①体内時計と習慣による予測
家に帰ったら玄関で愛犬が待ち構えていた、帰宅したら窓から愛犬がこちらを見ていたなどの経験をしたことがある飼い主さんは多いと思います。「帰ってくるのを待ちわびているんだな♪」と愛おしい気持ちになる愛犬の姿ですが、犬はどのようにして飼い主の帰宅時間を把握、予見しているのでしょうか?
飼い主の帰宅時間を犬が把握する最も多い方法として考えられているのが『習慣記憶』と呼ばれるものです。仕事などで毎日ほぼ同じ時間に出かけ、帰宅する場合は犬も飼い主の行動パターンを記憶し、犬が生まれながらにして持つ犬自身の体内時計の感覚や外の明るさなどから大まかな帰宅時間を予想していると考えられています。
ただし、帰宅時間がまちまちでも予測して待ち構えている犬なども行動も確認されているため、『習慣記憶』以外にも飼い主の帰宅時間の把握方法があると考えられているのです。
②同居人の動向や感情から予測
犬自身の時間感覚や飼い主の行動パターンから『習慣記憶』によって予測する以外に有力な方法として考えられるのが、すでに家にいる同居家族などの様子を観察することで、他の家族の帰宅を予測するというものです。
帰宅を知らせる電話やメールなどがなくても、同居人がこれから帰宅する家族のスケジュールを知っている場合、それに合わせて食事の準備をしたりうれしそうな素振りを見せたりといった行動・感情の変化があらわれます。犬はそうした人の行動を観察して感情を読み取り、他の家族の帰宅を知ると考えられています。
③嗅覚&聴覚により察知する
これは動物ならではの方法とも言えますが、犬は優れた嗅覚と聴覚を持っています。そのため、飼い主の発するにおいが家に近づくことで帰宅を予知する『嗅覚説』や、飼い主が出す何らかの音を聞き取って帰宅を予知する『聴覚説』が唱えられています。
嗅覚説
犬の中で最も優れた嗅覚を持つとされるブラッドハウンドを用いたイギリスでの実験では、約800メートル先のにおいを嗅ぎ分けることができたという結果が出ています(犬が風下にいた場合)。
人間の体からはそれほど強烈なにおいが発散されることはありませんし、住宅などの遮蔽物などもあるため嗅覚だけで帰宅時間を予知することはむずかしいと考えられますが、飼い主の乗る自動車やバイクの排気ガスなどを嗅ぎ取って早い段階で帰宅に気付く可能性などは十分あるとされています。
聴覚説
『嗅覚説』同様、完全なる帰宅時間の予知方法とは言えないものの、帰宅予知のひとつの助けになるのが聴覚ではないかとも考えられます。犬は人間の4倍以上の聴覚を持っていると言われており、特に音を聞き分ける能力に優れているとされています。そのため、離れた場所からでも飼い主の乗る自動車のエンジン音や飼い主の足音などを聞き取り帰宅を予知するのではないかと考えられるのです。
ただし、飼い主の帰宅時間把握に関する『嗅覚説』『聴覚説』は、比較的飼い主が自宅に近づいた段階でしか発揮されないものとされています。犬の嗅覚や聴覚の実験は数多く行われていますが、人間に比べれば音やにおいで飼い主の帰宅を察知するのが早いという程度だという意見も多く見られます。
<まとめ>犬が飼い主の帰宅時間を把握すること
飼い主の帰宅を待ちわびて喜んで出迎えてくれる愛犬の姿はとってもかわいいものですよね。そんな姿に隠されているのは、犬が持つ嗅覚や聴覚、観察力、独特の時間感覚といった優れた能力。
また、ある研究者は飼い主が「家に帰ろう」と意識したときに犬が『テレパシー』で感じ取るとも唱えています。多くの実例があるものの科学的な証明ができていませんが、犬と飼い主の絆の深さにも影響される興味深い説だと思います。犬は飼い主がいないとき、何を感じ、何を考え、どんな風に過ごしているのか思いを馳せてみると愛犬のことがより理解できるかもしれませんね。