スキンシップの意義
人同士であっても、信頼している者同士のスキンシップはお互いに安心感を与えリラックスする効果があります。犬とのスキンシップも同様で、お互いに安心しあい、リラックスできることが望ましいですね。また犬の場合、人とのスキンシップは安心感を得るという目的以外にも、体調管理のためにも非常に重要です。
ふだんから触れ合いを持っていると、被毛の様子や皮膚の異常にいち早く気が付くことができます。やせたり太ったりといったわずかな変化も日常的に犬の体に触れていると、すぐ気が付きます。ちょっとお腹の張りが気になる、といったことも健康管理の上では重要です。
触れられ慣れていない犬の場合、いざ調子が悪くなったというときにお腹や皮膚にしつこく触ると怒りだしたり、じっと我慢してストレスをためたりといった問題が起こることもあります。病気の際に獣医さんにおとなしく診察をされてくれなかったり、暴れて治療を拒否したりする場合もあるので、飼い主やそのほかの人に体を触られ慣れておくというのも大切なんですね。
犬が喜ぶスキンシップ
犬の中には体中のどこを触られても大丈夫、大好き!という子もいれば、「ここ」という場所以外はあまり喜ばない子もいて、好みは様々なようです。しかし全体的に見ても、「撫でられる」というスキンシップは好意的に受け入れる子が多く、タイミングさえ合えばとても簡単にお互いの愛情を確認したり信頼感を得たりすることができます。
1.わきの下をマッサージ
犬の前足の付け根部分(わきの下)はとても皮膚が薄い部分で、被毛もほかに比べると密度が低くなっています。人間もわきの下は血管や神経が通っていて敏感な部分となっていますが、犬はここを優しくなでられるのが好きなようです。
背中や肩のようにがしがし撫でるのではなく、そっとふわふわと撫でてあげるとうっとりとした表情をしたり、ちょっと眠そうになったりと、リラックスする効果が満点です。そこから胸を撫でてあげるのもいいですね。
2.顎の下を撫でる
口周りや鼻先をいじられるのが嫌いな子も、顎の下の場合は別です。口に近いので触れられ慣れていない子の場合はちょっと慣れるまで注意が必要ですが、飼い主さんを信頼している場合はおとなしくなでられてくれます。
ここも比較的皮膚が薄く喉元に近い無防備な場所です。ごしごしと触れるのではなく、手のひらでゆっくりマッサージしてあげるといいようです。
3.耳の付け根
人には耳つぼがあって、ハリをさすなどしてマッサージをすることがありますが、犬の場合はどうなんでしょう。ツボがあるかどうかは分かりませんが、耳の付け根をそっと撫でたりマッサージしたりすると喜ぶ場合が多いようです。
ただし、外耳炎など耳の異常がある場合はかゆがったり、触れるのを嫌がったりする場合があるので、そういったときは獣医さんへ相談してみましょう。
4.首から背中の筋肉
ここは触れてよい場所の代表ですね。犬にとっては触れてくる手を見ることもできますし、何をされるかよくわかるのでリラックスして撫でさせてくれます。また、重い頭部を支える首と背中ですから、軽くマッサージをするつもりで筋肉に沿って撫でてあげると喜びます。
犬が触れられたくない場所
基本的に撫でられるのが好きな犬という動物ですが、どんなに「触って触って」という子でも、どうしてもあまり触れられたくない場所もあります。それが尻尾や鼻先、足先(パッドの間)などでしょう。我が家の犬は究極の「触ってちゃん」ですが、さすがにパッドの間や唇などはあまり良い顔はしません。くすぐったかったり、不快な感覚だったりするんでしょうね。
しかし、病気やけがに備えて、飼い主さんが触れても嫌がらないように、ふだんから少しずつ触れさせる練習が必要です。また触れるタイミングも犬が何かに夢中になっている最中だったり、食事中だったりと、犬にとってびっくりするようなタイミングで触れないように気を付けてあげましょう。
まとめ
犬を飼っている人にとっては、犬の触れられてうれしい場所やあまり触れられてほしくない場所というのは感覚的にご存じのことでしょう。手で撫でるほかにも、ブラッシングをする方法もあります。
犬たちにとって、心地よい方法でスキンシップを取ってあげてくださいね。