生まれつき?犬の性格は一生変わらないの?
「性格が一生変わらない」ということはありません。犬は、肉体だけが成長していく生き物ではなく、自ら学習して精神的にも成長していく能力を持った動物です。
愛情を込めて世話をし、一緒に生活して年月を重ねると、精神的な成長という「性格の変化」を感じることができるはずです。
犬の性格を作る要因5つ
1.犬種やグループごとの特性によるもの
犬は、作出された由来や歴史などから10のグループに分けられています。この分類の方法は、国際畜犬連盟(FCI)が採用していて、日本のジャパンケンネルクラブでもこの分類方法が採用されています。
牧羊犬としてルーツを持つ犬と、自ら狩りをして獲物を仕留めてきたルーツを持つ犬、ずっと愛玩犬としての歴史を歩んできた犬とでは、それぞれ持って生まれた気質が違う場合があります。
2.遺伝によるもの
親が攻撃的な性格だと、その性格は50%の確率で子供にも遺伝します。これは、脳の中に存在する遺伝子の影響であることは、科学的にも証明されています。
3.個体特有のもの
同じ母犬、同じ父犬から同じように生まれても、活発な子犬もいれば、大人しくておっとりしている子犬もいます。活発で物おじしない性格だったり、警戒心が強く臆病だったり、というように、犬は人間と同じようにそれぞれ個体特有の性格を持っています。
4.子犬の頃の飼育環境
子犬の頃に大声で驚かしたり、長時間檻の中に閉じ込めたり、暴力を振るったりして、子犬が怯え続けるような飼育環境で育てると、人間も含めて自分以外の動物に対して、警戒心が強くなります。攻撃性が出る場合もあれば、逆に非常に憶病になり、常に何かに怯えるようになる場合もあります。
5.飼い主による飼育環境
何らかの理由で飼い主さんが変わるなどして、飼育環境が変わることによって、犬の性格が変化することもあります。
良い例で言うと、ずっと劣悪な環境で飼育放棄されたいた犬が保護されて、新しい飼い主さんと出会い、愛情をたっぷり注がれたら、朗らかで健全な表情を見せる犬になるでしょう。
逆に突然、人から繰り返し暴力を受けたり、無視、放置されたりした犬は、心が傷つき、人を信頼しなくなります。
犬の性格が変わる要因6つ
1.成長による変化
天真爛漫な子犬から、成犬へと成長する過程で、少しずつ、落ち着いた性格になっていきます。
2.加齢による変化
10歳を過ぎて、シニア期にさしかかると、さらにおだやかな性格へとゆっくりと変化していきます。唐突に落ち着いた性格になるのではなく、少しずつ感情を表す行動も静かになっていきます。また、痴ほうなどによっても性格が変わったと感じることがあるようです。
3.飼育環境による変化
家族が増えたり、減ったりすることによって、性格がかわることがあります。新しい家族が増えることで、自分の役割ができたと感じて、ずっと一人っ子気質の甘えん坊だった犬が、自分よりも小さな存在を家族として認めることで、子供のようにわがままな性格から、母親のような心の広い性格へと変わることがあります。
4.病気による変化
脳に腫瘍ができたり、何か脳の中に疾患があったりすると、自分で自分の行動を制御することができなくなり、凶暴化することがあります。
5.繁殖能力の消滅による変化
去勢、避妊手術によって性格が変わることがあります。
6.母性による変化
出産直後の母犬は、子犬を守るために一時的に警戒心が強くなり、攻撃的になることがあります。
まとめ
犬も人間も、生活環境や自分と接する人に影響を受けて性格が変わります。けれども、自分の子供が自分の思い通りの性格でないからと言って、見捨てたり、愛情を感じなくなったりすることがないのと同様に、もし、愛犬が飼い主さんが思っているような性格でなかったとしても、命がある限りは愛情を持ち続けてください。
何か問題になることがあれば、それは性格を変えるためではなく、問題行動を解決するためのトレーニングを検討しましょう。犬は、愛情を注いだ分以上に、人間を愛する生き物です。おそらく、それはどの犬にも共通した性格ではないでしょうか。