犬も悲しいと泣くの?犬が涙を流す理由
犬にも、人間と同様に喜怒哀楽があります。
特に喜怒哀楽のうちの「喜び」「楽しみ」に関しては、表情だけでなく、体全体で感情を表現してくれるので、人間の私たちにとっても非常にわかりやすい感情と言えます。また、犬が発する「怒り」の感情は、犬が好きな人以外でもその犬の感情を理解することができます。
しかし、「哀」「悲しい」という感情は、人間同士でもわかりにくい感情です。言葉で意思を伝えあうことができない犬と人間の間では、なおさら「悲しい」と言った、複雑な感情を理解するのは難しいことです。人間のように悲しみの感情で涙を流すことができれば、お互いの感情をくみ取れます。果たして、人間のように「喜怒哀楽」を持つ犬も、「哀しみ」の感情を持ったとき、涙を流すことはあるのでしょうか。
感情によって涙を流すのは、人間だけ
人間の流す涙には、3種類の涙があります。
一つは、「基礎分泌の涙」、二つ目は「反射の涙」、三つ目は「情動の涙」です。感情によって涙が出るのは、人間の脳と神経の構造によるもので人間独特の生理反応です。
つまり、人間と犬の脳とでは構造や機能が違うので、犬が感情によって涙を流すことはありません。感情に起伏によって涙を流すメカニズムを持っているのは、人間だけです。
犬が悲しんでいるときの様子
一つのパターンとしては、甘えるときや何かをねだるときに出す「ヒンヒン」「クーンクーン」と言った鳴き声を上げて、飼い主さんの気を引こうとします。この声は、自分の気持ちや要求を飼い主さんに伝えたいときに出すような声で鳴きます。これは、人間で言うと「人にアピールする泣き方」と言えます。
もう一つのパターンは、心が深く傷ついている場合です。尻尾を丸めて、目を伏せます。「放っておいて…」と言いたげに、飼い主さんに背を向けてしまうこともあります。これは、人間でいうと「シクシク…」と声を殺して泣いているような状況です。
どんなときに犬は悲しいと感じるのか
犬は、「家族の一人が引っ越した」「家族の誰かが亡くなった」など、複雑な家族の情報は理解できません。ただし、「家族が突然、減ってしまった」ことは理解できます。そして、そのことに寂しさを感じるだけの感受性も持ち合わせています。また、犬の知能は人間の子供の3~4歳のぐらいだと言われています。
家族構成が何らかの事情で変化した、ということが理解できなくても、もっと単純に、「いつも優しいお母さんにひどく怒られた」「お出かけだと思っていたら、お留守番だった」と言ったようなことでも、ショックを受けて落ち込んでしまうこともあります。
犬の涙は病気のサイン
目が炎症を起こしている
結膜や角膜に炎症が起こっているときに、涙が多く分泌されます。
流涙症
本来、犬の涙は、涙腺から涙管を通って鼻へと排出されます。しかし、何らかの強い刺激を受けたり、涙腺や涙管が詰まってしまったりしたために、大量に涙が目からあふれ出すことで起こる病気です。
犬が涙を流しているときに注意するべきこと
目に異物が入っている?
犬の涙が多く分泌しているときは、犬自身のまつ毛などの異物が入っている可能性があります。
涙はこまめに拭く
涙が多いときは、目の周りの毛が濡れてバクテリアが発生して、皮膚が炎症を起こすことがあります。それを予防するためにも、涙はこまめに拭いて、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
早急に獣医さんの診察を受ける
犬の涙は、目や鼻に何か異常が起こっていると考えられます。軽度の結膜炎などであれば、自然治癒することもありますが、目に炎症が起きていることに変わりはありません。
軽度の炎症であっても、足で目を掻きむしって炎症を悪化させてしまうおそれもあるので、できるだけ早く獣医さんの診察を受けましょう。
まとめ
犬は、悲しみや寂しさからは涙を流すことはありません。しかし、心が傷つき、落ち込んで「泣く」ような感情を持つことはあります。また、犬が涙を流すときは目に何らかの異常が起こっていると考えられます。
犬の涙は、「目がかゆい」「目が痛い」と言葉で言えない体の異常を飼い主さんへ伝えるシグナルと考えましょう。