犬の吠える行動を防止するための対処法
吠えている時の対処(室内の場合)
初めのうちは飼い主さんの忍耐が重要ですが一番効果的なのは「吠えている犬を無視する」ことです。自ら吠える事をやめるまで、飼い主さんは犬に対し目も合わせず関心を持たない事で「吠えることを求めていない」ことを感じさせます。
吠えている犬に対し、負けじと大きな声で怒鳴って叱る飼い主さんが多く見られますが、犬にとっては「飼い主さんも応援してくれている」という誤った認識をしてしまいがちです。
- 声をかけない
- 体に障らない
- 叱らない
- 目を合わせない
犬が自分で吠える事を止めたタイミングでしっかりと褒めてあげましょう。おやつをあげても良いでしょう。叱るのではなく「吠えるのを止めた」→おやつと結び付けて認識させ無駄吠えを防止しましょう。
吠える前に行動を制御する(室内の場合)
日常で犬が吠える行動を把握し「吠える前に制御」してしまう方法も効果的です。インターホンが鳴らし「吠えるぞ!」という体制に入り口を開いた瞬間におやつを食べさせてしまう。興奮状態に入る前に口におやつを入れてしまうと吠えられなくなってしまいます。インターホン→おやつという流れを作ることで習慣学習させると良いでしょう。
予め飼い主さんと「待て」の練習を十分にしておき、犬に待てをさせてインターホンを鳴らしその間も「愛犬の目を見つめ「待て」の支持を出しながら褒め続けます。はじめはハンドサインを使うと愛犬も分かりやすいでしょう。
愛犬の顔の前に手を「パー」の状態にし「待て」を覚えさせます。吠えてほしくない時や吠えてしまいそうな事が予想できる時は、ハンドサインも一緒に覚えさせておくことで声を荒げて支持を出さなくても「待て」で行動の制御をできるようにしておくことで「無駄吠えの防止」につなげることができます。愛犬を安心させる
恐怖や嫌な事にたいして吠える犬は精神的に安心させる事で「無駄吠え防止」できる事があります。日頃からトレーニングを通して愛犬との信頼関係を深く作ることで安心できる場合が多く見られます。
十分な遊びやお散歩が出来ていて、飼い主との関係も良好な犬は無駄吠えが少ないです。ストレスを抱えさせないようにしてあげる事も「無駄吠え防止」には重要なことです。
また、家の中に愛犬だけの安心できるスペースを創る事も効果的です。クレートやケージなど「絶対に安全」なスペースにいることで吠える行動を制御させます。
吠える事と要求が通る事を覚えさせない
吠えさせることをやめさせるために愛犬の要求を聞いてしまう事は無駄吠え防止には繋がりません。
- 吠えたら抱っこ
- 吠えたらお出かけ
- 吠えたらおやつ
犬の吠える行動を0にする事を求めない
無駄吠え防止をして「全く吠えない犬」を求めてトレーニングする飼い主さんが多いのですが完璧を求めないことで犬にも飼い主さんにも負担が少なく練習をすすめていく事ができます。
犬に対し何かを覚えさせる時には「続けること」が一番重要なことです。途中で教えることを止めてしまうと余計な混乱を与え「無駄吠え」がひどくなってしまうこともあります。
目標は吠える行動をコントロールするところから
飼い主の指示で吠える行動を止めた
一瞬でも吠えることより飼い主の指示に反応出来たら褒めてあげましょう。
自ら吠える事を止めた
どんなに長く吠え続けていても犬が自ら吠えるのを止められたら褒めてあげましょう。
1回だけ吠えてしまった
吠えてしまったから失敗では無く、吠えたけど止めた事が重要なのでしっかりと褒めてあげましょう
犬が吠える行動についての考え方
犬はなぜ吠えるのでしょうか?
