「動物愛誤」とは?
「動物愛誤」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?動物愛誤は見てわかる通り動物愛護を揶揄した言葉で、主にインターネット上などで行き過ぎた動物愛護精神を持つ人やその行動・言動に注意喚起または中傷するときなどに用いられています。
動物が好き・動物がかわいそうという感情のみでその他の事情を顧みずに行動を起こしたり発言をすることを動物愛誤と言います。結果的に本来の動物愛護精神からはかけ離れたことになってしまったり、他人に迷惑をかけてしまったりします。「かわいそう」という感情のみで衝動的に動いてしまうため、その出来ごとの背景や事情を理解することができず、間違った動物愛護活動や行き過ぎた動物愛護活動を行ってしまうことにつながります。
動物愛誤の特徴としては、単純に自分が「かわいい」と感じる動物に対する愛護精神しかもたないため、ほかの動物などには無関心であったり矛盾した行動を取ることがあります。また、他国の食文化や社会規範などを理解せず、自分中心の判断基準に当てはまらないものを悪であると認識したり、動物を守るために他人の命や財産に危害を及ぼす行為が見られたりします。
さらに、動物愛護を謳って寄付金を集めて適正使用しなかったり政治利用したりする団体などもあり、そうしたものを「動物愛誤団体」と呼ぶこともあります。
動物愛誤と考えられる実例
動物を守るために他人に危害を加える
動物愛誤と言われてしまう行動のひとつに、動物への行き過ぎた愛情や偏った愛情からそれを邪魔されたり批判されたりするとその相手に危害を加えるということが考えられます。実際この10年程の間にも「野良猫へのエサやりを注意された相手を刺殺」「かわいがっていた野良猫を抱っこしている人が猫をいじめていると勘違いして暴行を加えた」「犬の飼育に関する苦情を言ってきた相手を包丁で脅した」など非常に危険なトラブルが数多くあり、それにより逮捕者も多く出ています。
動物を守るための行動で他人に迷惑をかける
虐げられたり捨てられてしまった動物を見て「かわいそう」「何とかしたい」と思う気持ちは多くの人が持つ感情だと思います。そこで「では自分にできることは何か」を考えてできる限りのことをするものだと思いますが、動物愛誤と言われる行動を取る人はその行動が極端になってしまいます。「保健所で保護されている殺処分の可能性がある犬猫を建物に侵入して外に逃がした」「捨て猫を無計画に引き取って多頭飼育崩壊を起こしてしまった」「飼っている猫のエサ代がなく万引きをくり返した」といった迷惑行為や犯罪は、本をただせば動物愛護精神から起こったものですが短絡的すぎて結果的に他人だけでなく動物にも迷惑をかけてしまっていることになります。
動物保護のために過剰に寄付金集めをする
動物愛誤団体と呼ばれる組織の多くは金銭目的や政治利用目的と考えられます。寄付金を集めてそのお金を動物保護活動に使用せず、自分たちの生活費に使用しているという指摘をされている団体などもあり、多頭飼育崩壊現場や虐待現場などの情報を小出しにしてすでに解決している事案にも関わらず長年にわたって寄付金を募り続けるということもあるようです。保護した動物の中で病気や怪我をしている状態の動物がいても、あえて治さず「このかわいそうな子のために寄付を」という看板にしているなどと言う悪質な動物愛誤団体もあるようです。
動物愛誤は虐待につながることも
本来動物愛護とは動物を大切にして愛する精神のことですが、動物愛誤とされる行動を取ってしまう人たちも多くはそうした精神・気持ちを持っていたはずです。しかし、「かわいい」「かわいそう」などという動物に対する感情的で短絡的な思考にとらわれ過ぎて、自己中心的になってしまいまわりが見えなくなってしまっているのだと思います。
そうしたことから次第に愛し、守るべき存在であったはずの動物さえも虐げたり迷惑をかけてしまったりする結果につながることも少なくありません。捨てられた動物を「かわいそう」という気持ちで感情的かつ無計画に引き取り続けた結果、気がつけば世話をすることができないほど増えてしまい逆に“多頭飼育崩壊現場”として保護対象になってしまうことなどもめずらしくありません。「かわいそう」「何とかしたい」という気持ちを持ち行動をすることはすばらしいことです。しかし、自分が抱えることのできる範囲というものを把握した上で節度を持って動物愛護活動を行わなければ、本末転倒の結果につながるということを忘れないようにしましょう。
<まとめ>動物愛護を動物愛誤にしないために
動物愛誤とされる行動や言動の多くは、元は本来の動物愛護精神を持ってやり始めたことばかりです。どんどんその気持ちが偏ってしまったり、行き過ぎてしまうことで他人や動物への迷惑を考えることができなくなり「本当の動物愛護とは何か」を見失ってしまっている状態なのだと思います。そのため、よほど悪意のある動物愛誤活動でなければ第三者の介入によって解決できることも少なくありません。
改めて言っておきますが、動物愛誤は決して動物虐待などを肯定するための用語ではありません。動物をかわいがる行為や気持ちをバカにする意味で使われることもありますが、この言葉をきっかけに感情的になりすぎることなく本当の意味で人間と動物が幸せになれるための動物愛護について一歩立ち止まった考えるきっかけとなればいいなと思います。