毛には“皮膚を守る”という役割があります。長い被毛もあれば短い被毛もあります。柔らかい被毛もあれば硬い被毛もあります。どんな被毛も皮膚を守るために必要な存在です。犬の皮膚を傷つけてしまう外部からの刺激には、どんなものがあるでしょうか。日差し・紫外線・雨・病原体などです。
私たち人間の皮膚と比べて、犬の皮膚はとても薄く、外部から刺激を受けやすい状態です。外部からの刺激から皮膚を保護し、健康を維持することができるのも被毛のおかげなんです。雨の中お散歩へ行き、ドライヤーで乾かしてあげていると、こんなことがあります。被毛の外側は濡れているのですが、内側はほとんど濡れておらず、皮膚は全く濡れていません。被毛によって皮膚が守られているということがよくわかります。
犬の被毛の役割③「シングルコートとダブルコートの役割」
犬の被毛には“シングルコート”と“ダブルコート”があります。シングルコートは、被毛が一重構造になっていて、換毛期がなく、抜け毛が少ないのが特徴です。シングルコートの代表格では、トイプードルが有名ですよね。
ダブルコートは、被毛が上毛と下毛の二重構造になっていて、換毛期があり、抜け毛が多いのが特徴です。上毛のことを“オーバーコート”と言い、下毛のことを“アンダーコート”と言います。換毛期に大量に抜ける被毛は、アンダーコートです。ダブルコートの代表格では、柴犬やポメラニアンが有名ですよね。
シングルコートとダブルコートの違いは、アンダーコートを持っているか持っていないかです。シングルコートであるトイプードルは上毛を持ち、下毛を持っていません。被毛の役割においては、どんな違いがあるのでしょうか。
オーバーコート(上毛)の役割
オーバーコートは、太くてガッシリとした剛毛です。主に、皮膚を保護するための役割を担っています。雨の日など、水をはじいてくれるのもオーバーコートです。シングルコートであるトイプードルなどのオーバーコートは、太くてガッシリとした剛毛、やわらかくサラサラしている、カールしている、など様々なタイプがあります。
アンダーコート(下毛)の役割
アンダーコートは、ふんわりとやわらかい被毛です。主に、体温を調整するための役割を担っています。夏には量を減らして涼しく、冬には量を増やして暖かく、快適に過ごすことができるよう、換毛期があります。
実は、シングルコートであるトイプードルなどの犬種にも、全くアンダーコートがない、というわけではありません。柴犬やポメラニアンなどのダブルコートである犬種は、アンダーコートを季節や気温によって一気に換毛させます。一方、シングルコートである犬種は、一年を通して少しずつ換毛させているんです。
夏毛と冬毛の違いがある柴犬やポメラニアン。一年中同じ被毛のトイプードル。といった違いがあると言えばわかりやすいのではないでしょうか。
まとめ
犬の被毛の主な役割は2つあります。
- 体温を調整する
- 皮膚を守る
私たちが服を着ることと同じ役割なのではないでしょうか。一年のほとんどを室内で過ごし、冷房や暖房によって快適な温度が保たれています。そのため、換毛の周期が乱れてしまう犬もいるようです。また、皮膚病の原因にもなることがあるようです。
季節の違いや気温の違いをしっかり感じることができるよう、環境を整えてあげたいものですね。夏のサマーカットにも十分な注意が必要です。過剰に短くカットしてしまうことはやめましょう。