犬は横断歩道や信号機を理解しているか
信号や横断歩道を日常的に使って散歩をしている犬もいると思いますが、犬は信号機や横断歩道を理解しているのかということを疑問に感じる飼い主さんもいるようです。結論から言ってしまうと、犬は信号機や横断歩道そのものの意味は理解していないというのが一般的な考えです。そもそも人間が考えてつくり上げた人間社会の中にある多くのものについて犬は基本的には理解出来ていないと思います。
信号機は赤・黄・青の3色がそれぞれ異なる意味を持ちますが、そもそも犬は色の識別が苦手な動物だと言われています。犬がどれくらいの色を識別できるかということについてはまだはっきりと解明されていませんが、現段階の研究でわかっているのが赤を識別することはできず黄・青・グレーで世界を見ているのではないかということです。かつては犬が見る世界はすべてモノトーンであるとも言われていたので、この部分に関しては今後の研究次第で新たにわかってくることもあるでしょう。
盲導犬は横断歩道や信号機をどのように判断する?
信号機や横断歩道を理解していないと考えられる犬ですが、目の見えない人を誘導して歩く盲導犬はそれらをどのように認識しているのでしょうか?この疑問に関しては日本盲導犬協会のホームページにも記載されており、実は信号機や横断歩道を渡る判断をしているのは盲導犬ではなくユーザーであり、盲導犬はユーザーの指示に従っているということでした。信号機や横断歩道のある場所で周囲の車や人の気配、信号機から発せられる音などを頼りにユーザー自身が“go”や“stop”の合図を出して盲導犬に誘導を指示しているのです。そのため、白杖を突いている人や盲導犬を連れている人がいたら「赤ですよ」「青になりましたよ」などと声をかけると判断がしやすいそうです。
一般の犬でも横断歩道や信号を理解させることはできる?
盲導犬を含め犬は信号機や横断歩道を理解できないとしましたが、これはあくまでも「教えなければ理解できない」ということ。反対に言えば、きちんと教えたり、日々の習慣や経験の積み重ねで信号機や横断歩道の意味を理解することは十分に可能です。実際、横断歩道の前に来ると何も言わなくても一度座り飼い主の指示がなければ進まないという犬もいます。これはお横断歩道の前に来たら必ず座り待つように指示し、飼い主の指示で歩かせるということをくり返し行うことで横断歩道の前に来たら一度待つということを覚えます。また、信号機についても上(赤)と下(青)どちらのランプがついているかということと、歩く・止まるという行動を結び付けて覚えさせることで信号機そのものを行動の指示にすることは可能です。
また、犬は周囲の状況をとてもよく見ている動物なのでどういうときに道を渡っていいのか、どういうときは止まるべきなのかを自分で徐々に覚えていくこともあります。ただし、しつけでも経験でもどちらにしても犬が信号機や横断歩道をどこまで理解できているかはわからないので過信しすぎることなく道路では犬の行動に十分に注意しましょう。
まとめ
犬は信号機や横断歩道について教えなければ理解することはできません。人間社会の中にあるさまざまなものやルールは私たち飼い主が教えなければ犬には理解できないのと同じです。色の識別はできないものの、信号機のランプがついている場所で歩け・進めのどちらの合図であるかを認識させたり横断歩道の前では一度止まる習慣をつけさせるなどということは十分に可能なしつけです。散歩などで日常的に信号機や横断歩道のある場所を歩く機会がある家庭では、試しにそのようなしつけをしてみてはいかがでしょうか。それは散歩中の犬に程よい緊張感や変化をもたらし、さらに犬の安全を守ることができる可能性もあるでしょう。