犬にとって匂いは大事な情報源
犬の嗅覚は人間に比べて、非常に優れているということはよく知られていると思います。
犬の嗅覚は1,000~1億倍もあると考えられていますが、それはただ匂いを強く感じるということだけでなく、匂いを嗅ぎ分ける能力にも優れているということになります。
特に動物が生きていく上で必要な情報を得るための匂い、つまり食べ物や他の犬・動物(人間も含む)の匂い、刺激臭などに対しては特に敏感で、オス犬は発情した犬の匂いを8km先からも嗅ぎ取ることができるとも言われています。
日常的なところで言えば、他の犬が歩いた場所や排泄した場所などから、その犬が誰なのか、健康状態はどうなのか、などの情報を嗅ぎ取ることができると考えられています。
その優れた嗅覚を利用して、警察犬は犯人の追跡を行うことができますし、麻薬探知犬や爆発物探知犬などは、それらを発見することが可能になります。
匂いは視覚や聴覚で得たもの以上に、犬にとって重要な情報源で、年齢を重ねて様々な機能が老化し衰えても、最後まで残る感覚だと言われているのです。
犬はなぜ飼い主の匂いを嗅ぐのか?
犬の嗅覚は優れており、飼い主の匂いを嗅ぐことで、そこから様々な情報を読み取っています。
そのため、飼い主の匂いが好きだからという理由以外に、飼い主がどこに行っていたのか、何をしていたのかなどを知るために、匂いを嗅ぎまわることもあります。
特に外出先からの帰宅時、他の犬に触れた後などは犬も熱心に匂いを嗅ぐのではないでしょうか。
もちろん飼い主の匂いを嗅いでいると、安心するという理由からそばにきて匂いをかぐということもあるでしょう。
しかし、飼い主の匂いで安心したい場合は、飼い主のベッドや布団の上で寝たり、飼い主の服やタオルなどを自分のものにして、ハウスやケージ内に持ち込もうとしたりする様子が見られることもあります。
そのため、ペットホテルに預けるなど犬が不安に感じるかもしれないと思われるときには、飼い主の匂いのついたものを一緒に持たせてあげると、犬はとても安心できると思います。
飼い主の匂いが大好きな理由
犬は飼い主の匂いが大好きだと言われていますが、犬を飼っていると実際にそう感じることも多いと思います。
飼い主の靴下、靴、スリッパなどをかじっていたずらしやすいのも、飼い主の匂いが強くついているためだと言われることもあります。
ではなぜ犬は飼い主の匂いが好きなのか?
実はその理由に関する研究が行われています。
アメリカ・エモリー大学の神経科学者、グレゴリー・バーンズ氏が高度な人工知能技術を用いて、犬の脳画像解析を行い犬が様々な匂いを嗅いだときに起こる脳変化について研究調査しました。トレーニングされた犬12頭が対象となり、自分(犬自身)・会ったことのない犬・一緒に暮らしている犬・会ったことのない人間・一緒に暮らしている人間の5種類の匂いを嗅がせて、脳や感情に起こる変化を分析。
その中で一緒に暮らしている人の匂いを嗅いだときに特に強い変化が起こり、脳内で “前向きさ・未来への希望”や、“好意的な感情・快感“を司るとされている部分が反応していることが明らかになりました。
他の匂いを嗅いだときには、その部分はほとんど活性化せず、飼い主の匂いを嗅いだときだけ前向きで明るい気持ちになる傾向にあることがわかったのです。
しかし、なぜ一緒に暮らしている人間の匂いにだけその部分が反応するかというところまではまだわかっていないため、今後も研究が続けられるのではないかと思われます。
<まとめ>犬が飼い主の匂いが大好き!
犬が飼い主の匂いが大好きだということは、飼い主であれば実感することも多いと思います。
しかし、大好きであることの理由には、「脳が前向きで明るい気持ちに変化する」という科学的根拠があるのは驚きですね!
飼い主がそばにいることで愛犬がプラスの感情を持ち、安心するというのは、飼い主としてはとてもうれしいものです。
犬にとって匂いはいろいろな意味を持つ重要なもの。
愛犬が匂いを嗅いでいるときには、「何を読み取っているんだろう?」「どんなことを感じているんだろう?」などと思いを馳せてみるのも、面白いかもしれませんね。