脱いだ後の靴下や靴
人間だったら自分のだって嗅ぎたくない靴下や靴のにおい。でも不思議なことに、わんこが大好きな臭うものの代名詞でもありますよね。飼い主さんが靴下を脱いだ途端に奪っていくくらい好き、なんてわんこもいるのではないでしょうか。
靴下は細長くてくわえやすく、またゴムが入っていたりして噛み心地が良いと感じるわんこが多いようです。くわえたまま振り回して遊んだり、引っ張りっこにも丁度良さそうな形ですよね。その上、飼い主さんのにおいがするとなれば、わんこにとっては最高です。汗や皮脂や汚れがしみ込んで、さらに細菌がそれらを分解して出たにおいなどもあり、人間にとっては脱いだ後の靴下や靴のにおいが「自分のにおい」だとは思えませんが、嗅覚が鋭い犬はそれすらも「飼い主さんのにおい」だと感じることができるのだそうです。
飼い主さんのにおいがついているものであれば、もちろん洋服やタオルでもかまわないのですが、一日履いた靴下や靴にはより多くの汗や皮脂が染み込んでいてより強く臭いますから、わんこにとっては最高なのでしょう。
そんなにするまで自分のことが大好きなんだな、と思えば、クサイ靴下を振り回す愛犬の姿も微笑ましく見守ることができそうですよね。ただし、愛犬に靴下をおもちゃにされては困るのでしたら靴下を返してもらわなければいけませんし、ちょっと遊ぶくらい良いのでしたら、返してもらうまで、靴下を壊されないか、どこかに持っていってしまわないか、目を行き届かせましょう。
こだわりすぎている場合は要注意
ただし、あまりにわんこが靴下や靴に固執しすぎている場合には、少し注意が必要かもしれません。靴下や靴だけではなく、何かに固執しすぎていたり、破壊行動が激しい場合には、強い不安があったり、何らかのストレスが原因となっている強迫性障害の場合があるからです。もし心当たりがある場合には、生活スタイルを見直すとともに行動学に詳しい獣医師に相談するのをおすすめします。
乾燥したミミズなど
お散歩中に、道で乾燥したミミズを見つけるや、道に寝そべって身体を擦りつけるわんこ、多いのではないでしょうか。それも一心不乱に何度も何度も…。乾燥したミミズの他にも、腐った食べ物や虫や小動物の死骸、浜辺だったら打ち上げられて死んでいる魚なんかに身体を擦りつけるわんこもいます。
わんこを飼ったことのない人から見たら異様な光景ですし、飼い主としてもミミズや何かの死骸なんかは勘弁してもらいたい、というのが本音かもしれませんが、わんこにとっては魅力的なものなのです。においを存分に身体に擦りつけた後、それを食べるわんこもいるので、飼い主さんはよく注意して愛犬が道端に落ちている何かを食べてしまわないようにしましょう。
ちなみに、この「魅力的なにおいを身体にこすりつける行為」ですが、その理由については正確には分かっておらず、諸説あります。狩りのターゲットに自分の存在を気づかせないため、相手と同じにおいをまとおうしているからとか、獲物と同じにおいをつけて群れに帰り、自分が手に入れた獲物を知らせるため、などと言われています。人間で言うと、香水をつけるのと似たような感覚なのかもしれません。
他の犬の排泄物
他のわんこがマーキングをした後や、残していったうんちのにおいを真剣に嗅いでいることもありますよね。他の子の排泄物に鼻を近づけるなんて、こちらも人間の感覚で言うとあまり喜ばしい行動ではありませんが、わんこにとってはものすごく当たり前の行動で、大切な情報収集の手段なんです。
犬はおしっこで自分の縄張りを示すことからもわかる通り、わんこの排泄物には、その子の個人情報がたっぷり詰まっています。年齢や身体の特徴から発情期であるか否か、さらには健康状態に至るまで、様々なことがわかってしまうのです。
言ってみれば、おしっこやマーキングをすることは、名刺をばらまいて、ポスターを貼り回って、週刊誌を配っているようなもの。別のわんこはそのにおいを嗅ぐことで、自分の周辺の状況や出来事、においを残していったわんこについて知ることができるのです。
もちろんお散歩マナーを守って
とはいえ、人間社会でわんことその飼い主さんが生きていくには、最低限のマナーを守ることが必要です。
わんこがせっかく情報拡散活動をしたのに邪魔するようではありますが、飼い主さんは責任をもって後始末をしましょう。他の人たちに不快な思いをさせないように、うんちは必ず拾って帰りましょう。わんこが外でおしっこをした場合、そこに水をかけて流しておくことがマナーとなっている地域もあります。ただ最近では、うんちもおしっこも自宅で済ませてから散歩に出掛けるようにしましょう、という意見がひろまってきています。散歩と排泄を切り離して考え、排泄は基本的に室内でするように習慣づけておくことにはメリットがいっぱいあります。成犬の長年の習慣を変えるのは難しいでしょうが、子犬を飼っている方は最初からそのようにトイレトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?人間がクサイと思うものが、実はわんこにとっては魅力的だったり、有益だったりするのが、おわかりいただけたかと思います。
逆に人間が好きだと感じるシャンプーのにおいや香水のにおい、柔軟剤などのにおいは、わんこにとっては不自然で不快なにおいに感じられている可能性があります。
クサイにおいを嗅ぐわんこを、私たちがいぶかしんでいるのと同じように、実はわんこの方も、有り難がってシャンプーや香水のにおいをまとっている私たちを、怪訝な目で見つめているのかもしれませんよ。