「遊ぶ」ということは「社会」を「学ぶ」ということ
犬にとって「遊ぶ」ということは「学ぶ」ということです。犬同士が遊ぶことで犬社会を学び、相手(犬)との接し方や自分の立場を理解します。犬が人間と遊ぶことで人間社会を学びます。人間と暮らすためのルール、人間との接し方、相手(人間)がどんな存在なのかなどを理解します。
犬社会を学ぶことができなかった犬は、他の犬と上手くコミュニケーションをとることができず、他の犬を極端に恐れたり、攻撃したりするようになってしまうことがあります。
人間社会を学ぶことができなかった犬は、しつけで苦労しいやすく、問題行動を起こしやすくなってしまうことがあります。人間との接し方がわからないため、思いっきり飛びかかったり、強く噛んでしまったり、人間を傷つけてしまうこともあります。
犬は、犬同士で遊ぶこと、人間と遊ぶことで社会を学んでいます。安全なこと・安全なもの、危険なこと・危険なもの、そういったことやものを学ぶためでもあります。とくに生後12週頃から迎える社会化期には、たくさん遊ぶことでたくさんのことを学び、どんどん吸収してくれる重要な時期です。
子犬が遊びから学ぶこと
生後12週頃から迎える社会化期には、トレーニング(しつけ)を取り入れた遊びを行ってあげると良いと思います。
たとえば、「噛む」ということに対してのトレーニングを行う必要があります。犬は噛むことが大好きです。噛むということは犬の本能や習性でもあります。しかし、人間を噛んでしまってはケガや事故の原因にもなるため、人間を噛んではいけないということを学ばなければなりません。また、誤飲や事故を防ぐため、噛んで良い物と悪い物の区別ができるよう学ぶ必要があります。
噛むということに対してのトレーニングを取り入れた遊びを行いたいときは、「人間の手や足などを噛んだら遊んでもらえなくなる」ということを理解させる必要があります。ボールやおもちゃを持つ飼い主さんの手を噛んでしまったら遊びはお終いです。飼い主さんのスリッパや靴下などをくわえたり噛んだりして遊んでしまうときは、その物をすぐに取り上げてください。そして、犬のおもちゃを与えてください。そうすることで噛んで良い物と悪い物、遊んで良い物と悪い物を区別することができるようになります。
成犬が遊びから学ぶこと
遊びから何かを学び得るということは子犬の頃に限ったことではありません。成犬にとっても遊びは重要なものです。運動に遊びを取り入れることで運動不足の解消や筋肉の維持、体力や健康の維持と向上などに繋がります。犬にとってカラダを動かすということはストレスの発散にもなりますし、ガンや肥満などの生活習慣病の予防にも役立てることができます。また、飼い主さんと犬が一緒に遊ぶことでスキンシップやコミュニケーションにもなりますし、遊びを通して愛犬のちょっとした変化や異常にも気づいてあげることができます。
成犬におすすめの学べる遊び
成犬が遊びから何かを学ぶためには、犬の能力を十分に活かすことができる遊びを取り入れてあげると良いと思います。嗅覚を活かした遊び、聴覚を活かした遊び、運動能力を活かした遊びなどです。
たとえば、飼い主さんが家のどこかに隠れます。かくれんぼです。犬が飼い主さんを探します。飼い主さんのニオイをたどって居場所を探し当てるという方法でも良いですし、「おいで~」「ここだよ~」と発せられる飼い主さんの声をたどって居場所を探し当てる方法でも良いです。
成犬になった後も犬社会を学ぶ機会を与えること
成犬になった後も公園やドッグランに行くなどし、犬同士で遊びならが学ぶ機会を与えてあげることで犬社会を学ぶことができます。子犬の頃に学んだ犬社会を復習するという意味でも良いのではないでしょうか。犬同士のスキンシップやコミュニケーションにもなりますし、お友達と学びながら遊ぶということは犬にとって嬉しいことです。とても喜んでくれると思います。
まとめ
- 犬社会を学ぶため
- 人間社会を学ぶため
- 健康を維持するため
- 学んだことを復習(再確認)するため
犬にとって遊びは学びです。たくさんのことを学んで欲しいのであれば、トレーニングを取り入れながらたくさん遊んであげましょう。とくに子犬の頃の遊びと学びは人間と暮らす上でとても重要なことです。飼い主さんは母犬の代わりでもあります。母犬のように愛情を持って遊び、学ばせてあげてください。他の犬や人間との交流も遊びと学びの機会ですし、犬社会と人間社会を多く学ぶことができます。公園やドッグランやイベントなど、犬や飼い主さんが集まる場所へも積極的に出かけてみてはいかがでしょうか。