犬がトラウマを抱える原因
私たち人間が事故や事件などの恐怖体験からトラウマを抱えることがあるように、犬も同様のことが原因でトラウマを抱えてしまうことがあります。
犬がトラウマを抱える原因として多いのは「虐待」「怪我」「苦痛を伴う恐怖体験」などが考えられます。共通するのはやはり何らかの痛みが伴うということ。
身体的な痛み、苦しみは忘れることが難しくその場面を思い出すようなことが起きると一気にそれを思い出してしまうのです。
症状と対処法
トラウマを持っている犬がそれを思い出した時、大抵の犬はまず、不安とストレスを感じおびえた様子を見せ、その場から逃げようとするでしょう。体に震えが起きたり、よだれが垂れたり、といった身体的な症状があらわれることも少なくありません。
その場から逃れられないことがわかると自分の身を守るため、トラウマの対象に対して威嚇や攻撃行動に転じることも。
そのような様子が見られたら、トラウマの対象を隠すことや、犬にその場から離れるよう、誘導してあげて落ち着かせましょう。
犬のトラウマは消せるのか?
犬が抱えるトラウマの原因は様々で、飼い主が原因のこともあればそうでない場合もあります。そのため飼い主がそのトラウマを消すことができる場合もあるし、できない場合もある。
こういってしまっては元も子もないかもしれませんが、犬のトラウマを消すことができるかどうかというのは、その原因やトラウマの重さや深さ、犬の性格にもよると思います。
実際、筆者の愛犬は成犬になってから保護された“元・飼育放棄犬”ですが10歳を超えた今でも、消えないトラウマらしきものも見られますし、出会ったばかりの頃に見せていたトラウマが、原因と思われる問題行動がなくなったりもしています。
そのため同じ犬でもトラウマの内容、重度によって、トラウマを消すことができるかどうかは変わってくるのだと思います。
しかしひとつ言えることは、トラウマを既に抱えている犬に対しての接し方次第で、そのトラウマがより深くなったり、薄れたりするということは十分にあることです。
ですから「トラウマは消せない」と諦めるのではなく、少しでもその負担を軽くしてあげるよう、一生かけて取り組んであげることが大切です。
犬のトラウマを消す方法
トラウマを正確に把握する
トラウマを消すための取り組みとしてまず大切なことは、その犬が何に対して精神的な負担やストレスを感じているかを細分化して正確に把握することです。
例えば虐待を受けたことで人間に対してトラウマを抱えていると思われる犬がいた場合、どのようなタイプの人(男女ともに?年齢はどれくらいの人?持っているものは?どんな近づき方?など)が苦手なのかを、しっかりと見極めることが必要です。
人間が苦手だからと言って、漠然と人に慣れさせようとしても、正確なことが分かっていなければ、見当違いなトレーニングになってしまうこともあります。
トレーニングの無理強いはNG
それから無理強いは絶対にしないことも大切です。犬のしつけトレーニングの中で多少強引に進める必要がある場合もありますが、トラウマを抱えている犬の場合は、不安を感じている犬の気持ちを無視して、強引に進めることは絶対にNGです。
そのようなことをすればトラウマは更に深くなり、そんなトレーニングを行った飼い主に対しても不信感を持ってしまう可能性があるので十分に注意してください。
犬の気持ちを理解して
上でも書きましたがトラウマを消すことができるかどうかは、犬の性格やトラウマの内容、重さによって異なりますし、その消し方についても一括りには言えない難しさがあります。
しかしどのようなトラウマでも、その克服のために大切なのは、犬の様子をしっかりと観察して、その気持ちを理解することです。
言葉で気持ちを伝え合えないからこそ、ボディランゲージや表情をよく観察して気持ちに寄り添う姿勢を見せることが必要なのです。
犬のトラウマに関するまとめ
トラウマを抱えている犬と接することは、とても難しいことだと思います。
トラウマを持つ犬の多くは精神的に不安定な部分があり、繊細さを持っていることが多いため、そうした犬と信頼関係を築いてトラウマを克服させていくことは本当に大変なことだと思います。
しかしトラウマを克服させる、又は軽減させることは決して不可能なことではありません。
その犬がどのようなことに負担やストレスを感じるのかを正確に把握し、根気よく時間をかけて犬の気持ちに寄り添っていくことで、いつか必ず変化が訪れるので、諦めずにじっくり取り組んでいきましょう。