ポジティブトレーニングとは
ポジティブトレーニングは「陽性強化」とも呼ばれ、犬を力で押さえつける強制法という手法とは異なり、犬を褒めて伸ばすしつけ方法です。褒めるというとちょっと難しいかもしれませんが、ポジティブの意味をそのまま使えば「肯定する」というのが伝わりやすいかも知れませんね。
要は犬の行動を「肯定」することでその行動を「良いもの・褒められるもの」と犬に覚えてもらい、良い行動の頻度を上げていこうというものになります。
「褒める」手段は声かけ、スキンシップ、おやつなど犬が喜ぶものでモチベーションが上がるものが良いでしょう。
何か行動を起こした際、タイミングよく「合ってるよ。いいよ」という合図を出してあげることで、犬は驚くほどのスピードで学習していきます。犬たちは褒めもらうので楽しく学ぶことができ、人も側もいちいち叱ることをせずに済むため双方にメリットがあるトレーニング方法ですね。
ポジティブトレーニングの方法
タイミングよく褒める
「その行動が正解だよ」と犬に伝えるポジティブトレーニングは、犬を無理やり行動させるのではありません。犬が自分からとる行動や、人による誘導で行ってほしい動作などをできたときに、タイミングよく褒めることで成立します。
例えばお座りですが、人が何も言わないうちにとことことやってきてひょいとお尻を下ろす瞬間があります。その「できた瞬間」に、お座りという言葉とともに「いい子」「よし」などの肯定の言葉をかけて褒めましょう。犬は当初何を言われているのかわからないのですが、なんか褒められたということは理解します。なんどもこれを繰り返すと「お座り」をすると「いい子」と褒められる(おやつで褒めている場合はおやつがもらえる)と理解し、「お座り」と言えば飼い主の前ですぐ座るようになるのです。
目的の行動を引き出せない場合
しかし犬も自我がある動物ですので、行ってほしい動作をしてくれないこともあります。誘導でも目的の行動を引き出せない場合は、ちょっと待つ時間を作ったり、おかれている環境を目的の行動を行い易く設定する必要があります。
先ほどのお座りの場合もそうですが、興奮してはしゃいでいるときに「お座り」と伝えて座らないなんてことはよくありますね。何度も伝えているのに飛びついたり、走り回ったりしてつい「ダメ」なんて声をかけてしまいそうです。しかしここでぐっと我慢し、何も言わないでおきましょう。犬の方が疲れたり「あれ?」と思ったりしてそのうちちょこんと腰を下ろす瞬間があると思いますが、その時にすかさず「いい子!」と褒めてあげてください。
おやつを使うのもOK
また、体力が無尽蔵にある犬はいくら待っても座らないかも知れません。そういう場合はおやつを少量もって犬の鼻先から上に持ち上げて見ましょう。つられて上を見た犬はお尻がすとんと床に落ちるでしょう。そのときすかさずお座りの声かけと共に褒めちぎります。
犬が自発的に座るような状況を作ってあげる
ぐっと待つ場合もおやつで軽く誘導する場合も、いずれも犬が自発的に座るような状況を作ってあげるというわけです。こうすることで叱ったりネガティブな言葉かけをしなくても、望む行動を起こさせやすくできます。
他のしつけの場合も同様です。犬の興味や体調、周囲の環境などをよく観察し、犬を褒めてあげられる状況を多く作り出すのがポジティブトレーニングの成功の秘訣です。
間違った行動をした時は
犬も動物ですから覚えた行動を100%の精度で行えるわけではありません。時間がたてば忘れてしまったり、似ている行動と勘違いして動いてしまうこともあるでしょう。しかし間違えてしまった場合もネガティブな言葉かけをしないようにしましょう。時間はかかりますがなるべく間違った行動が出ないような環境を作って、もう一度教えてあげればよいことなのです。
また、危険な行動をする可能性が考えられる場合は、その行動が出ないように犬を動かさない、危ない行動をする前に呼び戻す、などの対策をする必要があります。叱る前に「叱らない状況を作る」ことも飼い主の大切な役目です。
まとめ
いかがでしょうか。ポジティブトレーニングは犬にこちらの望む行動(お座りやマテなど)を覚えてもらう手法として、近年大変注目されている方法です。しかし犬の個性や性格、動きをよく観察しなければならず、飼い主側にも根気が要求される方法とも言えます。
陽性強化という言葉でも紹介されているので、ぜひ勉強してみてくださいね。