愛犬に間違った褒め方をしていませんか?
人は誰かから褒められるとうれしい気持ちになりますが、それは犬も同じなようで、大好きな飼い主さんに褒められるととても喜びます。
褒めることはコミュニケーションのひとつですので、愛犬をたくさん褒めてあげることによって、愛犬と飼い主さんとの関係がよりよいものになることが期待されます。
また、褒めることで正しい行動を学習させることもできます。
ですから、愛犬のいい行動はしっかり褒めてあげたいものですが、間違った褒め方をしていては、逆効果になりかねません。
では、どのような褒め方が間違っているのか、一緒に見ていきましょう。
①褒めるタイミングが遅い
犬を叱るときも褒めるときも、タイミングがとても重要です。
なぜかというと、よくない行動やいい行動をとった直後でなければ、犬は何を叱られたのか、何を褒められたのかが理解できないからです。
例えば、きちんとトイレにおしっこできたことを飼い主さんがあとから気づき、「イイコだったね」と褒めてごほうびを与えても、犬はさっきの行動と今もらえたごほうびを結びつけて考えることはできません。「さっきトイレでおしっこをしたごほうびだ」とは考えられないのです。
犬は何かをしていいことが起きればその行動を繰り返そうとし、嫌なことが起きればその行動を繰り返さないようにしますが、行動といいこと(ごほうび)を結びつけられなければ、どうすればいいことが起きるのかが分かりません。
それはつまり、正しい行動を学習することができないということです。
犬はタイミングよく褒められてこそ、行動といいことを結びつけて正しい行動を学習できます。
褒めるタイミングは、愛犬がいい行動をとった直後を徹底するように心がけましょう。
②常にオーバーに褒める
犬を褒めるときはニッコリと笑い、大きく明るく高めの声でオーバーに褒めてあげた方が、犬に伝わりやすいです。しかし、あまりオーバーに褒めない方がいい場合もあります。
例えば、トレーニングの最中に大きな声でオーバーに褒めると犬が興奮してしまい、トレーニングどころではなくなってしまう可能性があります。
トレーニング中は小さく落ち着いた声で、さりげなく褒めて犬の集中力を妨げないようにし、トレーニングが終わったらオーバーにたくさん褒めてあげるといった配慮が必要です。
特に、興奮しやすい性格の犬は気をつけてあげましょう。
小さく褒めた方がいいのか、大きく褒めた方がいいのか、そのときの状況や愛犬の性格に応じて判断しましょう。
③愛犬が喜ぶことをごほうびにしていない
日本人には、小さな子供を褒めるときに頭をなでる習慣があります。
そのため犬を褒めるときも、つい頭をなでてしまいがちです。
これがごほうびになる犬もいますが、中には頭を触られるのが苦手な犬もいます。
頭をなでるときに顔を背ける、自分の鼻や唇をなめる、あくびをするといったストレスサインが見られる場合は、頭を触られることが苦手である可能性が高いです。
そういう犬にとって頭をなでられることはごほうびにはならず、むしろ嫌なことをされている状態です。
与えられてうれしいものがごほうびでなければ、褒めることの効果は期待できません。
なでられると喜ぶ犬もいれば、おやつをもらうと喜ぶ犬もいて、犬によって喜ぶことは違います。愛犬が喜ぶことは何かを知り、何がごほうびになるのか正確につかむことが大切です。
④ごほうびのおやつをたくさん与える
犬は基本的に食いしん坊なので、愛犬を褒めるときのごほうびとしておやつを使うことが多いと思います。その場合、与えるおやつの量に注意が必要です。
一度に与えるおやつの量が多いとそれで満足してしまい、おやつに魅力を感じなくなってしまうかもしれません。そうすると、トレーニングなどを頑張る意欲が低下する可能性があります。
また、おやつの与え過ぎは肥満にもつながります。
おやつを魅力的なものにしておくためにも、肥満予防のためにも、ごほうびに与えるおやつの1回の量は少量にしましょう。一日のおやつの適正量をあらかじめ小さくカットしておくと便利です。
⑤よくない行動をやめたあとにごほうびを与える
例えば、要求吠えしていた愛犬が吠えやんだからといって、ごほうびを与えてしまうのはNGです。「吠えてからやめると、ごほうびをもらえる」又は、「吠えるとごほうびをもらえる」と学習し、吠え癖につながってしまうことがあります。
よくない行動をやめたあとはごほうびは与えずに、「イイコ」などの言葉だけで控えめに褒めるようにしましょう。
まとめ
飼い主さんはしっかり愛犬を褒めているつもりでも、ご紹介したような間違った褒め方をしていると、うまく愛犬に伝わらなかったり、逆効果になってしまったりすることがあります。
指示に従えたとき、おとなしくブラッシングや歯磨きをさせたとき、トイレに排泄ができたときなど、愛犬を褒める機会はたくさんあります。
愛犬が喜ぶごほうびを用意して、上手に褒めてあげられるように努めていきましょう。