ストレス
どんな動物であっても、生きていれば必ずストレスを感じるものです。そもそもストレスというのは、安定した体内や周囲の環境を乱す「刺激」をいいます。甘い、辛いといった味覚でもストレスを感じますし、暑い寒い、痛い、空腹というものもストレスです。また、暇、退屈といったものも精神的な安定を乱す刺激になります。
これらのストレスは動物に「不快感」を認識させて、体内環境を正常にさせようとする反応を引き起こす働きがあります。これをストレス反応といいますが、ストレスにさらされている時間が長いほど、ストレス反応を示す時間も長くなります。長期にわたってストレスを受け続けると、副腎皮質ホルモンの過剰分泌、リンパ球を減少から免疫力低下による死を招く結果となるのです。
犬のストレスサイン
痛み
動物は弱みを見せると外敵に狙われやすくなるため、多少の痛みや具合の悪さなら表に出さない場合も多く、それだけに実際に「痛い」「苦しい」のサインが出てくる場合は、相当なレベルの痛みや苦しさだと考える必要があります。
足取りや歩様の異常、ふだんとは違う鳴き声、体に障られることを嫌がる、呼吸の乱れ、けいれん、不活発などの状態が見られたら、なるべく早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
フラストレーション
犬のストレス源が痛みや体の不調ではなく、ある種の欲求不満であることも珍しくありません。欲求不満が蓄積されると葛藤行動と呼ばれる行動に出ることがあります。軽度なストレスであれば、カーミンググナルなどで犬たちも自分で自分を落ち着かせようとします。
この時点で気が付き、ストレス源を取り除ければよいのですが、解消されない場合は大声で吠えたり物を壊したりするような八つ当たり行動がみられるようになります。
さらにフラストレーションが解消されない場合、同じところをうろうろしたり、延々と尻尾を追いかけてくるくる回ったりする常同行動や無気力・無反応などの異常状態に陥ります。
飼い主の覚悟
動物を飼育するということは簡単ではありません。犬であれば十年、近年の犬たちの寿命の延びを考えれば15年は犬と付き合っていく必要があることを、しっかり考えなければいけません。
食費や医療費といった経済的な負担もあります。散歩や遊びの時間といった時間や体力的な負担もあります。しつけをする必要もありますし、ご近所とのおつきあいについても犬がいることで、余計に気を遣う場面も出てくるでしょう。
旅行に行こうと思っても、犬がいけるところを選ばなくてはいけなかったり、公共交通機関の利用も制限があったりしますし、住むところも制限がでてきます。年を取れば犬も介護が必要になることだってあるのです。もちろん犬は人より寿命が短いので、犬を見送る覚悟も必要です。
犬たちを飼うということは、飼い主側が大変な覚悟と配慮をする必要があるのです。
飼い主の配慮はどこまで?
しかし、飼い主も人間社会で社会生活を営む生き物です。そのため、自分の持てる能力をすべて愛犬への配慮に使うわけにもいきません。
いつも一緒にいて、お仕事に行かなければご飯を食べさせることもできませんし、病院にも行けません。犬たちの言うことばかり聞いていたら、リーダーが誰かを教えることもできません。甘やかすのでなく、犬に無用な不安を与えないように気を付けることが「配慮」なのではないでしょうか。
犬を家族に迎えてから行うしつけの中でしっかりと信頼関係を築くことで、犬の情緒を安定せていくことが一番大切だと思います。情緒が安定していることで犬もストレス耐性が向上するので、多少のことでは不安がらなくなるでしょう。
留守番をさせるときも不安を持たないようにゆっくりと慣らし、待っていたらいいことがあることを教えてあげてもよいですね。
また、どんなことでも突発的なアクシデントはつきものです。万が一、飼い主である自分が入院などで世話ができなくなったときの、代わりの方法は常に用意できるよう考えておくことも大切です。
まとめ
いかがでしょうか。ちょっと「配慮」と考えると難しいようですが、犬のストレスを可能な限り排除できるよう、努力することと考えればよいでしょうか。あれもこれも我慢しなければと考えこんでしまわずに、なるべくお互いに幸せに暮らせることを目標にしてもいいかもしれませんね。