犬を室内飼い・外飼いする場合のメリットを知ろう

犬を室内飼い・外飼いする場合のメリットを知ろう

数十年程前は犬は外飼いするのが基本で、家の中にいる犬は「お座敷犬」などと呼ばれていました。しかし、現在では小型犬ブームということもあり犬を飼う場合には室内飼いという家庭が多く見られます。室内飼いと外飼い、犬にとってはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬の室内飼いと外飼いはどちらが多い?

HOMEマットに座るジャックラッセル

一昔前は犬は“番犬”として庭や玄関先に鎖でつながれ、犬小屋で1日を過ごすという外飼いが基本的な飼育スタイルでした。しかし、小型犬ブームや、動物愛護先進国である欧米の犬文化に触れることなどをきっかけに日本でも室内で犬を飼うことが主流となってきました。

大学の調査

ある大学が行った調査では2001年には室内飼いよりも外飼いしている家庭の比率が高かったものの、5年後の2006年には室内飼いと外飼いの比率が並んだ、という変化が見られました。犬のしつけなどでも欧米で主流になっていた“ほめるしつけ”に注目が集まり出したのもこの頃で、日本の犬文化が大きく変化した時期であったと考えられます。今では室内飼いの犬の比率はますます増えており、別の飼育実態調査では9割に近い家庭が室内飼いをしていたという結果も出ています。ただし、これらは住宅環境も大きく影響する問題であり、広大な敷地がある環境下では都市部に比べて犬の外飼い率は高くなる傾向にあるようです。

犬を室内飼いするメリット

赤いボールを持つ女の子とGレトリバー

コミュニケーションが取りやすい

犬を室内で飼う最大のメリットは、思う存分かわいがることができるということでしょう。犬が好きで、犬をかわいがりたくて家族として迎えた人であれば、犬とたくさん触れ合い遊ぶことに幸せを感じることでしょう。室内飼いであれば、常に一緒の空間にいることができて家事などで忙しい合間でも話しかけたりほんの少し遊んだりと、気軽にコミュニケーションを取ることができます。これは飼い主のみならず、犬にとっても多くの場合幸せなことです。

しつけがしやすい

犬のしつけというのは“タイミング”が非常に重要なポイントとなります。犬の行動に対し、ほめたり叱ったりする飼い主の反応や対応はその行動の直後でなければ効果的ではありません。犬は時間が経った出来事とほめられたこと、叱られたことを結び付けられないため、しばらく経った後でいたずらやトイレの失敗を叱ったとしても、なぜ叱られるのかを理解できないのです。そのため、いつも視界の中に犬がいて、何をしているか把握しやすい室内飼いはしつけを行う上でも非常に有利だと考えられます。

安全・健康管理に適している

室内飼いでは犬の行動を把握しやすいため、ちょっとした犬の変化にも気がつくことができるでしょう。身近にいて短時間でもスキンシップを取れることで皮膚や毛の変化を感じ取ることができたり、食事や排泄量などからも体調の変化に気がつきやすいと思います。その変化が何らかの病気によるものであれば、愛犬の命を守るための早期発見・早期治療につながるため、変化に気がつきやすいことは室内飼いの大きなメリットと言えるでしょう。また室内飼いでは、感染症にかかったり飼い主が知らない間の事故が起こったりするリスクがとても低くなるでしょう。
ただし、室内飼いでも最低限のワクチン接種と寄生虫の予防を行う必要はあります。

犬を外飼いするメリット

犬小屋に入っているパグ

室内の清潔を保ちやすい

犬に抜け毛はつきものです。特に換毛期にはびっくりする程の毛が抜ける犬もいますし、1日に何度も掃除が必要になることもあります。家庭によってベッドやソファもOKとしている場合はそれらに抜け毛がついてしまい掃除に苦労する、ということもよく聞く話です。また、犬の体には散歩に出たときの汚れや害虫がついてしまっていることも。室内の清潔や衛生面の観点では、外飼いの方が管理が楽だと思います。
ただし、外飼いの場合には抜け毛や排泄物などが家の外にあることになるので、それらが周囲の人に迷惑をかけないようにきちんと管理しなければなりません。

犬アレルギーの人でも飼いやすい

犬アレルギーがある人は、犬の毛やフケ、よだれなどに含まれる原因物質によってアレルギー症状が出てしまいます。犬の何にどれくらい接触すると症状が出るかは人によって違うため、犬アレルギーであっても少し距離を保って見たり話しかけたりする分には問題ないということも。そのため、家族の中に犬アレルギーの人がいる家庭で犬を飼う場合には外飼いするという選択肢もあるでしょう。元々犬アレルギーの人は犬を飼わないかもしれませんが、犬を飼い始めてからアレルギーが出たという場合や生まれた子どもが犬アレルギーだったという場合もあります。そうしたときには犬を手放すだけでなく、外飼いで対応するということも考えてみましょう。

必要なしつけの種類が少ない

外飼いが主流だった頃の犬のしつけと言えば、ご飯前の「おすわり、待て」や一発芸のような「お手」程度だったと思います。しかし、室内飼いが増えてきたことで、トイレのしつけや留守番のしつけ、飼い主の食事中・来客中のマナーなどを教える必要が出てきました。それらは簡単なことではなく、いたずらや粗相に悩まされている飼い主さんは非常に多くいます。外飼いであればその多くのしつけが不要で、飼い主の負担はぐっと減ると思います。

ただ、外飼いだからしつけをしなくて良い、ということはなく、近所や通りがかる人に迷惑をかけないよう、最低でも吠えや飛び掛かりを制御するしつけは必要でしょう。

<まとめ>犬の室内飼い・外飼いについて

日向で寝る柴犬

現在では犬を飼う場合、都市部を中心に室内飼いが主流となっています。犬の室内飼いにはさまざまなメリットがあり、飼い主にとっても犬にとっても幸せな時間を共有できると考えられます。しかし、住宅環境を中心に各家庭の事情、犬を飼う目的、犬の性格などによって、どのような飼育方法がベストかいうことはそれぞれ異なると思います。室内飼いと外飼い、どちらがいいかということに絶対的な正解はありません。犬の性質や家庭環境をしっかりと考えて、最も適切だと思われる飼育方法を選択するようにしましょう。

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