犬が苦手なものを見たら吠えてしまう…どうやって慣らせばいいの?
家族の中で穏やかに過ごしていても、何か苦手なものを見たり、苦手なものが側に来たりすると突然、火が付いたように激しく吠えることはありませんか?
「おいで」「マテ」などの基本的なトレーニングはできているのに、なぜか苦手なものに対しては、飼い主さんの制御が効かずに吠えてしまう…。
そんな愛犬の行動には、どういった理由があるのでしょうか?
まずは、犬が苦手なものは何かを考えてみましょう。
1.歯磨き、ブラッシングなどのケア
愛犬のためのケアなのに、なぜか嫌がられる歯磨きやブラッシング。
理由は、無理やり押さえつけられたり、飼い主さんが必死になりすぎて、愛犬を不安にさせてしまっていたり、ブラシの使い方を間違えて、痛い思いをしたことをずっと覚えていて、それが原因でブラッシングなどのケアが苦手になっていることが考えられます。
逃げ回るのではなく、飼い主さんが歯ブラシやコームを持とうとしただけで、道具に向かって吠えるのは、「イヤ!それで体を触らないで!」という愛犬の意思表示に他なりません。
2.子供
愛犬の自我が芽生えたときから、ずっと家族の中に幼い子供がいる場合なら、子供の行動に慣れているので、家族以外の子供に対しても激しく吠えることは少ないと思います。
ですが、ふだんの生活の中で子供と接する機会のない犬にとって、子供の行動は脅威です。
突然、何の前触れもなく走り出したり、甲高い声を出したり、いきなり目の前に手を出してきたりするので、犬からすれば、子供は「得体のしれない敵」と認識していても、無理はありません。
そのため、子供の姿を見るだけで警戒し、子供が側に来なくても、視界に入っただけで、「こっちに来るな!」と吠えて、威嚇するのです。
3.注射などの医療行為
病院は、犬にとって決して楽しい場所ではありません。
注射をされると痛いし、何か体の具合が悪いときにしか用のない場所なのですから、イヤな思いをすることの方が、圧倒的に多い場所だと認識しているはずです。
ですから、動物病院で愛犬が吠えるのは、「この場所はキライ!怖い!」と言う意思表示だと思われます。
4.掃除機などの人工音
掃除機や電話の呼び出し音は、犬にとっては「得体のしれないもの」です。
聞きなれない大きな音を立てて、ホコリ臭い息を吐きながら、自分のテリトリーの中をはい回っている危険な生物だと思っているとしたら、吠えるのも無理はないように思います。
苦手なものを克服する方法
ケアを嫌がらないようにする方法
まずは、「イヤだったこと」を忘れさせることから始めます。
ふだん、犬が見える場所に歯ブラシやコームをごく自然に置いておきます。
おやつをあげる前や、食事の前に「歯ブラシ」「コーム」など、犬が苦手にしているものを見せます。
つまり、「ブラシが見えている場所ではいいことがある」と根気よく刷り込んでいくのです。
また、犬が満足するまで十分にスキンシップを取った後、一日一度だけ軽くブラシで体を撫でたり、サっと歯磨きをしたり、あくまでも犬が嫌がらない程度の短い時間でケアを行います。
そうして、十分に時間をかけて、犬を徐々に慣らしていきます。
子供嫌いを克服する方法
子供が近づいてきたら、「うちの子は子供が苦手なの、ごめんね」と接近するのを防ぎます。
子供が近くを歩いているような場所を、どうしても通らなければいけないときは、おやつで愛犬の意識を飼い主さんに集中させます。
そして、子供の存在を無視し、全く吠えずにやり過ごせたら、思い切り褒めてあげます。
しかし、「愛犬の子供嫌いを克服したい」「子供と遊べるような犬にしたい」と考えているのであれば、さらにトレーニングが必要です。
今回は、「子供に吠えないようにする」ことを前提にした方法をご紹介させていただいています。
医療行為を嫌がらないようにする方法
飼い主さんとの信頼関係がしっかりしていて、「飼い主さんさえいれば、どこで何があっても怖いことなど何もない」と信じ切っている犬は、病院で注射を見せられようと、怖がることはありません。
病院だけでなく、家の外の世界で、愛犬が恐怖を感じて吠えたてるという問題行動は、飼い主さんが愛犬の信頼に応えられるようになることで解消されます。
日々の生活の中で、自分は愛犬に絶対的に信頼されているかどうかを自問しながら、愛犬との関係を見直してみましょう。
掃除機などの人工音に対して吠えないようにする方法
ケアのときと同様、「掃除機は怖くない」と刷り込んでいきます。
電源をオフにして、掃除機を側に置き、その場で愛犬におやつを与えます。
できれば、そのときだけの特別なおやつを用意すると、より効果的です。
また、毎日ほんの数分でも、掃除機を起動させて、頻繁に音を聞かせます。
それで吠えなかったら、ご褒美を与えます。
そうすることによって、掃除機に対して、「危険はない」「掃除機の音が鳴り終わったら、おやつがもらえる」と繰り返し体験させます。
「吠えてはいけない」と吠える行動を制御する方法
「まて」のコマンドに従うよう、徹底的にトレーニングをする
実は、「まて」を徹底的にトレーニングし、愛犬に身に着けさせることができれば、いろいろな問題を全て簡単に解決できます。
苦手を克服することにはなりませんが、「まて」をどんな状況でも飼い主さんの「まて」に従うことができれば、「吠える」ことを「まて」のコマンド一つで完全に止めさせられます。
ポイントは、「まて」と指示を出すときは、ふだん、話しかけるより低い声で、少し「怒っているよ」と言うニュアンスを込めて、指示を出すことです。
上手にできたら、満面の笑顔で声も高くし、「良くできたね、えらかったね」と心から褒めることです。
飼い主さんの顔つき、声で喜怒哀楽をしっかりと愛犬に伝わるようにすれば、愛犬たちは驚くほど素直に、私たち飼い主の意志をくみ取って、学習してくれます。
何より大事なのは、何度か失敗しても諦めないことです。
まとめ
何も理由がないのに、犬が激しく吠えたてることはありません。
「イヤだから吠えている」のか、「怖いから吠えている」のかによって、飼い主さんの対処は変わります。
今回例に挙げた要因以外で、愛犬が激しく吠えるようなら、まず「イヤだから吠えているのか」「怖いから吠えているのか」をよく観察して、対処法を考えてみましょう。
また、全ての問題に対して「まて」だけで対処する方法にしても、飼い主さんと愛犬との間に強い信頼関係を築くことができます。
どちらか一方の対処法を取るのではなく、並行してどちらのトレーニングを行うと、さらに愛犬からの信頼を得ることができるのではないでしょうか。