犬用靴が嫌がられる理由
犬用の靴は、災害時に犬の小さな足を保護したり、シニア犬の歩行を補助したりする働きがあります。また、お腹の弱い犬や、肉球を怪我している犬の、雨の日のお散歩のレインブーツとしても役立ちます。
しかし、喜んで犬用靴を履いてくれる犬は少ないですよね…。
それもそのはず、犬の肉球には大切な役割がある上に、犬は肉球から様々な情報を感じ取っているからなのです。
犬が肉球を通して情報を感じ取っているから
犬の肉球には、たくさんの神経や血管が分布しています。
そのため、犬の肉球は「地面センサー」と呼ばれることもあります。
犬が肉球で感じ取っている情報とは、
- 痛覚
- 触覚
- 圧覚
- 温度感覚
など。犬の肉球は、私たちでいうところの”指先”のようなものなのかもしれません。
犬が靴を履くのを嫌がる理由の一つには、「地面の状態を察知する感覚があやふやになってしまうため」ということが挙げられるでしょう。
肉球の役割
犬の肉球は、足の先から確認していくと、いくつもの構成で成り立っていることが分かります。
爪を除いて足先から順に見てみると、
- 指球(しきゅう)…4つの肉球
- 掌球(しょうきゅう)…指球の下にある大きな肉球
- 手根球(しゅこんきゅう)…前足の狼爪の少し下にある1つの肉球
- 足底球(そくていきゅう)…後ろ足の大きな肉球
- 趾球(しきゅう)…後ろ足の4つの肉球
となっています。そして、これら肉球の役割は大きく5つに分けることができます。
1.足の保護
2.外の温度から守る
3.衝撃を吸収する
4.ブレーキの役割
5.体温調節
これらの大切な役割を担っている肉球が隠れてしまう靴は、犬にとったら危険なものだと感じてしまうのでしょう。犬が靴を嫌がるのは、本能的なものなのかもしれません。
犬用靴を慣れさせる方法
それでは、犬に靴を履かせるのは無理なのでしょうか?
いいえ、決して無理なことではありません。
靴を履いても危険ではない、むしろ靴を履いた方が歩きやすいと思ってもらえればよいのです。
しかし、靴の便利さを教えようと、嫌がる犬に無理やり靴を履かせるのは絶対にいけません。
デリケートな犬は、最初の恐怖や苦痛からトラウマを持ってしまう可能性があります。
買った日にさっそく履かせるなんて無理はせず、まずは匂いを嗅がせたり、触らせたりするところからスタートしましょう。
少し靴に慣れてきたら、ご褒美を与えつつ、1足だけ履かせてみましょう。
いっぺんに4足履かせるのは、犬にとってストレスになるので絶対にいけませんよ。
犬用靴を絶対に履かせる必要はない
災害救助犬の多くは、靴やブーツを履いていないと知っていますか?
これは、決してスタッフさんの知識不足ではありません。あえて災害救助犬には靴を履かせず、作業してもらっているそうです。
先ほどご説明した通り、犬の肉球はいくつもの大事な役割を担っています。
特に、ブレーキ機能や衝撃を吸収する役割は、災害救助犬にとって非常に大事なのです。
もし靴を履かせて滑ってしまったら、災害救助犬の命にも関わることになってしまいます。
また、犬は爪を使って踏ん張るため、靴を履いた状態では急な斜面を登ることはできません。
災害救助犬は、肉球を怪我する恐れがあるにも関わらず、私たちの命を助けようとしてくれているのです!
つまり、災害時には何が何でも靴を履かせないといけない、ということではないのです。
靴を極度に嫌がったり、靴を履かせたら歩けなくなったりするようなら、靴なしでも安全に過ごせる方法を考えればよいのだと思います。
まとめ
犬が靴を履くのを嫌がる心理と、慣れさせる方法についてご紹介しました。いかがでしたか?
犬が靴を嫌がるのは、犬にとって重要な肉球が隠れてしまうためです。
嫌がっているのに無理やり履かせるようなことはせず、まずは匂いを嗅がせたり、試しに1足だけ履かせたりして、少しずつ慣れてもらいましょう。
災害時や介護のときに役立つ犬用靴。
嫌がるからと押し入れの奥にしまい込んでしまうのではなく、万が一のときに取り出せるように準備しておきましょう!