犬と人の長い歴史の中で、犬に初めて与えられた仕事が「護衛(ガードドッグ)」と言われています。ガ―ドバックとは、人間自身を守るボディーガードのような役割であったり、人間の財産(家畜や家の周りの安全)を守るセキュリティのような、とても重要な役割を持っていました。この役割を行うために「吠える」という行動を使って果たしていたと考えられます。
- 危険が迫っていることを知らせる
- 吠えて敵を追い払う
その後、更に人間とのパートナー関係を深めた犬は、本来あった獣や鳥類を追いかけるという本能を活かし「狩猟」に連れて行かれるようになりました。ここでも犬は「吠える」ことで次のような役割を果たしていました。
- 捕獲したことと場所を知らせる
- 吠えて獲物の行動を制御するなど
この事から古くから犬は「吠える」ということで、人間から与えられた役割を果たしていたという事が分かります。つまり、性格などに関係なく、どんな犬も必ず「吠える」ということが前提になっている事を理解してあげましょう。
犬が吠える理由
現在では「番犬」としての役割よりも「愛玩動物」「家族」として人間と共存する様になった犬ですが、古くから「吠える」という事が仕事と結びついていた犬が「吠える」ということはそこに必ず「理由」があります。
「無駄吠え」と一言で不要な行為と思われがちですが、犬は「迷惑をかけよう」と悪意を持って吠えているわけではないのです。「無駄吠え防止」には吠える理由の特定が解決への近道になります。
- 危険を知らせている
- 恐怖
- 威嚇
- 興奮
- 連鎖反応
- 要求
なぜ犬が吠えるのか、原因を見つけることが重要です。
シーン別での犬が吠える原因について
音に吠える犬
これが一番多い「無駄吠え」と言われる状況だと思います。「無駄吠えを防止」するには反応する音や状況を把握しましょう。
- インターホン
- 犬の鳴き声
- 雷
- 生活音
これらの「音」に対して吠える犬の心理としては、飼い主に対し「知らせる」という役割を果たそうとしている場合と、恐怖や威嚇で吠えている場合が考えられます。これまでの生活環境の中で「音」=「嫌な事」が結びついてしまっている場合にはこの認識を変える必要があります。
インターホンが鳴った時に飼い主が大げさに反応し、慌てたりいつもと違う行動を見せた事が犬にとって「良くない嫌な事」と認識している場合、犬は飼い主に「嫌な事がやってきたよ!」「怖いよ!」と知らせています。
室内にいることが多く、家の中に対して強い縄張り意識がある場合にも「外から聞こえる音」に対して威嚇として吠える犬もいます。そのため「怖い」方向にむかって吠え続け、飼い主に知らせるように落ち着きを無くし「怖い方向」と「飼い主」の間を何度も往復しながら吠える行動をとります。
- 例1:玄関へのドアと飼い主の間を落ち着きなく往復しながら吠える
- 例2:玄関に気配が無くなるまで吠え続ける
家の外に対して強い恐怖を感じている犬は、とにかく「強く」吠え続けます。これは吠える事で怖い事を遠ざけようとしています。その他にも「社会的促進」近所の犬が同じように「威嚇」「恐怖」で吠えている声を聞くと同じ反応をしてしまう場合もあります。「無駄吠えの連鎖反応」が起きている状態です。
「またインターホンが鳴る=大好きな人が来る」と認識している犬は興奮状態になり、嬉しいことを体中で表現し吠え続けます。帰宅した家族が歓迎で吠えている犬を「褒める」ことで、「良い事、喜ばせる事」と認識してしまい、興奮が冷めるまで吠え続けてしまいます。
要求や不安で吠える
飼い主に何かを求める、不安などでパニック状態が「吠える」という行動に結びついている場合もあります。
- かまってほしい
- 外に出たい
- 期待
- 分離不安
- 護衛
