1.首を傾げている?前庭疾患
わんこが首を傾げているようすは、とても可愛らしいですよね。飼い主さんの話している内容を一生懸命聞き分けようとして、文字通り「耳を傾けている」ともいわれますから、ますます愛おしいものです。ですが、ずっと首を傾げた姿勢をとっている場合には、前庭疾患を発症している可能性があります。
前庭疾患
前庭疾患は前庭系といわれるも、つまり脳幹、小脳、内耳、前庭神経に障害がおこることで生じるものです。その原因となるものには耳の炎症から脳腫瘍まで色々なものがあります。
症状としては、もちろん原因によっても違いますが、一番多いのは、前触れなく突然、首を傾げてまっすぐ歩けなくなったり、倒れてしまうといった症状などが現れます。症状が症状なので、びっくりして慌ててしまう飼い主さんも多いですが、原因にもよりますが、お耳などが原因であれば早期に適切な治療を行えば、ほとんどが1週間から数週間程度で症状は治まります。またシニア犬では何の原因もないけれどおこる、特発性前庭疾患がみとめられることもあります。
2.上目遣いになる?頸部椎間板ヘルニア
身体の小さなわんこは、飼い主さんを見つめようとするとどうしても上目遣いで見上げなければなりません。首を傾げる仕草と同様に、上目遣いの視線もとてもけなげで可愛らしいものですが、痛みで首を上げることができないために上目遣いにならざるをえない状態になっている場合があります。
頸部椎間板ヘルニア
この場合に疑われるのが、頸部椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアとは、椎骨と椎骨の間にある軟骨組織である椎間板の内容物がはみ出して脊髄を圧迫し、身体にまひや痛みが生じて運動機能に支障をきたす病気です。このヘルニアが、首の部分に生じた状態を頸部椎間板ヘルニアと呼びます。重度になると外科手術が必要な場合もあり、治療しても運動機能が通常に戻るためには時間がかかったり、その後も後遺症が残ったりすることがあります。
3.キュッと丸くなっている?膵炎
わんこがキュッと丸まって眠るのは、寒い季節に暖をとる場合や、リラックスできない場所で眠る際に急所であるお腹を守っている場合など、いろいろな理由があります。ですが、気温が低いわけでもなく、いつもはリラックスして寝ている自分のベッドであるにもかかわらず、きつく丸まって寝ている場合には、わんこが耐えがたい痛みを抱えている可能性があるのです。また、四つ足で立っている時にお腹を丸めたような姿勢をとることもあります。
膵炎
人間の膵臓が「沈黙の臓器」と呼ばれているように、わんこの膵臓も炎症を起こしても軽度のうちには症状が現れず、気づいたときには重篤な状態になっていることがあります。膵炎は激しい腹痛を伴うことが大きな特徴です。重症化すると最悪は死に至る場合もある病気なので、おかしいと思ったらとにかく早めに動物病院を受診することが必要です。また、膵炎の時の姿勢として、腰をあげたまま前足をのばす「お祈りのポーズ」も特徴的な姿勢としてあげられます。
また、膵炎の時の姿勢として、腰をあげたまま前足をのばす「お祈りのポーズ」も特徴的な姿勢としてあげられます。
4.足をケンケンしている?膝蓋骨脱臼
わんこが走っているときにスキップするような仕草をしたり、ケンケンするような格好をしていることがあります。「走り方のクセなのかな?」と特に気に留めない飼い主さんもいるかもしれませんが、特に小型犬の場合には、膝蓋骨脱臼からそのような姿勢をとっていることがあるので、気になるときには動物病院を受診することをおすすめします。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨とは、いわゆる「ひざのお皿」のことです。これがずれてしまうのが膝蓋骨脱臼で、軽度の場合には脱臼を起こしてもわんこが自分で簡単に直してしまうので、上で紹介したように
飼い主さんは「クセなのかな」と思う程度で病気に気づけないことが多くあります。先天性と後天性がありますが、小型犬には遺伝的な要因で先天的にこの病気を抱えていることが多いので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?たとえ体調が悪くても、わんこは言葉で飼い主さんに訴えることはできません。また、体調が悪いことをぎりぎりまで隠そうとする性質もあります。そのため、病気や怪我の早期発見には、飼い主さんが愛犬の様子のささいな変化に気づいてあげることがとても大切です。