なんでダメ?犬がチョコレートを食べてしまうとどうなるの?

なんでダメ?犬がチョコレートを食べてしまうとどうなるの?

犬にチョコレートを与えてはいけないと知っている方は多いのですが、なぜチョコレートがダメなのかを知っていますか?こちらではチョコレートが犬に及ぼす危険性について詳しくご紹介しています。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

なぜ犬にチョコレートを与えてはいけないの?

いろいろな種類のチョコレート

犬にとって有害な物質「テオブロミン」

チョコレートには、テオブロミンという成分が含まれています。テオブロミンはカフェインと同じ「メチルキサンチン類」と呼ばれる物質の一つで、神経を興奮させたり利尿を促したりする作用があります。

人間はこのテオブロミンを摂取してもある程度は大丈夫なのですが、犬はテオブロミンの分解が遅いため、その作用が強く出てしまうのです。犬はテオブロミンを分解して排出するのに時間が長くかかってしまうため、テオブロミンを摂取した場合に体内に留まってしまう量が多くなるということです。犬がテオブロミンを完全に分解するには24時間以上必要で、食べてしまってから丸一日以上も危険な状態が続くこともあります。

犬が食べてしまうとどうなるのか

病院の診察台で診察されている黒い犬

中毒症状

テオブロミンによる中毒症状は、

  • 下痢や嘔吐
  • 興奮状態
  • 頻尿や失禁
  • 喘ぐような呼吸
  • 脈に異常が出る
  • ふらつき
  • 昏睡状態

などがあります。症状はチョコレートを食べてから2~4時間以内に出ることが多いですが、時には半日~一日経ってから出始めることもあります。また、大量に食べてしまい不整脈が出た場合には、数時間で死に至る場合もあります。

チョコレートの致死量はどのくらい?

テオブロミンはカカオ含有量が高いチョコレートに多く含まれています。ですので、ホワイトチョコレートのようにカカオ含有量が少ないチョコレートの危険性は極めて低いです。(しかしホワイトチョコレートであっても犬に与えない方が良いです。)

どのくらいの量のチョコレートで致死量的になるのかは、そのチョコレートに含まれているテオブロミンの量や犬の体の大きさによります。想像しやすいように体重10kgの犬の場合を挙げてみますと、板状ビターチョコレート1枚で中毒症状が起きると言われています。しかし、犬の体質にも個体差があり、より強くテオブロミンの毒性が現れる犬では、少し食べただけでも中毒症状を起こすこともありますので注意が必要です。

食べてしまったときの対処法

病院で診察を受ける子犬

すぐに動物病院へ!

犬がチョコレートを食べてしまった場合はすぐに動物病院へ行き、適切な方法で吐き出させることがチョコレートを食べて時間が経っていない場合には最も効果的な対処法です。もしも吐き出させることが困難だった場合には胃洗浄することも出来ます。また、動物病院ではチョコレート中毒以外の病気がないか検査を行って調べることも出来ますし、点滴や導尿などの必要な処置を行えます。発作が起きたり興奮状態になってしまった場合でも、獣医師がいればすぐに対処できます。

自己流で吐かせるのは危険!

中毒症状を抑えるためには治療のスピードが非常に重要ですので、自宅で吐かせようとするのは時間がかかったり危険なので絶対にやめましょう。自己流で吐かせるのは犬の体にも余計な負担がかかってしまいますので、プロに適切な方法で吐かせてもらうことが重要です。

そして、チョコレートだけではなく包装のビニールやアルミ紙なども一緒に誤飲してしまっている可能性もありますので、自宅で吐かせてそれらが食道にひっかかってしまうと別の問題が生じてしまいます。

どんなチョコレートをどのくらい食べたのか把握しよう

動物病院へ行って処置を受けるにあたり、どんなチョコレートをどのくらい食べてしまったのかを把握して獣医さんに伝えられるようにすると重症度を予測するのに役立ちます。食べてしまったもののパッケージがあれば、成分表を獣医師が確認できてより適切な処置を行うことができますので一緒に持っていくようにしましょう。

まとめ

テーブルの上のドーナツを食べたそうな犬

チョコレートに含まれる成分「テオブロミン」は犬では代謝が遅く、嘔吐や下痢、多尿、脈の異常や興奮状態などの中毒症状になるを起こす原因であることが分かりました。少量であったとしても、犬がチョコレートを食べてしまったときにはすぐに動物病院へ行き、適切な処置や検査を受けるようにしましょう。

しかし犬がチョコレート中毒を起こさないための一番の方法は、犬がチョコレートを食べないことです!犬にチョコレートを与えないことはもちろん、犬に盗み食いされないようにチョコレート製品をきちんと保管するようにしましょう!

監修獣医師による補足

犬がチョコレートを食べることによって起こる病気には、本記事に書かれているテオブロミンによる中毒の他に、特に一度に大量に摂取した場合に起こる胃の不調や膵炎があります。

どちらも大量の糖類と脂肪を摂取したことによるもので、胃の不調でしたら不快感や嘔吐などが起こる程度ですが、膵炎は下痢や嘔吐、腹痛などを起こし、非常に症状が重くなることもあります。

チョコレートを食べた後時間が経っていても嘔吐や下痢などの症状が見られたり、元気がないようであれば、すぐに動物病院に連れて行って下さい。

また、テオブロミン中毒に関して言えば、どんな種類のチョコレートをどれくらい食べてしまったかという情報が重要になります。チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量が大きく異なるからです。

〈1gあたりに含まれるテオブロミン量〉
ココアパウダー:20mg程
製菓用チョコレート、ビターチョコレート:15mg前後
ミルクチョコレート:1~2mg程
ホワイトチョコレート:0.1mg程

 犬の体重1kgあたりのテオブロミン摂取量が20mgで症状が出始め、40~50mgで重症となり、60mg以上で痙攣を引き起こすと言われています。犬における致死量は文献によっても異なりますが、100~500mg/kgとも80~300mg/kgとも言われています。

獣医師:木下 明紀子
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