犬は文字を読むことはできない
「犬は文字を読めるのか」という疑問はとても興味深いものですが、結論から言ってしまうと犬は文字を読むことはできません。そもそも犬は人間の持つ言語の意味を知りませんし、文字を読み取りその言葉の意味を理解することは現時点では考えられません。
もちろん犬に口頭で「おすわり」や「お手」「待て」などの指示を出し、それに従うことができる犬はたくさんいますし、飼い主が日常的な会話の中で発する「お散歩」や「おやつ」などの言葉に敏感に反応する犬も多いでしょう。しかしこれらははじめからその言葉の持つ意味を知っていたわけではなく、飼い主がくり返し「おすわり」や「待て」のトレーニングを行ったり、毎日散歩やおやつの時間があり行動と言葉が関連付けられて覚えたことによる理解です。そのため、文字に関してもトレーニングによって特定の言葉だけであれば覚えさせることは可能かもしれませんが、初めて見る文字を解読するということはむずかしいでしょう。
文字を読めるとされた犬がいた!
犬は人間の言葉で書かれた文字を解読することはできないと考えられていますが、実はアメリカに「文字を読むことができる」とされた犬がいて今話題を集めています。
それはアメリカ・コロラド州に暮らす1歳のゴールデンドゥードル(ゴールデンレトリバー×プードルのミックス犬)で、文字の書かれたカードを見てそこに書かれた通りの行動を取るという動画がインターネット上にアップされました。この犬は非常に物覚えがよく、ドッグトレーナーの指導のもとで「SIT(お座り)」「DOWN(伏せ)」など4つの文字を理解したとされ、今後もその数を増やしていくとしています。ちなみに同様のトレーニングを行った他の犬はまだ文字を読み取って行動するということは成功していないそうです。
犬に文字を覚えさせる方法
犬が文字を解読することは不可能だと考えられているのに、上記のゴールデンドゥードルはなぜ文字を読むことができたのか?その答えはこの犬が「文字を読んでいるわけではない」ということにあります。どういうことかと思うかもしれませんが、この犬はそこに書かれた文字の意味を解読しているのではなく、くり返しトレーニングを行うことで出されたカードの文字列を視覚的に覚えて行動と関連付けさせているのです。
犬に文字を覚えさせるトレーニング方法は次の通り。元々口頭での指示で理解できている「SIT(お座り)」や「DOWN(伏せ)」などを応用する形で、文字の書かれたカードを見せた後に口頭指示またはハンドサインを出して文字通りの行動をさせてごほうびを与えます。これをひたすらくり返すことでカードに書かれた文字を視覚的に覚えさせながら行動と関連付けさせるのです。このトレーニングによってカードを出した後の口頭指示またはハンドサインを省いても文字通りの行動を取ることができるようになったということです。
犬が文字を読むことについてまとめ
犬が人間が使う文字そのものを解読することはむずかしいとされていますが、犬が取ることのできる行動(「お座り」や「伏せ」など)や犬が興味を持つ言葉(「散歩」や「おやつ」など)についてはひとつずつ時間をかけて教えていけば読み取ることができるようになる可能性はあります。ただし、書かれている文字の自体や大きさなどが変わるとわからなくなってしまうなどとても繊細でむずかしいトレーニングではありますが、興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?犬に何かを教えて一緒に達成感を味わうことは、犬と飼い主の絆を深める楽しいコミュニケーションになると思います。