人間の意志を理解できるから
犬は人間の意志を理解できる動物
犬は、本能的にカーミングシグナルと言って、独自の行動で仲間同士で意思を交わしあうことができます。
それは、本能的に「相手のことを理解したい、理解してもらいたい」という欲求から発生し、犬の遺伝子の中に刻み込まれた言語とも言えます。
犬は、言葉など必要とせず、仲間同士で非常に高く密接なコミュニケーションをとることができる動物です。
同じ種の動物でなくても、同じ群れで生活している仲間である飼い主さんの意思を表情や声、仕草や行動などから察して、理解できているはずです。
犬も人間も群れで生活できる動物だから
「パックアニマル(pack animals)」という言葉をご存じでしょうか?
「群れで行動する動物」という意味です。
また、「social pack animals」は、社会性を持つ群れで行動する動物、「instinctual pack animals」は、本能的に群れで行動する動物、という意味です。
かつて大昔、自然界で生きていた犬は、群れの中で自分の立場、役割、順位を判断し、安定した上下関係を保ちながら生きていました。
野生で生きていた犬は群れを形成し、効率よく餌を取り、安全に繁殖し、生き延びていくために、利口なリーダーを必要としました。
どんなに時が流れ、犬の体の大きさや容姿、気質が変化していても、強く、頼りになるリーダーを求め、群れの中で安定した生活を送りたいという犬の本能は、確実に存在しています。
人間もパックアニマル
実は、犬の社会構成と人間の社会構成はとても良く似ています。
私たち人間も、家族や会社、学校など様々な集団と関わり合いながら生きていく能力を持っています。
家族や会社と言った集団を「群れ」あるいは「パック」という言葉に置き換えると、私たちも犬と同様の「パックアニマル」であると言えます。
同じ群れの仲間だから、一緒に生活できる
犬が私たち人間とともに暮らせるのは、飼っている犬が人間の家族のことを自分の「パック(群れ)」と認識し、深く信頼していて、自分もその中の一員であることを自覚し満足しているからです。
人間が犬に正しい指示を与えることができるから
犬に対して的確な指示を出せるから
犬は、家族を「自分の属している群れ」だと思っていると仮定しましょう。
その中で、最も的確に指示を出してくれる人をリーダーとして認識します。
もちろん、人間の言葉は理解できません。
ですが、犬は私たち人間の意図を、表情や目の動き、声の大きさや高低などから理解しようとし、徐々に意思を交わすことができるように成長していきます。
もし、犬が人間の意志を読み取ろうとしなかったら、人間の指示に従うことなどできるはずがありません。
逆に、人間が無表情で声も出さず、犬に対して無関心だったなら、犬がどんなに利口でも人間の意思をくみ取ることはできないでしょう。
つまり、お互いが意思を通じ合おうとするからこそ、犬は人間の意志を理解し、指示に従う、指示を待つ、という行動がとれるのです。
リーダーに従い、信頼されたいという欲求があるから
犬の社会的欲求
実は犬にも食欲や睡眠欲、性欲のほかにも、精神的な欲求があると言われています。
その一つに「社会的欲求」があります。
これは、群れの中で共に生きている仲間と、触れ合ったり、受け入れられたり、信頼されたい、という欲求です。
飼い主さんの指示に従うことで、飼い主さんに褒められる、信頼されることで犬の心が満たされます。
例えば、同じように人間と暮らしている猫が、犬に比べて気ままで人間の指示を聞かないのは、こういった「受け入れられたい」「信頼されたい」という社会的欲求が希薄だからなのかも知れません。
まとめ
犬は、私たち人間と同じ「群れ」の仲間として暮らし、仲間と意思を通じ合いたいと思っていて、信頼されたいとも思っている…そう考えると、もっともっと愛犬の気持ちを分かりたいと思えますね。
また、もっと深く理解すればするほど、愛犬も私たち飼い主の気持ちを理解し、指示を待つ、指示に従うと言った行動だけでなく、もっと深く私たちの意志もくみ取ってくれるようになるかも知れません。