犬の介護はいつから必要?
獣医学の進歩や飼育者の意識の向上などを背景に犬の平均寿命は年々延びてきています。それに伴って挙げられるのが介護の必要性や介護の不安への声です。犬が室内で暮らすことが一般的になってから20年近く。現在犬の介護をしている人や今後犬の介護が訪れるという家庭の多くが初めて室内で犬の介護を行うことになるでしょう。そのため「介護はいつから?何をすればいい?」と心配になってしまう人も多いと思います。
介護がいつから必要かということについては犬によって異なります。年齢的にシニアと呼ばれる世代に入っても健康で生活の中に支障があらわれていなければ介護の必要はありませんし、反対にシニア期に入ったばかりでも老化現象が強くあらわれている場合は介護が必要となり必要となります。年齢に応じた健康管理は大切ですが、介護そのものがいつから必要かについてはその犬が日常生活においてどの程度不便や苦痛を感じているかによって異なると言えるでしょう。
犬の介護①バリアフリー
年齢を重ねると犬も足腰の筋力が衰え、視力や聴力などの近くも衰えてきます。その影響から若い時は問題なく越えられた段差や障害物につまずいたりぶつかったりするようになってしまいます。そうしたことから怪我をしてしまうだけでなく、行動することを怖がったり億劫に感じるようになってあまり動かなくなってしまうことも少なくありません。動くことが減るとさらに筋力や感覚が衰えてしまうため、症状が進行したり寝たきりになってしまうことも。
犬の老化を抑えるためには適度に運動をして健康的な生活を送ることが大切です。そのため、バリアフリーとして段差や障害物をなくしたり、ぶつかったときの衝撃を緩和させる工夫をしたりして犬が躊躇せずに行動できる環境を整えてあげることが大切です。
犬の介護②排泄や食事の介助
介護というと排泄や食事など日常的な行動のサポートが最も気になるところだと思います。老犬になること身体的な機能の衰えなどから排泄の失敗が増えたり、食事の際にうまく飲み込むことができなくなったりすることがあります。それらの介護については犬の状態、状況に合わせて変えていく必要がありますが、トイレに連れ出す回数を増やしたりおむつをする、食事は台に乗せて食べさせてのどへの詰まりを防いだり流動食にするなどということで対応します。また、日常生活で言えば散歩のサポートが必要になることも。歩くことが困難になっても外に出ることは精神的な安定のために必要ですから、カートを利用するなどして散歩に連れ出してあげるといいでしょう。
犬の介護③認知症への対応
犬の寿命が延びたことで目立ち始めた老化現象のひとつが認知症とそれに伴う夜泣きや徘徊などの行動です。人間と同様に、犬の認知症は徐々に進行するためはじめのうちは「最近言うことを聞かなくなったな」「ぼーっとしていることが増えたな」などちょっとした変化にしか感じませんがそれが認知症の始まりである可能性もあります。犬が認知症を発症すると、呼んでも反応しなくなったり、できていたことができなくなったり、自宅がわからなくなったり、怒りっぽくなったりします。次第に一晩中夜泣きをしたり、同じ場所をぐるぐる歩き回ったり徘徊したりして飼い主を悩ませることも。
認知症の症状を改善させることはとてもむずかしいことです。性格や行動の変化については、個性として受け入れるようにして環境を整えながら飼い主が変化に対応した行動を取ることが必要です。夜泣きや徘徊については危険のない環境と生活リズムを整え、無理のない範囲で対応します。それによって飼い主の心身に不調をきたすような場合は動物病院に頼ったり、最近増え始めている老犬ホームやデイケアを利用するなどしましょう。
<まとめ>犬の介護で大切なこととは?
犬を飼っている以上、犬の介護はいずれ訪れるもの。寂しい気持ちもありますが、老化は避けることができませんし変わっていく愛犬を受け入れて最期まで面倒を見るということが飼い主の務めだと思います。しかしながら、寿命が延びた今の犬たちの介護は長期間に及ぶ可能性もあります。そうした場合、飼い主の仕事や生活に影響が及んだり、寝不足やストレスから心身に不調をきたしてしまうことも少なくありません。
犬の介護で大切なことは、飼い主が頑張りすぎないということです。ひとりで抱え込んでストレスを溜めてしまうことは飼い主にとっても犬にとっても幸せなことではありません。無理のない範囲で介護をし、気持ちに余裕を持って犬に接するためには誰かに頼ることも必要だということを覚えておきましょう。愛犬のことが大好きで一生懸命な飼い主ほど、介護で強いストレスを抱えやすいので動物病院や老犬ホーム、デイケアなど利用できる施設やサービスを活用しながら上手に休息とバランスを取って介護に向き合うようにしましょう。