①穏やかな気分の現われ
犬が尻尾を振っていると喜んでいると思われがちです。犬がうれしくてとても喜んでいる時は尻尾を高く上げてお尻ごとぶんぶんと横に振り回すようなイメージですが、尻尾を上に上げゆっくりと左右に振っている時は気分がよく穏やかな状態を現わしています。上に上げていても、真上ではなくやや水平に近い形でゆったりと横に動かしている場合は興奮せず落ち着いている状態。そして出会った相手に対して敵意はないことを示す意味も持っています。
そのようにリラックスして尻尾を振っている時は、目や耳、口元などにも緊張感は出ておらず柔らかな表情をしていると思います。このあたり微妙な表情の変化については飼い主さんが一番よく分かると思うので、日頃から表情や尻尾の振り方を観察しておくといいでしょう。
②犬が不安や不快感を感じている
犬はうれしい時や楽しい時などポジティブな気持ちではない時にも尻尾を振ることがあります。犬の尻尾が下がっている状態で左右にゆっくりと振られる様子は、不安な気持ちを抱えている場合や不快感を感じている場合に多く見られます。特に尻尾の付け根に力が入っているような様子であったり、ぎこちなくゆっくりと振られている時は特に緊張感や不安感が強いと考えられます。
尻尾を振っているとつい喜んでいるのかな、と思ってしまう人もいると思いますが、頭を少し低くしたり上目遣いでこちらの様子を伺うようにして尻尾を低い位置でゆっくり振っている時は警戒心や不安感を抱えている場合があるので、無理に接触したりせず様子を見てあげてください。また、飼い主さんに叱られている時に尻尾を水平かやや低い位置でゆっくり振っている時は「何を怒られているのかわからない」「どうしたらいいのかわからない」という気持ちの現われかもしれません。叱っている時に尻尾を振っていても「怒っているのに喜んでる!!」などと怒りを増幅させることなく、犬にわかりやすい指導を心がけてあげましょう。
③何かに興味・関心を示している
犬が尻尾をまっすぐ水平にして尻尾をゆっくり左右に振っている時は、何かに注目し興味関心を示していることが多いでしょう。この場合には、どこかをじっと見つめていることが多いので何に関心を示しているか分かりやすいと思います。尻尾に緊張感がなくゆったり水平に振っている時は、攻撃性のある感情ではなく単純に”気になっている”状態で「おもしろそうだな」と楽しみにする気持ちもあるでしょう。ただし、水平に保持された尻尾がピンと張って緊張しているような場合は知らないものに対して軽い警戒心を持っている可能性が高いでしょう。
<まとめ>犬のしっぽが揺れている時の気持ち
犬に尻尾がゆっくりと振られている時や左右に大きく振られている時は、比較的緊張感の低い状態の時が多いと思います。ただし、尻尾の高さや力の入り具合(緊張度合い)、表情などの違いでその感情はそれぞれ異なるものになります。
犬の尻尾は非常に雄弁で、喜びから悲しみ、戸惑い、疑問、怒りまでさまざまな感情を示します。また、それぞれの犬によって表現の仕方が微妙に異なることもめずらしくはありません。ここで解説したことはあくまで一般論のため、当てはまらない犬もいるかもしれません。日頃から愛犬の様子を観察し、尻尾を振り方を含むボディランゲージから感情をきちんと読み取ってあげられる飼い主になりましょう!