犬の視力について
犬は飼い主を写真、つまり匂いや声などを除いた視覚だけで判別できるのか?という疑問の答えを知るためには、まず犬の持つ視力について知ることから始めましょう。犬は基本的にあまり目がよくないと考えられ、人間の視力でいうと0.3程度しかないとされています。そのため、少し離れたところのものはぼんやりとしかとらえることができないと考えられています。
遠くで動く生き物などを視覚でとらえることのできる犬も少なくないため、犬は視力は弱い者の遠視なのではないかと考えられることもありました。しかし、その後の研究で特定の犬種を除き基本的には正視であるということがわかりました。犬が遠くの生き物を視覚でとらえることができるのは、動いているものを視覚でとらえる動体視力に優れていることが理由だとされています。
犬が飼い主を判別する方法
匂い
犬が持つ感覚の中でも特に嗅覚は人間の一億倍とも言われるほど優れています。犬は飼い主のにおいで他の人との区別をしたり、飼い主がどこに行きどんな人(または犬)と会ってきたかなどを判断すると言われています。飼い主が外出先から戻った時などは足元のにおいを嗅ぐことが多いのは、飼い主が外でどのようなことをしていたのかを知るためではないかと考えられています。また、飼い主自身の体臭だけでなく、使用している衣服の洗剤や香水、シャンプーの香りなども覚えると言われています。
声
犬は聴覚にも優れています。そのため犬は音が大きく聞こえると思っている人もいますが、どちらかというと犬は音を聞き分ける能力に優れていると考えた方がいいでしょう。幅広い周波数の音を聞き分け、遠くの音も敏感に聞き取ることができるとされています。そのため、飼い主の声もしっかりと覚えて判別する要素としているのです。
顔
犬は嗅覚や聴覚に比べて視覚にはあまり優れていないと考えられていますが、実は飼い主を判別するときには視覚が大きな要素になっていると言われています。犬の視力は弱くぼんやりとしか見えていないと考えられますが、動きのある物体に対する動体視力は非常に優れています。そのため、飼い主の動きの特徴などによって判別することも少なくありません。
犬は写真で飼い主を判別できる?
犬はにおいや声だけでなく、顔そのものでも飼い主を判別することができると考えられていますが、写真ではどうなのか?ということについてフィンランドのヘルシンキ大学で研究が行われました。
研究対象は犬31頭でさまざまな人間や犬の顔をスクリーン上に提示した時の眼球運動を分析し
ました。そこで提示されたのは飼い主をはじめとするなじみのある人間や一緒に暮らす他の犬、全く見たことのない他人などの顔写真。より親しみのある顔に対しては長い時間見つめ、さらに写真の中の目をじっと見つめるという行動が見られました。このような結果から研究を指揮した獣医学教授のオウティ・バイニオ博士は「犬は画像上の顔も知覚できることを示している」と結論付けました。
犬が飼い主を判別する方法まとめ
犬は目や耳、鼻などさまざまな感覚を駆使して飼い主を判別しています。研究などで明確な分析が行われていないことをあると思いますが、ここで紹介した部分以外でもさまざまな要素で犬は飼い主を判別するのではないかと考えられます。留守番中の犬が自宅に近づいてくる足音や車のエンジン音などで飼い主を判別することもめずらしいことではありません。長く一緒に暮らせば暮らすほど、犬はあらゆる感覚を駆使して飼い主を判別できるようになっていくでしょう。