犬には社会的本能というものが備わっています。
これは野性時代に培った本能であり、犬の行動はそれらに基づいたものが多く見られます。
躾のヒントにも繋がる社会的本能。愛犬を理解するためにも知っておきましょう。
ここから詳しくご紹介して参ります。
社会的本能とは?
社会的本能とは、周囲の仲間に対する関係性に関わる本能を指します。
犬の社会的本能は主に8種に分けることができ、それぞれに躾のヒントが隠されています。
社会的本能の分類
権勢本能
権勢本能とは、群れを主導するような行動を取ろうとする本能です。
共に行動する仲間が、従属的な行動を取った場合に見られます。
これは、躾にも大きく関わる本能。
犬の我儘を聞いてばかりいると、犬が飼い主でなく自分をボスだと認識するようになり、飼い主の指示を聞かなくなるというのは、権勢本能によるものなのです。
服従本能
服従本能とは、権勢本能の逆と言える本能。
群の中で行動を主導するリーダーがいる場合、犬はそのリーダーに従う行動を取ります。
これが服従本能と呼ばれるもの。
これも躾に関わるもので、飼い主がきちんとリーダーシップを発揮していれば、犬は飼い主をリーダーと認め、指示をよく聞くようになると言われます。
防衛本能
犬には防衛本能が強く備わっています。
これは、自分の縄張りや仲間、子どもを守ろうとする本能のこと。
特に母犬には、自身の子犬を守るための本能が強く見られます。
犬が恐怖を感じるような行為を与えると、ふいに噛みつきそうになったり手が出たりするのは、防衛本能によるもの。
こういったとき、犬は恐怖を感じますし、人間にも怪我の恐れが出てきます。
躾の際には、防衛本能を刺激するような恐怖を与える行為をするのではなく、言葉・表情のニュアンスや誉めることで教えるのが理想です。
群棲本能
群棲本能とは、犬が群れをつくって暮らすという本能のこと。
現在では、犬は人間と暮らしていますが、昔は同種の群れを成して暮らしていました。
その群れには、先述の権勢本能や服従本能で述べたような上下関係があり、縦型社会であると言われています。
この本能は、家庭犬の分離不安にも関わるものだと言われています。
本来群れで暮らす犬が、留守番などで1人になることで不安を感じてしまうのです。
警戒本能
犬は縄張り意識が強い動物。
自身の縄張りを作り、侵入者を警戒する本能が備わっています。
マーキングをしたり、他の犬のマーキングした臭いを嗅いだり、知らない人が家に入ってきたときに吠えるのは、この警戒本能によるものです。
帰巣本能
犬には帰巣本能という、知らない場所から自身の家に帰ることのできる本能が備わっています。
これは狩りに出た際に、元の場所へ帰れるようにと発達した能力であり、特に野生の犬に見られたようですが、現在の家庭犬の帰巣本能は薄いとも言われます。
帰巣本能を持つ犬は、天体の位置や磁場など、周囲の様々な情報から判断して、家の方向へ戻るということがわかってきています。
闘争本能
闘争本能は、特にオスに強く見られる本能。
これは群れで暮らしていた頃、上下関係を築くために備わったものであると考えられます。
犬種や個体によって闘争本能の強弱には差があり、気の強いもの同士や同じくらいの体格同士であると喧嘩になりやすいと言われます。
オス同士はこの本能により、よく喧嘩を起こしますが、オスがメスを攻撃することはほぼありません。
監守本能
監守本能とは、自分が獲った獲物を他の個体に横取りされないように守るという本能。
野性時代に生き残るための名残です。
家庭犬であっても、おもちゃやおやつを離さなかったり、取られないようにハウスに持ち込んだりすることがありますが、これも監守本能のひとつです。
まとめ
犬に見られる8種の社会的本能についてご紹介いたしました。
現在では名残程度で、あまり強くは見られないものが多いですね。
しかし、犬の本能は身体に強く染み付いています。
きちんと本能を理解した上で適切な躾を行うと、効率良く犬との良い関係を築くことができ、不意な怪我などを防ぐことにもなります。
愛犬のことをよく理解しておくためにも、犬の本能について知っておくことが重要となるのです。