困った犬になる原因①犬の気質
犬の行動の中で何を“困った行動”“問題行動”と考えるかにもよりますが、その中には犬が本来持つ動物としての本能や犬種特有の気質が影響していることもあります。レトリバー種のように人に対して非常にフレンドリーな犬種もいれば、日本犬のように飼い主以外の人間に対し警戒心を抱きやすくなつきにくい犬もいます。
また、大きな声で吠えることや走っているものを吠えながら追い立てる仕事をしていた犬、物音や気配に敏感で過剰反応する犬などもいます。これらは飼い主の育て方に関係なく元々犬が生まれながらに持っている気質です。気質として持っている犬にとっては自然な行動であり、しっかりと役割を果たしていることになります。
しかしその行動が飼い主や周囲の人間にとっては困る行動である場合、「それは今はしなくていい仕事である」ということをきちんと教えてあげる必要があるのです。つまり、その気質を抑えるようなしつけをするか、助長してしまうような接し方をするかでその行動の出現頻度は変わってくるということになります。
困った犬になる原因②社会化・しつけ不足
犬の問題行動の最大の原因になると言われているのが「社会化不足」です。社会化とは生後2~4か月頃のに訪れる犬の社会化期に、あらゆるものに慣らしておくことを言います。人や他の犬、猫や虫、車や自転車、踏切やシャッターの音、工事現場、傘やドライヤーなど今後人間社会の中で生きていく中で出会うであろうさまざまなものに触れ合い慣れておくことで、それらに恐怖心や警戒心を抱かずに受け入れることができるようになるのです。
社会化期に十分な社会化ができていないと、常に見知らぬ“何となく怖いもの”に囲まれて生きていくことになり、「どうしたらいいかわからない」という不安や強いストレスを犬が感じてしまいます。その恐怖心やストレスから他人や犬に対して吠えたり噛んだり、家の中でいたずらをしたり困った問題行動を起こしてしまうのです。
困った犬になる原因③飼い主の接し方
社会化やしつけを適切に行わないと愛犬が問題行動を起こしやすい困った犬になってしまうことがあるでしょう。さらに、具体的なしつけだけでなく飼い主の日頃の接し方によっても困った犬になってしまうことがあるので注意しましょう。
犬を可愛がりたっぷりの愛情をそそぐことはとても大切なことですが、犬の要求に応じてばかりいるとそれは“甘やかし”になってしまい、「飼い主は何でも言うことを聞く相手」と間違った認識をしてしまうことがあります。それと同様にむやみにかまいすぎたり、愛犬の機嫌を伺うような接し方をすることでも同じような影響が見られます。
また、しつけの中で厳しい体罰などを行うこともおすすめできません。基本的に犬や飼い主、周囲に危険が及ぶような緊急事態をのぞいては、一般の飼い主が行うしつけの中で厳しい体罰は必要ないと思います。タイミングや力加減が適切ではない体罰は、単純に犬に苦痛をあたえるだけで飼い主との関係性もあっという間に壊してしまうでしょう。信頼関係がなくなった状態では、飼い主の言うことを聞くはずもなく扱いにくい困った犬になることは目に見えています。
<まとめ>困った犬になるのは飼い主のせい?
犬が本来持っている気質によって、起こりやすい問題行動の傾向はある程度わかります。気質によって、しつけをしなくても人にフレンドリーで吠えることなどめったにない犬もいますし、常に警戒心をあらわにして攻撃的な姿勢を見せる犬もいます。そのどちらも犬としては個性の範疇にすぎませんが、一緒に暮らす飼い主や周囲の人間にとっては大きな違いとなり問題行動とみなされてしまうと思います。
人間と一緒に生きていく上で問題となる行動をできるだけ起こさないような犬に育てるためには、そうした気質を理解した上でどのような接し方をしてどのようなしつけを行う必要があるのかをきちんと把握することが大切です。問題行動の原因の全てが飼い主にあるとは言いませんが、犬の行動に飼い主が大きな影響を及ぼすことは確かなのです。
また、散歩が足りず運動不足になっている犬や留守番が多く飼い主とのコミュニケーションが不足している犬なども、ストレスから問題行動を起こす困った犬になりやすいと考えられます。犬の困った行動、問題行動の原因を少しでも減らしてあげることは飼い主にするべき大切な関わりだと思います。