応急処置と応急手当の違い
応急処置とは
応急処置とは、救急隊員が行う、負傷などに対しての差し当たっての手当てを指します。
応急手当とは
応急処置に対して、応急手当とは、救急隊員以外の一般市民が行う、差し当たっての手当てのことです。つまり飼い主さんが自分の愛犬の怪我に対して、獣医さんに治療して貰う前に行う処置は「応急処置」ではなく、「応急手当」に当たります。
応急手当の後、必ずするべきこと
獣医さんに連れて行き、診察を受ける
軽度の怪我であっても、応急手当はあくまでも怪我の状態を悪化しないように応急的に施すものです。応急手当の後は、なるべく急いでかかりつけの獣医さんの診察を受けましょう。
爪が折れた時の応急手当
爪は伸びていない状態でも、激しい運動などをして折れることがありますし、伸びすぎている犬の爪は特に折れやすく激しく痛み、出血もします。飼い主さんも犬も動揺しやすい怪我です。落ち着いて手当てできるように応急手当の仕方を覚えておきましょう。
折れた爪を確認する
毛と出血で患部となっている爪が分かりにくいと思いますが、まず、飼い主さんが落ち着いて、犬を落ち着かせ、どの爪が折れたのかをまず確認しましょう。
患部を圧迫して止血する
ガーゼや清潔なティッシュを患部に被せて、少し強めの握手くらいの強さで2~3分の間握ると、一旦、血が止まります。
皮膚が切れた時の応急手当
鋭利に切れた皮膚であれば、できる限り早く縫い合わせれば治りも早くなります。獣医さんに見て貰う前に、どんな手当てをしておけばよいのでしょうか。
汚れを洗い流す
生理食塩水か、流水で傷口を洗い流します。
乾燥を防ぐ
化膿しないように、大きめの絆創膏などで傷口を覆います。
火傷
火傷と低温火傷
火傷には熱い油や火、お湯などがかかって負う熱傷と低温火傷があります。
低温火傷は体毛の下の皮膚にダメージが起こっていても、体毛が非常に高温になっているだけで、一見して火傷だと思わないため、注意が必要です。
特に足腰の弱いシニア犬や、病気がちで寝たきりになっているような犬は、予防のためにもホットカーペットや、湯たんぽなどの使い方に注意が必要です。応急手当に関しては、火傷も低温火傷も同じです。
しっかりと冷やす
熱傷の場合は患部があまり広範囲でなければ、まずは流水でしっかり冷やしましょう。そのあと保冷剤や氷、氷嚢などを当てて更に冷やします。
もしも、かなり広範囲の火傷であれば、冷たく濡らしたタオルで体をくるんで、できるだけ急いで、獣医さんの診察を受けます。
獣医さんに緊急対応の依頼の連絡を入れる
犬は痛みに強い動物ですが、火傷は傷口から感染して、低温火傷のように見た目以上に皮膚内部へのダメージが大きい場合があります。
体毛が抜け落ち、皮膚がむき出しになるほどの火傷を負った場合は、獣医さんに向かう前に「火傷をしたので、緊急で診てほしい」と緊急の診察の依頼をしておきます。
いざという時にために備えておくモノ
滅菌ガーゼ
清潔なガーゼを常備しておきましょう。
消毒薬
人間用のマキロンを用意しておきます。イソジンなどの強い成分の消毒薬は、かえって犬の傷を悪化させてしまう可能性があるので、使わないようにしましょう。
ウエットティッシュ
水道水で洗い流せなかった部分を拭ったり、飼い主さんの手当てをする手の汚れを拭き取ったりするので、滅菌されたものを用意しておきます。
伸縮性の包帯
絆創膏やテープだと体毛にくっついて離れてしまうので、犬の怪我を手当てするのであれば、伸縮性のある包帯がオススメです。犬の体の大きさによりますが、幅3~5センチのものを用意しておきます。
キャリーケース
大型犬でも、獣医さんに搬送する時に使用できるように、キャリーケースは準備しておきましょう。
応急手当をするより、迅速に獣医さんに連れて行くべきケース
目の怪我
目は他の部位と違い、一度怪我をするとなかなか治りにくい器官です。目にゴミが入ったことで眼球が傷ついたり、何かが当たって目が傷ついたりして、白目のところが真っ赤に充血していたら、素人の応急手当などで時間を費やしてしまうと目の怪我は悪化してしまいます。できるだけ急いで獣医さんに診て貰いましょう。
目の違和感を気にして引っかいたり、こすりつけるとさらに悪化しますのでエリザベスカラーがもしもあればつけてさらに悪化することを防いでください。
犬同士の喧嘩による怪我
咬み傷は筋肉を突き破って内臓にまで達している場合があります。見た目だけで判断せず、火傷の時と同様、緊急の応対をお願いして、獣医さんの診断を受けましょう。
まとめ
いずれの応急手当も、まずは飼い主さんが落ち着いて行うことが大切です。飼い主が動揺すると愛犬も必ず動揺します。
応急手当をしなければならないような怪我をさせないよう、愛犬を守るように気を配ることが大前提ですが、もしも、怪我してしまった場合は、飼い主さんが落ち着くこと、それから傷口をキレイに保つことを心がけて、その応急手当が済んだら、できるだけ早く獣医さんの診察を受けましょう。