飼い主さんができるケア①「しっかりとアイコンタクトをする」
耳は聴こえなくなってしまったけれど、目はしっかり見えている。そんなワンちゃんとは、身振り手振りで会話をすることができます。その時に重要なのが“アイコンタクト”です。アイコンタクトをすることで、犬の気持ちを飼い主さんの方へと向けます。アイコンタクトをしたい時、耳が聴こえないため、名前を呼んでもこちらを向いてはくれません。
カラダに触れて合図をしたり、お気に入りのおもちゃを見せて合図をしたりすると良いでしょう。しっかりとアイコンタクトをすることができたら、思いっきり褒めてあげましょう。飼い主さんに対して何か伝えたいことがある時も、犬の方からアイコンタクトをしてくれるようになります。しっかりとアイコンタクトをすることができるようになれば、身振り手振りでコマンドを伝えることができ、耳が聴こえなくてもコミュニケーションをとることができます。
飼い主さんができるケア②「手話でコマンドを教える」
人間のように決められた手話はありませんが、愛犬と飼い主さんだけの手話でのコマンドを作って教えてあげましょう。たとえば、“待て”は手のひらを犬に向ける。“ダメ”は人差し指で×を作って犬に見せる。“お座り”は犬のお尻を下げるように触れる。耳が聴こえなくなってしまう以前に基本的なしつけを終えているワンちゃんであれば、手話でのコマンドもすぐに習得することができると思います。
飼い主さんができるケア③「お散歩時のケア」
耳が聴こえなくなってしまっても、お散歩をすることはできます。しかし、耳が聴こえないワンちゃんは、自分自身で危険を察知することができません。車やバイクや自転車が近づいてくる音、他のワンちゃんの存在など、飼い主さんが敏感になり、危険なことから守ってあげなければなりません。リードは必ず短く持ちましょう。リードを軽く引いたら“止まれの合図”などと教えてあげるのも良いです。何も教えてあげることなく急にリードをグッと引っ張られてしまうと、ワンちゃんは何が起きたのか理解することができません。不安や恐怖を感じ、パニックになり、走り出してしまうかもしれません。
飼い主さんができるケア④「視界に入ってから近づく」
耳が聴こえなくなってしまったワンちゃんは、飼い主さんが近づいてくる足音さえ感じることができません。振動が伝わって気づくこともありますが、食事をしているとき、眠っているとき、何かに集中しているときなどは気づけないことがあります。急にカラダに触れられたらどうでしょう。急に目の前に現れたらどうでしょう。驚いてしまいますよね。恐怖を感じ、パニックになり、噛みついてしまうかもしれません。耳が聴こえないワンちゃんに近づくときは、少し離れた場所から合図を送り、ワンちゃんの視界に入ってから近づくようにしましょう。
飼い主さんができるケア⑤「心のケア」
突然に耳が聴こえなくなってしまったワンちゃんにとって、精神的なショックはとても大きいはずです。なぜ何も聴こえないのか、理解することさえできないかもしれません。飼い主さんと離れることに不安を感じるようになり、分離不安症になってしまったり、お留守番ができなくなってしまうこともあります。聴こえないことに不安や恐怖を感じ、攻撃的な性格になってしまうこともあります。それまで以上にスキンシップやコミュニケーションを多くとり、耳が聴こえないという状況や生活に慣れるよう、サポートしてあげましょう。飼い主さんが落ち込んでしまっていては、その暗い気持ちがワンちゃんにも伝わってしまいます。笑顔で明るく接してあげることで、自然と心のケアに繋がるのではないでしょうか。
まとめ
事故や病気で突然に耳が聴こえなくなってしまうことがあります。老犬になると、聴覚が衰え、聴こえづらくなったり、完全に聞こえなくなってしまうことがあります。老犬の場合は、聴覚だけではなく、嗅覚や視覚も衰えます。介助やお世話などより一層大変なことも増えると思いますが、ワンちゃんが楽しく安心して生活することができるよう、全力でサポートしていきたいですよね。