犬の散歩は絶対にいかなければいけないのか?

犬の散歩は絶対にいかなければいけないのか?

愛犬との散歩は楽しい半面大変だと感じるときもありますよね。犬には散歩が絶対に必要なのでしょうか?散歩に行かなくていい犬はいるのでしょうか?

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

散歩に行かなくていい犬はいる?

トイプードル

一時期ペットショップなどで犬が販売されるとき、チワワやトイプードルなどの小型犬種は「散歩がいらない」と説明がされることがありました。もしかしたら今でもそのような説明をしているショップもあるかもしれません。犬を飼うことを考えたとき、毎日お散歩に連れて行かなければならないということがネックになる人も少なくありません。そのため「散歩がいらない犬種」は犬の散歩の時間をつくれない忙しい人や、散歩を面倒に感じる人などから人気を集めました。しかし、実際のところ販売時に説明される「散歩がいらない」という情報は正しくなく、いわゆる“売り文句”のようなもので、その後犬に関するメディアなどで「散歩がいらない犬種などいない」と注意喚起されることが増えました。

はっきり言って、「散歩がいらない犬種」というものは存在しないと思います。どれだけ小さくてもどれだけおとなしい性格であっても、犬には散歩が必要です。それは運動量の問題だけでなく、犬の精神衛生上の問題や飼い主とのコミュニケーションの問題にもつながることなのです。もちろん、例外として病気や怪我などを原因として「散歩をしない方がいい」とされる場合もありますが、それは犬種や大きさで区切れるものではなく獣医師など犬に関するプロの目で個々の状況に対して判断されるものです。そのため「散歩がいらない犬」として迎え入れられる犬はいないと思っていた方が確かです。

犬に散歩が必要な理由

穴を掘る2頭の犬

運動のため

犬に散歩が必要な理由の第一はやはり体力・筋力づくりといった運動面の問題です。私たち人間でもそうですが、日頃運動をしないと体力や筋力が低下して健康を維持することがむずかしくなるでしょう。また、運動不足は肥満につながる大きな要因でもあります。特に日本の住環境を考えると家の中だけで犬の体力を発散させることはとてもむずかしいと思いますので、家の中で走らせたり遊ばせたりするだけでは十分な運動とは言えないでしょう。

ストレス発散のため

犬の本能を満たしてストレスを発散させ、体力とともに精神的にも充足感にあふれた生活を送るためには散歩がとても大切です。散歩に出て土や草に上を歩いたり、虫や鳥の姿を見たり、他の犬のにおいを嗅いだりすることは犬の五感を満たし生活に楽しみや刺激を与えてくれるのです。

また、散歩やドッグランでボールを追いかけて思いっきり走ったり、土を掘ったり、においを追って歩き回ったりすることで、その犬が持つ本能による欲求を満たすことにもつながります。欲求が満たされストレスの少ない犬は、家の中でのいたずらや問題行動の発生も少なくなるでしょう。

社会性を身につける

自宅の庭が広大で犬が思う存分駆け回れるほどのスペースがあるとしても、自宅外に出る散歩は必要だと思います。それは、散歩は犬が体力や筋力を養うだけでなく、精神的な刺激を受け、社会性を身につけることができる貴重な機会でもあるからです。犬は他人や他の犬・猫などの動物、音、物など世の中にあふれるさまざまな刺激に触れることで、それらの刺激に慣れさまざまな環境に対応できるように「社会化」されますが、社会化はいつでも容易にできるわけではありません。犬の社会化期は生後1か月頃から3か月頃だけであり、この時期は好奇心が恐怖心や警戒心を上回り、新しい環境を受け入れやすく、新しい刺激に慣れやすいのです。また、この時期に犬同士のかかわり合いを持つことにより、犬としてどう振る舞うべきかも学びます。新しい刺激に慣らすだけなら、好奇心旺盛で警戒心の少ない犬の場合大人になっても簡単にできることもありますが、それでも犬としての正しいふるまいはこの社会化期に身に着ける必要性があります。

その大事な小さな頃に閉ざされた環境におかれ社会化不足に陥ってしまった犬は、成犬になってもあらゆるものに恐怖心や警戒心を抱きやすく、常にストレスや不安を抱えて生きていかなければならなくなります。散歩は、社会化期の子犬にとって欠かせない大事な学びの場であり、社会化期を過ぎた犬にとっても社会性を維持、向上させるために必要です。犬の性格や飼い主さんのライフスタイルによって、毎日決まったルートのお散歩であったり出来るだけ違うルートのお散歩をするようにしたり、色々な場所へ連れ出してあげたりと、散歩のスタイルは様々でしょうが、散歩はしっかりとするようにしましょう。

犬の散歩に行けないときは?

ボールをくわえるシェルティ

犬には散歩が必要であると言っても、天候や飼い主の事情でどうしても散歩に行けない日もあるのではないでしょうか。それが数日続いてしまうことなどもあり、犬が運動不足になったりストレスが溜まってしまうこともあると思います。そうしたときは家の中で散歩の代わりになることをして、犬の気力・体力を発散することを考えて満足させてあげましょう。

ボール遊びや引っ張りっこなど体を使った遊びはもちろんですが、“おすわり待て”や“おいで”の指示を利用してかくれんぼをしたり、おやつが入ったカップをにおいで当てさせるゲームなど頭を使った遊びを取り入れてあげるといいでしょう。私たち人間も勉強やゲームをすると軽い疲労感を感じると思いますが、犬も同様で犬に考えさせるような遊びは適度な疲れを感じさせることができるので散歩に行けないときの室内遊びにおすすめです。

<まとめ>犬の散歩の必要性について

遊んでいるビーグル

はっきり言って「散歩のいらない犬」はいません。体が小さい犬種やおとなしい犬種はそのように言われることもありますが、それは人間が人間の都合でつくり出した正しくない身勝手な考えに過ぎません。1日のほとんどを家の中で過ごす犬にとって散歩は健康のために欠かすことができませんし、外のさまざまな刺激を受けて社会性を身につけたりストレスを発散させるためにとても大切なことなのです。

時にはサボりたくなる日もあると思いますが、犬にとっての貴重な楽しみですから、ぜひ飼い主さんも楽しんで散歩に出てみてくださいね。

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