甘やかすことと甘えさせることの違い
みなさんは犬を「甘えさせること」と「甘やかすこと」の違いをどのように考えますか?普段、それらを意識して愛犬と接することはあるでしょうか。
甘えさせる
甘えさせるというのは犬が不安やストレス、心細さなどを感じたときにその気持ちを受け止めて優しく接してあげたり、ボディランゲージで『かまって欲しい』『こっちを見て欲しい』と飼い主に伝えたときその気持ちに応えてあげることなどが挙げられます。「甘えさせること」のポイントは、犬からの情緒的要求に応えること。
もちろんすべての要求に応じるというわけではなく、愛犬の気持ちを受け止め理解してあげること。そして愛犬に伝わる形でリアクションを返してあげることだと思います。具体的には愛犬が『もっと構って』とアピールしてきたときは、アイコンタクトを取り優しく声掛けをしたりなでてあげること。そして愛犬がカーミングシグナルなどさまざまなボディランゲージで伝えてくる要求をしっかりと読み取ってあげることです。
甘やかしとは
甘やかすというのは犬の物理的な要求に応え続けることです。『おやつをもっとちょうだい!』『もっと遊んで欲しい!』などという欲求は、どんな犬にでもあるものですがある程度その欲求が満たされているはず。しかしいつまでもそれらを要求し続けることに対し、『ハイハイ、しょうがないわね』と無制限に応えることは甘やかしになってしまいます。我慢をさせないことや過保護にしすぎることも甘やかしのひとつです。
甘やかすことの問題について
愛犬を甘やかすことは実はとても簡単なのことです。犬が『欲しい!!』とアピールするおやつやおもちゃをそのまま与え犬の思い通りに行動させるため、犬はとても機嫌がいいでしょう。反対にそれらを我慢させたり要求に応じないで無視することは、飼い主の心が痛んだり手間が増えて面倒なことがあったりと大変な面があると思います。
しかし、犬を甘やかすことが楽ちんなのはそのとき限りのことで、長い目で見ると甘やかし続けた犬は非常に扱いにくい犬に成長してしまいます。人間で考えればわかると思いますが、自分の思うがままに欲しいものが手に入る生活を続けていれば、次第にその人はわがままになりどんなときでも自分の要求や都合ばかりを押し付けるようになっていくでしょう。それは犬でも同じことです。
犬を甘やかし続けるとどうなる?
甘やかされ続けた犬は、自分の要求が通らなかったり思い通りにならないことがあると吠えたり相手を攻撃したりするようになります。どんな方法を使ってでも要求を通そうとするのです。
また、甘やかして愛犬の好きな食べものばかり与えていることで偏食や肥満にさせて健康を害してしまうこともめずらしくありません。散歩で抱っこをせがむからと歩かせずにいると、これもまた肥満や筋力低下の原因になったり社会性が育たずストレスを抱えやすい犬に成長してしまうこともあるでしょう。自分の思い通りにいかないこともあるという経験をすることは、犬があらゆる意味ですこやかに育つためにとても大切なことなのです。
甘えさせることの大切さとは?
甘やかすことは犬にとってさまざまな弊害があるとしましたが、甘えさせることはどうなのでしょうか?犬を甘えさせることは情緒的要求に応えることだとしました。小さな頃から、犬と飼い主がスキンシップやコミュニケーションをとることはとても大切です。そしてもその上で最も注意したいのが、愛犬の気持ちに寄り添ったスキンシップ・コミュニケーションをとるということなのです。愛犬が気持ちよく寝ているところを強引に起こしてスキンシップをとったり遊びに誘ったりすることや、愛犬の気持ちを考えずに遊びに連れまわすことなのは適切なコミュニケーションとは言えないでしょう。
甘えさせることのポイント
甘えさせることのポイントは、愛犬の『構って欲しい』『そばにいて欲しい』といった気持ちをしっかりと読み取り、それを受け止めてあげることです。気持ちが伝わったこと、それに応えてもらえたという安心感は犬の性格を形成する上でとても大きな要素となります。無条件に愛されていることや存在が認められることは犬に自信と余裕を与えます。
<まとめ>甘やかすことと甘えさせることについて
みなさんは大切で愛おしい愛犬にどんな愛情を注いでいますか?甘えさせることと甘やかすことの違いについて改めて考え、また自分の愛犬への接し方を振り返ってどのように感じたでしょうか?愛犬の甘えたいという情緒的要求を感じ取ることは簡単ではないかもしれませんが、しっかりと観察し気持ちに正しい愛情を注ぐことはその後十数年続くお互いの関係性づくりにおいてとても重要なことです。
その反対に甘やかすことはとても楽ちんですが、犬が成長したとき思わぬ苦労が待っているかもしれません。甘やかしているけれど甘えさせていないという状態では、信頼関係がうまく築けていない場合もあります。ぜひこの機会に愛犬への接し方を振り返ってみてくださいね。