なぜ犬は人間を噛むことがあるの?
犬が人を噛んだ後に舐める心理を知る前に、まずはなぜ犬が人間に対して噛むことがあるのかという理由を理解しましょう。知らない人であればまだ理解できますが、飼い主に対して噛む場合、どのような心理が働いているのでしょうか。
威嚇や恐怖を与えるため
1つ目の理由は威嚇や恐怖を与えるためというネガティブな心理です。何か自分に不都合なことが起こった、あるいは自分の方が上であるということを理解させるために、人に噛みつくことがあります。知らない人が相手であれば、「誰だ、おまえは!」といった警戒の意味も強いでしょう。
飼い主にこのような態度を取る場合、「自分は飼い主よりも立場が上である」と勘違いしている可能性が高いです。あまり甘やかしてしまうと上下関係が逆転してしまうことがあります。
そのため、「なぜ自分より下の者が自分に指示してくるのだろう」と不満を持ち、「自分の方が上なんだからね!」と噛みついて教えようとしているのです。これはまず、どちらが上の立場であるかをしつけによって理解させる必要があるのでしょう。
甘えた行動の延長線上
飼い主を噛んでしまう理由は悪い理由だけではありません。甘えの延長線上として、甘えていたところ噛んでしまったということもあります。
人間の赤ちゃんは寂しいとき、安心したいときに指しゃぶりをしたりおしゃぶりをすることがあります。子犬の場合、甘えたいという理由から飼い主の指を甘噛みすることがあるのです。そのため、本気で噛んできていないことは飼い主自身も気付くでしょう。
しかし、いくら甘えの延長線上だからといって、これを簡単に容認してはいけません。後々、「飼い主の指は噛んでも良い」と学習してしまう恐れがあるからです。しっかり「ダメなことはダメ」と教える必要があります。
人を噛んだ後に舐める行動は反省ではない!
人に対して噛みつく場合、大きく分けて2つの理由が挙げられますが、人を噛んだ後にその場所を舐める行為にはどのような意味があるかご存知でしょうか。一見、「噛んじゃってごめんね」という意味が込められているように感じますが、実はまったく違います。
犬が人を噛んだ後に舐める行為には、「僕の方が上の立場なんだぞ。もう反抗するなよ」「わかったな?」という意味が込められているのです。つまり、噛んだことを肯定し、それを知らしめている行為なのです。
したがって、この行動を取られた場合、犬が自分の方が飼い主より上の立場であると勘違いしていることになります。しっかり主従関係を築かなければ、後々コントロールが難しくなってしまうため、早急に対処しましょう。
そもそも反省という概念がない
犬が人を噛んだ後に舐める行為には反省の意味がなく、むしろ真逆の意味を持っていることを理解して頂きました。そもそも犬には反省という心理が働くのでしょうか。答えはNOです。
実は犬には「反省」という概念がありません。そのため「噛んでしまった。ごめんなさい」や「いたずらしちゃった…申し訳ありません」などと思うことはないのです。
「でも、怒るといつも申し訳なさそうな表情を見せる気がする」という飼い主さんも多いでしょう。しかし、残念ながら反省という概念を持たない犬は、「申し訳ない」ではなく「怒られている。怖いな。早く終わってくれないかな」と思っています。
飼い主としてはショッキングな事実ではありますが、残念ながら反省という概念を持たないため、しつけをする際は「これをすると怖いことが起こる」「これをしたら楽しい事が終わってしまう」というように学習させるのがしつけには効果的です。
飼い犬に噛まれた時の正しい対応は?
愛犬に噛まれてしまった際、ダメなことであると教えるために怒ってしまう飼い主が多いですが、実はあまり効果的とは言えません。言葉がわからない犬からすると、「なぜ大声を出しているのか」「なんだか怖いな」と捉えるのが精一杯なのです。
そのため、先ほどお話ししたとおり、「噛んでしまうと楽しい事が終わってしまう」あるいは「噛むと怖いことが起こる」といったように学習させ、その後自分から咬まないようにすると効果的です。
例えば、噛んだらしばらくの間無視をしたり、噛んだ瞬間「痛い!」と大声を出したり、大きな音を鳴らすと良いでしょう。すると「噛んだら飼い主さんが構ってくれなくなっちゃった。つまらない」や「噛んだら突然大きな音がした。怖い。もうやめよう」と自ら考え学習してくれます。
まとめ
いかがでしたでしょう。犬は反省という概念がないため、噛んだ後に手を舐める行為には反省の意味はなく、むしろその逆の意味が隠されています。犬に格下として認識されてしまっていることを一大事と捉え、今後のパートナーシップのためにもしっかりしつけをしましょう。