ケア&注意点①床ずれ予防をする
犬が寝たきりになったとき、最も気にかけてあげたいのが“床ずれ”です。床ずれは長時間犬の体とマットや床などが接していることで、その部分が圧迫されて血流が悪くなり皮膚組織や筋肉が壊死してしてしまう状態です。寝たきりの犬は自分で体を動かすことが困難であることから、マットや床と接している部分が床ずれを起こしやすいのです。
寝たきりの犬の床ずれを防ぐためには、長時間同じ体勢にならないように一定時間が経過したら飼い主の手で寝返りをさせてあげたり、体位を変えてあげることが必要です。2~3時間を目安に寝返りをさせてあげるといいとされていますが、マットや床に接している体の部分がどのような場所かにもよってその時間は変わってくるので注意しましょう。
犬の体を触ったときにゴツゴツと骨を感じるような部分は皮膚や筋力に圧力をかけて床ずれを起こしてしまいやすいので早めに体位を変えてあげるように意識してください。また、一部分のみに圧力がかかりすぎないように体圧分散マットレスなどを用意してあげることも効果的です。
ケア&注意点②排泄サポートで清潔を守る
年をとって寝たきりになった犬は筋力が低下しているため、排泄のために移動することはおろか自力で排泄をすることもむずかしくなってしまいます。寝たきり状態の場合、オムツで排泄していることもあると思いますのでその場合はこまめにおむつをチェックして汚れた状態で長くつけていないように注意してあげることが大切です。
また、お尻周辺や尻尾の毛を短くカットするなどして汚れが溜まりにくいよう整えてあげることもいいでしょう。基本的には寝たきりでも一時的に立ち上がることができる場合などは犬の体を支えて排泄姿勢を保ってあげ、少しでも自力でできることを残してあげるようサポートしてあげてください。自力排泄がむずかしい場合は腰や腹部のマッサージを行ったり、圧迫したりして排泄を促してあげる必要があることも。ただし、適切なマッサージ部位や力加減は自己判断せず獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
ケア&注意点③食事を安全に摂れるよう介助する
寝たきりになると食事を摂ることもむずかしくなってしまうケースが多く見られます。立ち上がったり、上半身を動かすことが困難な場合は飼い主さんが流動食をチューブやスプーンで口に運んであげることがあると思いますが、横になったまま食事をすると飲み込みにくいため喉に詰まらせてしまう可能性があります。そのため、寝たきりであってもできれば犬の頭を飼い主さんの膝やクッションを利用して少し起こすような形にして少量ずつ食べさせてあげるようにしましょう。
大型犬の場合は頭だけを膝に乗せるのではなく、肩や胸の下にクッションを置くなどして上半身全体を緩い傾斜をつけて起こすようにしてください。毎回飲み込んだことを確認してから次の一口を口元に運ぶようにし、ゆっくり食べさせるよう注意しましょう。
まとめ
犬が寝たきりになると床ずれ防止のためのケアや食事や排泄の介助など、サポートしなければならないことがたくさんあります。そうした必要最低限の介助とともに、犬のストレスを少しでも軽減してあげるため、外の風やにおいが感じられたり、寝たままでも外の景色が見える場所などに少しの時間移動させてあげるなど一日の中で生活に変化をつけてあげるといいでしょう。そして何よりも大切なのが、介助・介護をする飼い主さん自身がきちんとストレス発散をすることです。
大好きな愛犬が年老いて寝たきりになった姿はとても切ないものがありますし、生活の介助や介護はとても大変なことです。特に犬の介護となると周囲の理解が得られないことも多いでしょうし、苦労を分かち合える人が少ないのが現実です。行き詰まり、ストレスを抱えたまま介護をすることは、決して犬にとってもいいことではないはず。大らかな気持ちで犬に接することができるように、寝たきりの愛犬の介護をするときには飼い主さんも適度に息抜きをしてくださいね。