ジャンプの危険性
後ろ足で立ち上がってぴょんぴょんと跳ねる姿は、甘えている様子もあってとっても可愛らしく見えます。ついつい「はいはい」なんて言って頭を撫でてあげたり、口元に飛んでキスをされるままになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしこのジャンプ、実は様々なトラブルにつながる可能性があるのです。
そのトラブルをいくつかピックアップしてみましょう。
飼い主以外に飛びついてしまう。
家の中で飼い主限定で行う飛びつき(ジャンプ)であれば、家庭の中のことですのですぐさま大きなトラブルにつながることもありません。しかし犬が社交的、あるいは攻撃的な正確をしていて、家の外でも飛びつくクセが出てしまうと大変です。
犬にとっては単なる親愛の情や、友好、よろこびを表しているだけなのかもしれません。犬が好きな人が、そう受け取ってくれる分には良いのですが、世の中の人全てが犬が大好きという人たちではないのです。
犬が好きではない人にジャンプ飛びかかってしまった場合、ただその体を避けてくれるだけならとてもラッキーです。しかし町を歩く人々の中には犬がキライな人、犬がこわい人、犬が憎い人など様々な人がいることに注意しましょう。
犬が嫌いな人やにくい人に間違ってジャンプしてしまった場合は間違いなくトラブルになります。飛びかかってきた犬に攻撃をすることがあるからです。犬たちに余計な恐怖を与えず、よその人に迷惑をかけないようにするためには、飛びつきをさせないようにしましょう。
また犬がこわい人もトラブルになります。犬がこわい人はジャンプで飛びかかってきた犬に対して恐怖によって物を投げたり蹴飛ばしたりすることもあるでしょうし、本人がパニックを起こして二次被害、三次被害と被害が拡大する恐れがあります。ひどい場合は飛びかかられた本人も大けがをする可能性もあるのです。
小型犬ならば大丈夫だろうということはありません。犬が苦手な人、こわい人には大きさはあまり関係ありません。しかし中型犬以上であればなおさら注意をしておく必要がありますね。
また子どもに対して飛びかかってしまうと、子どもがイレギュラーな動きをすることで犬が余計に興奮して激しく飛びかかったり、、子どもが派手に転んで怪我をする可能性もあります。
外で、または来客には決して飛びついてはいけないのだということをきちんと教えてあげないといけません。
人に要求をする
犬はうれしいときに興奮して、興奮のあまり飛び跳ねてしまうことがあります。また子犬の頃の習性が抜けずにリーダーの顔に自分の顔を近づけ、口を舐めようとするために飛びつくこともあります。しかしそれ以外にもぴょんぴょんと飛び跳ねることがあります。
それは「要求」のための飛び跳ねです。
「ご飯を早くだせ!」「早く外に出せ!」「早く遊べ!」といった要求を表すためにジャンプしている子もいるのです。このような場合、安易に「はいはい」といって要求を満たしてしまうと「こうしたら要求が通った」ことを学習し、次からもっと激しく飛び跳ねたり、要求が通るまで大騒ぎをすることがあります。
ぴょんぴょん跳ね始めたら声を掛けず一旦無視をするなどしてクールダウンさせてから、ごはんや散歩などに連れて行くようにしましょう。
犬自身がけがを負う可能性
もともと胴体が長めで四本の脚で体を支えている犬にとって、二本脚で立ち上がること自体が相当に足腰に負担をかけている状態となります。これに加えてジャンプをすることで体重の数倍の負荷が後ろ足にかかってしまうため、けがの可能性が格段に上がってしまうのです。
特に胴長の犬ではぴょんぴょん跳ねることで椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などが多く報告されています。また発育途中の子犬や若い犬たちがジャンプをたくさんすることで膝蓋骨・股関節脱臼のほか大腿骨の骨頭が壊死するレッグ・ペルテス病や突発性多発性関節炎などを誘発する恐れがあります。
いずれもジャンプだけでなく、階段やソファの昇り降り、滑りやすいフローリング床などでの生活で足腰に負担がかかって引き起こされる病気と言われています。
体重管理と足腰への負荷を調節することが病気予防に大切です。
やめさせる方法
一度ジャンプによる表現を覚えてしまった犬をやめさせるには少し時間と根気が必要ですが、方法は2つあります。
まずはジャンプした時に声を掛けずに無視する方法です。それまではぴょんぴょんすると何かしら声を掛けてもらっていた犬は、無視されるとあれ?と戸惑います。跳ねている間は決して声をかけず、止まってこちらへ注目したり大人しく座ったりしたタイミングで「いい子」と褒めてあげましょう。
もう一つの方法は、事前に「お座り」をさせておくことです。興奮して飛び跳ねてしまうまえに「お座り」を実行させます。コマンド通り座っていられたらたくさんほめてあげましょう。
既に飛び跳ねの習慣が付いてしまっている犬でも、この二つの方法を併用してみてください。
まとめ
犬が好きな人ならば、自分に向かって跳ねてくれると何となく嬉しくなってしまうものです。しかしここはぐっとこらえて犬の健康や他人への気遣いのためにジャンプを控えさせていきましょう。