犬には毛の生え方が2種類ある
犬は犬種によって抜ける毛の量が異なり、毛の生え変わりの時期(換毛期)になると、その違いがハッキリとでてきます。また、犬は大きく分けて『毛が抜けにくい犬』と『毛が抜けやすい犬』の2種類に分類することができ、毛が抜けにくい犬種を『シングルコート』、毛が抜けやすい犬種を『ダブルコート』といいます。例えば、マルチーズなどは毛が抜けにくい『シングルコート』、柴犬などは『ダブルコート』として知られています。
シングルコートとダブルコートという名前を聞いて気づいた人がいるかもしれませんが、『シングルコート(1つの毛)』『ダブルコート(2つの毛)』という呼び方は、犬の被毛の生え方を表しているのです。
シングルコートとダブルコートの違い
シングルコートの犬種は、基本的に外からの刺激(紫外線やケガの原因となるもの)から体を守る抜けにくくて丈夫なオーバーコート(上毛)がたくさん生えていますが、保温効果を持つアンダーコート(下毛)があまり生えていません。ですので、1種類の被毛『シングルコート』と呼ばれていたりします。反対に、ダブルコートの犬種はその名のとおりオーバーコート、アンダーコート2種類の被毛がたくさん生えています。
ダブルコートの犬種にたくさん生えているアンダーコートは、主に保温をするための被毛となります。ですので、季節や気温の変わり目(換毛期)になると、環境に適した体づくりをするために毛が抜けやすくなります。特に寒い季節から暖かい季節になる時は、保温効果のあるアンダーコートが邪魔になってしまうのでたくさん抜けてしまいます。一方シングルコートの犬種は、抜けやすいアンダーコートがあまり生えていませんので、抜け毛のシーズンになってもあまり毛が抜けません。
このように被毛の生え方の違いで、毛が抜けにくい犬と毛が抜けやすい犬に分かれてしまうそうです。
環境による違い
では、そもそも犬はなぜ『シングルコート』と『ダブルコート』の2種類に分かれているのでしょうか。いくつか理由があるそうですが、大きく関係しているのが『環境』だそうです。抜け毛が多いダブルコートは、保温効果のあるアンダーコートがたくさん生えています。つまり、寒さをしのぐために必要だからアンダーコートが多く生えていると考えられています。
実際に、寒い地域や季節がハッキリ変わる国が原産国になっている犬種は、環境に順応するためにダブルコートである場合が多いそうです。例えば、シベリアンハスキーは寒い地域に住んでいるので保温効果抜群のアンダーコートがびっしり生えています。そして、寒い時期が過ぎるとそれらの被毛が抜けたり生え変わって、暖かい季節に適応しようとします。ちなみに、四季がはっきりしている日本が原産国の日本犬も、それぞれの季節に順応するためにダブルコートだったりしますよ。
飼いやすいように改良された結果毛が抜けにくくなった?
多くの犬種は元々ダブルコートだったようですが、人間が飼いやすいように改良していった結果、抜け毛が少ないシングルコートの犬種がたくさん生まれたという話も少なからず聞くことがあります。現存している犬種のなかには様々な犬種と交配して生まれた犬種が数多くいますので、真偽のほどはわからないですが、真実味がありますね。
「毛が抜けにくい犬」と「毛が大量に抜ける犬」の違いは?
「毛が抜けにくい犬」と「毛が大量に抜ける犬」の違い
毛が抜けにくい犬と毛が大量に抜ける犬の違いは、なんといっても毛の生え変わる時期(換毛期)の毛の抜け方でしょう。シングルコートの犬も多少毛が抜けますが、ダブルコートの犬の抜け毛の量には遠くおよびません。抜け毛の量以外にも違いがあったりしますので、それぞれの特徴をいくつかお伝えしたいと思います。
毛が抜けにくい『シングルコート』の特徴
- 抜け毛が少ない
- 毛が伸びる
- 寒さに弱い
- 季節に合ったカットが必要
毛が抜けにくい犬は、抜け毛が少ない代わりに毛が伸びるという特徴があります。なかには、ある程度伸びると毛が伸びないという犬種もいますが、ほとんどのシングルコートの犬種は伸び続けますので、定期的なカットが必要といえます。また、保温効果のあるアンダーコートが少ないため寒さに弱いという特徴もあります。ですので、寒い時期には服を着せて散歩をさせることが場合によっては必要になってくることもあります。
毛が抜けやすい『ダブルコート』の特徴
- 抜け毛が多い
- ある程度毛が伸びるとそれ以上は伸びない
- 寒さに強い
- 暑さに弱い
- 基本的にカットは必要ない
毛が抜けやすいダブルコートの犬種は、換毛期以外でもある程度毛が抜けるのでこまめにブラッシングなどのお手入れをしないといけません。しかし、ある程度まで毛が伸びるとそれ以上伸びなくなるので基本的にカットが必要なく、ある意味飼いやすいといえます。ダブルコートの犬種は、アンダーコートがびっしり生えているので寒さに強いという特徴があります。一方で、暑い季節に適応するために毛を生え変わらせてもある程度はアンダーコートが残っているので、暑さに弱いそうです。夏などの暑い季節は熱中症になりやすいといえるので、しっかり対策することが必要といえますね。
まとめ
犬は毛が抜けにくい『シングルコート』、毛が抜けやすい『ダブルコート』に分けることができ、毛がたくさん抜けるのにはちゃんとした理由があるということを分かっていただけたかと思います。愛犬の被毛の生え方を知っておくと、暑さや寒さに対して強いのか弱いのか知ることができ、日々の生活をどうすれば快適に過ごさせることができるのか。といった改善策を見つけやすいといえるのではないでしょうか。