犬は感情豊かな動物です。遊びの誘いや散歩の要求などを伝えるために吠えてしまう子もいます。飼い主さんが外出の用意を始めたり、鍵のぶつかる音を聞いたりした時に「散歩」や「お出かけ」と期待して興奮状態になり吠えてしまう行動です。その他には、少しの時間でも飼い主さんの姿が見えない時やお留守番をする事の恐怖から吠えている場合もあります。
- 例3:トイレに行っている間ずっと吠える
この様に自分の要求のために吠える場合や、精神的な不安から吠える場合には「失禁」がみられたり、吠え方も「威嚇」の吠え方とは異なります。散歩に出かけた時や窓の外に見知らぬ人の姿が見えた時に飼い主の前に出て吠える犬もいます。
犬にとって大切な飼い主を守る為に吠える「護衛」の行動ともとる事ができますが、飼い主さんの行動をみて「危険」と判断しているような場合と、今までのトラウマなどが影響している場合もあります。
犬の吠える行動と防止策に関するまとめ
「無駄吠え防止」だけでなくほかのしつけにもいえることですが、まずは飼い主さんとの絶対的な信頼関係をつくること、様々な経験をさせることが大切です。たくさんの「音」に慣れさせ嫌な記憶を作らない、外の世界にも慣れさせ「怖い」ことを作らないようにしましょう。
飼い主さんの指示をきくことが楽しい事で、どんな時も飼い主さんから与えられる指示を待てる信頼関係をつくる事で「問題行動」を防ぐ事になります。名前を呼べば飼い主さんの目を見つめ「支持を待つ」アイコンタクトをしっかりと覚えさせると落ち着きを持ち、様々な場面で行動を制御できるので「躾」の始まりはアイコンタクトから進めていく事をお勧めします。
信頼関係の基礎をしっかりとつくる事で「無駄吠え防止」につなげることができます。
ユーザーのコメント
40代 女性 ハル
手をパーにして見せるなどのハンドサインは大事だと思います。インターホンなどの音にも吠えてしまっていましたが、飼い主が慌てずに「大丈夫」と声をかけて、「マテ」のハンドサインを出すことを繰り返していると、徐々に落ち着いて吠えなくなりました。
また、おやつや食事の前の要求吠えがあり、それは嬉しいあまりに興奮して吠えるのですが、吠えたら食事やおやつを後ろに隠してあげません。「あれ?」と吠えなくなったときに、「おりこうさんね」と与えるようにすることを繰り返していました。そのうちに「吠えたらもらえる」という認識が、「吠えなければもらえる」と認識をするようになりました。
こちらの記事を読んで改めて、怒鳴らず、焦らず、ゆっくりと接してあげるよう心掛けたいなと思いました。
女性 aoi
ただ、どうして吠えるのかを考えた時に、サイレンの音は犬の危険を感じる周波数に似ているからと言われています。危険が近づいていると思って周りに知らせようと努力しているのかもしれません。それを叱ってしまったら「危険を教えているのにどうして止めるの?」となってしまいますよね。
外で何か物音がした時も「不審な物音だ!家族に知らせなくちゃ!」と思って吠えているのだと思います。これも叱るに叱れずどうしたものかと思っていました。
犬は吠えることも感情表現です。それを止めてしまったらストレスを感じてしまうこともあります。
そこで、うちでは無駄吠えではないけれど吠えるのを控えさせたい時には、愛犬が吠え始まったら名前を呼び、声も穏やかに「もういいよ」と一言伝えます。それだけでも愛犬はこちらを向き「いいの?」という顔をして吠えるのを止めます。
それでも吠え続けてしまう時は、少し強めに「マテ!」の命令をします。「オイデ」でも効果があります。愛犬が落ち着いたら先程と同じように「もういいよ」と声を掛けます。
この方法は他の方も実行しているようですね。やはり効き目があるようです。
他に、吠え始まった時に音の鳴るおもちゃを鳴らすのも効果的でした。飼い主が口で何か音を出すのでもいいです。愛犬が気になる音を出せばいいんです。
吠えることよりもそちらに興味が向くので、そこで吠えるのは終了します。
この方法だと根本的な解決にはなっていませんが、吠えるのを止めること自体は成功です。
女性 くまじろう