そもそもプリン体とは?
「プリン体」とは、穀物・肉・魚・野菜など食物全般に含まれる成分で、主に旨みの成分にあたる物質です。プリン体は身体の中でも生成・分解され、通常は”尿酸”に変化し体外に排出されます。
尿酸は「細胞の老廃物」といわれるように、身体にとっては利用価値のないゴミのようなもの。
そのため外に出して然るべきものなのですが、何らかの理由で尿酸量が排出能力を超えてしまうことがあります。その結果、体内に蓄積されて痛風や結石の原因になってしまうのです。
尿酸がたまってしまう原因にはいろいろな説がありますが、かつてはプリン体の摂りすぎが原因とされていたため、プリン体の摂取量を厳しく制限することもありました。
しかし、最近ではプリン体の摂取量はあまり関係ないともいわれており、食事制限をすればOKということでもなさそうです…。体質によるものも大きいようですね。
犬もプリン体を摂りすぎると痛風になる?
それでは人間と同じように、犬もプリン体を摂りすぎると痛風になるのでしょうか?
答えは「NO」です。
犬は人間とは違って、尿酸をためることがないため、痛風にはならないといわれています。
確かに、痛風持ちのワンちゃんって聞かないですよね!
その謎の答えは、人間と犬の身体のつくりの違いに隠されています。
人間は尿酸を尿から外に出しますが、犬はその後にもう1段階踏んで、「アラントイン」という物質に変えてから排出します。
尿酸は水に溶けにくいのですが、アラントインは水に溶けやすい。
だから犬は、体内の尿酸を尿に上手く溶かし込んで、スムーズに排出できるようです。
このように、プリン体の摂りすぎで痛風になる犬はいないようです。 しかし、結石症の犬はたくさんいますよね…? これは体質によるものであったり、プリン体が尿酸以外のところからきている可能性もあったりと、詳しい原因はまだ解明されていないようです。
身体の仕組みからいえば、犬は人間よりも結石や痛風にはなりにくいようです。
しかし、だからといって絶対にならない、100%安心というわけではないと考えておいた方がよさそうですね。
ダルメシアンは注意が必要
犬は尿酸をためないと説明しましたが、じつは犬の中で唯一ダルメシアンだけは、人と同じように尿酸をそのまま外に排出します。
尿酸を排出する哺乳類は、人間とゴリラ・オランウータン・チンパンジーなどの大型類人、そしてダルメシアンだけなのです。
そのためダルメシアンは尿路結石症が多く、6歳以上のオスの34%に何らかの症状が出ている報告されています。 犬の中で、どうしてダルメシアンだけが尿酸を代謝できなくなってしまったのか。 その理由は明らかになっていません。 ただ、ダルメシアンの特徴的な斑点を作り出した遺伝子と、何らかの関係があるのではないかといわれています。
プリン体の対策方法
プリン体が多く含まれるのは、
- 腎臓
- 肝臓
- にしん
- さば
- レバー類
- 一部の魚介類(エビ、イワシ、カツオなど)
などの食品です。
反対にプリン体が少ないのは、
- アスパラガス
- ほうれん草
- カリフラワー
- グリーンピース
- 豆類
- マッシュルーム
- キノコ類
- 甲殻類(かに、ロブスター、牡蠣)
- うなぎ
- 魚
- ベーコン
- 肉(ラム、豚肉、ハム)
- 鳥肉(鶏、鴨、七面鳥)
などの食品です。
ダルメシアンのプリン体対策として、プリン体の多い食品を避け、プリン体の少ないフードを与えることがポイントです。
また、しっかり水分を補給することも忘れてはなりません。
老廃物を身体から尿として排出するには、水分を多く取って尿を酸性にしないことが肝心です。
あまり水を飲まない犬には、カリカリのドライフードよりも手作りフードや、ふやかしたフードを与えるとよいかもしれません。
サプリメントを与える場合は、ビタミンB・ビタミンEがよいでしょう。
まとめ
「犬もプリン体を摂りすぎると痛風になるのか」について解説しました。
犬は尿酸をため込むことがないので、痛風にはならないといわれています。
しかし、結石になる犬は多いので、食事や水分補給には気をつけたいですね。
また、犬の中でも人間と同じように尿酸をそのまま排出するダルメシアンには、特に注意が必要です。
プリン体の少ない食品で手作りフードを作ったり、消化・吸収のよいPHの高いミネラルウォーターを与えたりして、愛犬の健康を守りましょう!