飼い主さんが知っておきたい5つの法律
1.動物愛護法
動物愛護法とは動物の命を尊重し愛護すること、また動物による人の命や体、財産への侵害を防止する目的があります。動物への虐待や遺棄は犯罪とされ、殺傷した者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。飼い主さんが犬を管理する義務や、動物取扱業者の責任や義務が定められています。
また動物を殺す際はできるかぎり動物に苦痛を与えない方法をとならければならない、獣医師は殺されたと思われる動物の死体や虐待を受けたと思われる動物を発見したときは通報に務めなければならない、など動物に関する様々な事柄が書かれています。一度目を通してみると良いでしょう。
2.狂犬病予防法
日本には狂犬病予防法という法律があり、犬は年に1回狂犬病予防注射を打つことが義務付けられています。子犬の場合は生後91日以降となります。自治体で行う集合注射は4月〜5月、動物病院では1年を通して行われている場合が多いです。
狂犬病はすべての哺乳類に感染する病気で、発症したら100%死亡するという病気です。日本では1956年を最後に発生していませんが、海外では多くの発生例があります。日本もいつ狂犬病がまた発生するかわからないので、きちんと予防注射を打ちましょう。予防注射さえ打てば予防できる病気です。
狂犬病予防法では登録についても定めています。新しく犬の飼い主になる場合、飼い主は犬が家に来た日から30日以内に市町村に犬の登録をしなくてはなりません。そして犬鑑札をもらい、犬につけておくことが義務付けられています。もしこういったことを守らなければ30万以下の罰金や20万以下の罰金などが発生します。
3.廃棄物処理法
例えば愛犬が亡くなったときに庭に埋めたいとします。その際にはどのような規則が関係するかというと、廃棄物処理法です。一般的にペットの遺体は廃棄物の処理及び清掃に関する法律により一般廃棄物となります。そのため自治体はゴミとして処理することがあります。自治体の中にはペット専用の焼却炉を設けている場所もありますが、合同で火葬されるところが多いです。個別で火葬する場合は民間のペット葬儀社などにお願いしなくてはなりません。
そして愛犬を河川や公園などの公用地や他人の土地に埋めた場合は軽犯罪法違反により処罰されます。河川や山林に受けた場合でも廃棄物の不法投棄となり罰せられます。海も同じです。遺体を家に庭などに土葬する場合は問題はありませんが、公衆衛生上の問題から深い穴を掘って埋めるなどをして近隣住民への配慮が必要となります。そのため大型犬などの体が大きい犬の場合は現実的には難しいでしょう。
4.器物損壊罪
もし愛犬が車に引かれたり、暴力を受けた場合どうなるのでしょうか?実は犬に適用されるのは器物損壊罪です。犬は法律上では飼い主の所有物として扱われるため、他人の所有物を壊したという扱いになるのです。そして動物愛護法も適用されます。
一方で野良犬などを傷つけた場合に適用される法律は動物愛護法のみです。法律では対象を人と物にわけて考えます。区別は命の有無ではなく、責任が取れるかどうかと言う点です。野良犬の場合は責任をとることができません。しかしペットの犬の場合は飼い主という責任を取る人がいます。人の存在があるため、ペットである犬は器物損壊罪と動物愛護法が適用されるのです。
5.傷害罪
では今度は逆に愛犬が人を傷つけた場合どうなるかです。この場合は飼い主に対して傷害罪が適用されます。民法では動物の占有者(飼い主など)がそ動物が他人に与えた損害を賠償する責任を負うことが書かれています。ペットを相当注意して管理していたことが証明できない限り責任から逃れることはできません。もし被害者側に原因がある場合でも過失割合が考慮されて損害賠償額が軽減されるにとどまるでしょう。
例えば犬が犬を傷つけた場合は法律上は物損事故扱いとなります。器物損壊罪で説明したように犬は物として扱われるためです。
法律的なトラブルの解決方法
犬をめぐるトラブルが民法に関わるものであった場合は、話し合いで解決する民事調停やあっせん・仲裁といった方法があります。一方刑法に関わるものである場合には警察に操作をしてもらう必要があります。
どの方法が良いのかわからない場合は、国が設立した法的トラブルの解決のための総合案内所である法テラスに相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
犬は動物愛護法が適用されるため、様々な決まりごとがあります。飼い主さんにはそれを守る義務があります。そして狂犬病予防法という狂犬病を発症させないために大事な法律も必ず守らなければなりません。
しかし大事な家族だとしても法律上では基本的に犬は飼い主さんの所有物、つもり物として扱われるということも頭にいれておかなければなりません。傷つけられた場合は器物損壊罪、犬が誰かを傷つけた場合は飼い主さんが傷害罪を適用されます。一度犬に関する法律に目を通してみるのも良いかもしれませんね。最低でも動物愛護法と狂犬病予防法は知っておいてほしいと思います。